明治の狩野派再興運動 狩野探美 (91) | okuda8888のブログ

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狩野探美(1840~1893) 「若竹鶏之図」  絹本 

              横48.5㎝×縦123.0㎝

 

前回は幕末に狩野派再興に尽力した「狩野中信」を紹介したが、今回は明治期において狩野派の絵を再評価させようと

した狩野探美の作品である。

 

 

狩野探美は狩野探淵の次男として生まれ、鍜治橋狩野家の10代となる。明治維新後は海軍操練所製図所に勤務する傍ら、皇居造営においては、御用絵師として参加し、狩野派の復権を果たそうととして、活躍するが54歳の若さで亡くなる。横山大観とも交流があったようである。

 

 

この絵の魅力は鶏の羽の美しい表現と、若竹のすがすがしさである。鶏の尾羽は漆黒の黒い羽と白い羽根のコントラストが鮮やかであり、胸の羽は艶々とした美しさがある。さすがに鍛冶橋狩野派の10代としての風格がある。

若竹の葉の緑は鮮やかで伸び伸びとしている。絵を見ていて、心が癒されるような絵であり、優れた技量を感じることができる。

 

 

落款に「乙酉春日 探美」とあるので、探美45歳の作と分かる。54歳で探美は亡くなっているので、最も脂がのった時期の作品と言える。若竹鶏の図は狩野派の絵としては完成度が高いが、西洋画や横山大観などの革新的日本画が流行していた明治時代においては、狩野派を墨守していた探美の作品では時代から評価されることは難しかったのであろう。54歳の死が彼の苦渋を物語っているようである。