昨日(4月26日)の総務委員会。私の質問に対し、籾井会長は、熊本地震の対応を協議した局内の会議で原発報道について「公式発表をベースに伝えることを続けてほしい」と指示したことを認めた。さらに、何が「公式発表」かについては、気象庁や原子力規制委員会、九州電力が出しているものをあげた。
 この発言は2つの点で問題がある。ひとつは、①報道は真実を伝えねばならないという点、そしてもう一つは、②会長が個別の番組内容に指示をしてはならないという点、である。
① 放送法は、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること」(1条2号)を目的に掲げ、この規定を受け「報道は事実をまげないですること」(4条1項3号)と規定している。つまり、報道に「真実」を伝えることを求めているのである。籾井会長は、「原子力規制委員会が安全である、あるいは続けていいということであれば、それをそのまま伝えていくということ。決して、大本営発表みたいなことではない」と答弁されたが、「そのまま伝える」ことは「大本営発表」みたいなことになる。NHKには、「公式発表」が正しいかどうか検証して批判を加えることも求められているのだが、全く理解していない。
② 後者については就任会見の「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」という発言と同じで、番組編集の自由(放送法3条)の観点から大きな問題がある。就任会見ではさらに「最終的には会長が決める。その了解なしに現場で勝手に編集したときは責任を問う。きちんと私の了解を取ってもらう。」と発言し、問題になった。報道に、会長の個人的見解や政府の見解のみが反映されてはならない。籾井会長は就任後2年以上たってもこのことを理解していない。

昨日の総務委員会で、会長は、続投について言葉を濁したつつ否定しなかった。役員人事も、続投への布石だろう。問題発言を繰り返す「懲りない」会長に続投の資格はあるのだろうか。