平田玉蘊(ぎよくおん)(54) 「蓮の花」(下絵) 紙本
平田玉蘊の下絵「蓮の花」である。
本画は残っていないため、下絵で出来上がりを想像するしかない。また、玉蘊の「蓮の絵」は類例がなく、貴重な作品である。
手前に大きな蓮の葉を描き、その後景に蓮の花を描いているが、葉の葉脈を始めかなり写実的でリアルに描いている。青緑色の葉の色や背景が独特の世界を形造っている。
下絵のため「玉蘊女子」とのみ署名し、印は押されていない。下絵とは言え、かなり丁寧に描き彩色しているため、本画と言っても差し支えない出来栄えである。
花弁も丁寧に描き、仏教画のような静謐な世界を描いている。