平田玉蘊の代表作 朝顔と鶏図 (63) | okuda8888のブログ

okuda8888のブログ

ブログの説明を入力します。

平田玉蘊(ぎよくおん)(43) 「朝顔と鶏」図  頼山陽 賛  絹本

            横 34㎝ × 縦 101㎝

 

平田玉蘊の代表作の一つである「朝顔と鶏」図である。

 

 

この絵の素晴らしさは彩色の美しさにある。玉蘊の絵は色彩を押さえた絵が多いが、この鶏図は華やかな色をふんだんに使っている。

 

 

鶏冠の赤、首から胸にかけての羽根は臙脂色で羽根一枚一枚白く縁取ることで、立体感が生まれている。

尾羽根は墨色で勢いよく一気に描かれ、鶏の生命力を表している。背景の朝顔は水色の絞りの入った繊細さがある。

 

魅力の二つ目は、頼山陽が賛を入れている点である。

 

 

頼山陽の漢詩は「牽牛花発暁蒼々」と書き出さる。牽牛花は朝顔のこと、夜明け前の暁の時刻を想定し、明星は出ているが、人々はまだおきておらず、鶏はよく早朝に騒ぐが、どこかの夫婦がそれを戒めている。と玉蘊のこの絵を見、詩想を得て漢詩を詠んでいる。

山陽の書に詳しい人によると、この書体は山陽の若い頃の書体であるとのことである。京都に出た山陽が初めて広島に帰京し、尾道に立ち寄ったのが文化11年(玉蘊28歳、山陽35歳)であるので、その頃の作と推測できるかもしれない。

 

 

細部をよく見ると、鶏の足の鱗など緻密で力強く描かれている。大地をしっかり踏みしめている表現は、玉蘊の代表作である「軍鶏図」(浄土寺蔵)に通じるものがある。

 

文化8年~10年にかけて、お互いに惹かれあった二人であるが、種々の事情から結婚することは叶わなかった。

玉蘊はこの作品に、渾身の情熱を注いで描いたことが見て取れる。二人の芸術家としての誇りと意地がぶっかり合った、記念碑的な作品と言えるだろう。