平田 玉蘊(ぎょくおん)(55) 「鶴・亀図 双幅」 絹本
各 37.5㎝×108㎝
平田玉蘊の「鶴・亀図 双幅」で、穏やかな鶴と亀の家族が描かれている。
鶴図は雄、雌の丹頂鶴に子供の鶴が描かれている。奥が父親、手前が母親、足元に生まれて間もない鶴の子供が母親に何かを訴えて鳴いている。
よく見ると、母親の鶴の目は微笑むように半開きである。慈愛の満ちた鶴を玉蘊は上手く表現している。また、背後に描かれた小松も緑が美しく、これから大きく成長するだろう鶴の子供とともに、画面に華やぎを与えている。
一方の亀図も親子を描いている。一番右が父親亀で、真ん中が母亀。母亀の甲羅に上っているのが、子亀である。岩に配された緑の笹も色鮮やかである。
この図では、子亀の表情がなんとも愛らしい。これから育っていく世界でどんなことがあるのか、興味津々の表情である。父亀の甲羅に苔をつけ長年生きてきた自信の表情、母亀は何となく子亀のことが心配な表情、子亀の腕白そうな表情が上手く表現されている。
何気ない鶴の家族や亀の家族から、幸福感の伝わってくる「鶴・亀図 双幅」である。