平田 玉蘊 (51)「天保九如(てんぽうきゅじょ)図」 絹本
横32㎝×縦108㎝
平田玉蘊の描く吉祥画「天保九如図」である。「天保九如」の意味するところは、中国の古典「詩経」で天子の長寿を祈る詩にちなみ、九つの要素を描き込んだ理想の山水画を表す。
九つの画題は「山・阜(大きな丘)・岡(小山)・陵(大きな丘)・川・月・日・南山(長安の南の終南山を指す)・松柏(松)」を描き込んだ画を「天保九如図」と言う。この絵の中で、九つの要素を確認してみていただきたい。(月は退色のため、わかり難くなっているが、落款の下に三日月が描かれている。)
落款には「天保九如図 丁亥 勉夏 玉蘊」とあり、文政10年(1827年)玉蘊41歳の時の作品と分かる。
平田玉蘊円熟期の作と言える。中国風の山水画にも取り組んできた玉蘊の一つの成果を示す作品といえよう。