平田 玉蘊(ぎょくおん) 赤壁の賦図 絹本
横41㎝×縦114㎝
蘇軾が三国志で有名な赤壁の戦いの場所を訪れたた際の心情を詩に綴った「赤壁の賦」をもとに、平田玉蘊が絵画化している。
月夜に客人と船を出し、古戦場を偲びながら、清遊している。船の右端が蘇軾で、真中で楽器(洞簫 とうしょう)を演奏しているのが客人であろうか。漢詩の世界を忠実に描いている。
「客に洞簫を吹く者有り。其の声嗚嗚然として、怨むが如く、慕うが如し。」と洞簫の音色が哀切を極めた、との漢詩を忠実に踏まえた絵となっている。玉蘊の漢詩的素養の深さを感じさせる。
また、この絵では断崖絶壁は険しく描かれ南画的世界が描かれているが、どことなく日本的な穏やかさもある。玉蘊の円熟期の作と言えよう。