中国製冷凍餃子に関して千葉県でも千葉市、市川市などで被害が出ています。新聞報道によれば、製造から袋詰めの段階で農薬が混入した可能性が高いようです。
 この事件は、我が国をめぐる様々な問題を浮き彫りにします。中国側の問題については捜査の結果を待つとして、国内の問題点をお話したいと思います。

 戦後、我が国は、工業国として世界第二位の経済大国となりました。この過程で食料は輸入に頼るようになり、七十九%(一九六〇年:カロリーベース)あった食料自給率が、現在では半分(四十%)になってしまいました。
この間、イギリスでは、四十六%(一九七〇年:カロリーベース)から七十四%にまで増加しています。我が国の場合、経済成長のためやむを得ない選択だったかもしれません。しかし時代は変わっています。経済成長だけをめざす政策から、食料自給・環境保全を両立させる政策を優先させるべき時です。安心して生活するためには、自ら食べるものは自ら作るべきではないでしょうか。

 食の安全に対する行政の対応も問題です。食の安全が問題となったのはBSE事件でした。この事件をきっかけに我が国では、食品安全委員会が設置されました。しかし、その実体は、農産物を所管する農林水産省と加工食品を所管する厚生労働省の委託に応じ専門家に検査を行ったり(リスクアセスメント)、その結果を広く国民に知らせるだけの役目。今回の事件でも、全く機能していません。輸入農産加工品の検査は、厚生労働省が行うことになっていますが、残留農薬などの検査は事前に行われていないようです。また、被害報告を受けた保健所等の対応が鈍い・横の連携がとれないなど人災の側面もありました。BSEの教訓が全く生かされておらず、縦割り無責任行政の弊害が被害の拡大を招いたのではないでしょうか。

EUでは、同じくBSE問題を契機として「食料安全庁」を設置し、すべての食品についてその産地が特定できる体制を確立しつつあり、食の安全について世界で最も厳しい体制を築いています。日本でも、縦割りをやめ、原産地にまでさかのぼり徹底的な調査を行う、食の安全に一元的に責任をもつ組織を設けるべきです。

ガソリン国会と命名された今国会、道路特定財源の廃止は、当然のこととして、もっとやるべきことがあるはずです。私は、国民の生活を守る政治をめざして参ります。 

平成二十年二月   おくの総一郎