福原 五岳(ごがく) 秋景山水図 絹本
尾道出身で大阪で活躍した福原五岳(1730年~1799年)の山水図である。この作品は尾道の豪商亀山家に伝来した作品である。
人物画とともに山水画を得意とした五岳らしいスケールの大きい画である。手前に大きくそびえる岩の小山が、画面全体を引き締め、特徴的な構図となっている。
描かれているのは、大きな川で、川を行く船により川幅の広さを表現しているようである。岩山の頂上の木々は、手前の葉が濃く、奥の木の葉は薄く描かれている。
落款には「乙酉秋」とあり1765年(明和2年)の作で、福原五岳35歳の時の作品である。画面全体が緊張感があり、五岳の充実した時期の水墨画と言えよう。
川向こうの山々も丁寧に描き、前面の小高い岩山が、画面に力強さと緊張感を与えている。
五岳の師、池大雅から多くのことを学んでいた壮年期の福原五岳の力作と言えよう。