岡本豊彦 桃源の図   (127) | okuda8888のブログ

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岡本豊彦(1773年~1845年) 「桃源の図」 絹本

                横52㎝×縦116.5㎝

 

円山四条派の重鎮であり、岡山(倉敷)の出身の画家である。初めは尾道出身で大阪で活躍していた福原五岳に師事し、その後京都に出て松村呉春に師事した。

 

 

堂々とし華麗な「桃源の図」である。桃源郷の話は、陶淵明の詩文「桃花源記」を出典とする。

内容は、ある漁師が漁に出ていて、偶々桃の花咲く村を訪れることになる。桃の花々の満開の所を通過すると村が開け、その村人は世の推移もしらず、平和に過ごしていた。

この絵は桃源郷の入り口に立った漁師を描いているのであろう。

 

 

遥かな村々を望んでいる漁師の姿が印象的である。

漁師は村で歓待を受け、村を去るがもう一度村を訪れようとしても、もう二度と訪問することができなかったという。桃源郷とはある種の理想郷(ユートピア)で、現実には存在しない世界を描いている。

理想郷であるが故に、一面の桃の花に覆われた世界は、より美しいのかもしれない。

 

 

絵の年紀「文政庚寅」より文政13年(1830年)豊彦57歳の時の作品と分かる。豊彦円熟期の作品と言えよう。

 

 

漁師の遥か先に神社仏閣らしい建物が霞んでいる構図も、画面の広がりを表現し、見る者をゆったりとした桃源郷に誘うようである。