円山応挙 「岩に鶯図」 絹本
横32.5㎝×縦27.5㎝
このブログも第100回の区切りを迎えることができました。継続して見ていただいている方々に感謝いたします。今後とも平田玉蘊を中心に、江戸絵画の魅力を発信できれば、と思っています。
今回は円山応挙の「岩に鶯図」である。
岩に降り立った鶯が、上空を見ている一瞬を描いている。横32.5㎝×縦27.5㎝の小品であるが、さすがに応挙の筆で、広い空間を感じさせる構図で、鶯が躍動している。
岩に立つ足がピンと伸び、生命力が感じられる。口ばしの周りにある細い産毛を繊細に描き、黒いつぶらな鳥の瞳も魅力がある。
岩は二つ描いているだけだが、陰影だけで立体感を上手く表現している。枯山水に置かれた岩のようで、無限の広がりを想像できる。
応挙の魅力を安河内震真美さんは次のように述べておられる。
常に懐中に写生帖を忍ばせ、スケッチに余念がなかったと伝えられています。(中 略)「生を写し、気を描く」を神髄とした彼は近代絵画の祖、写実の祖ともいえま す。(「くつろぎを知る大人の骨董生活入門」より)
この円山応挙の「岩に鶯図」は、まさに「生を写し、気を描」いた作品と言えよう。