尾道出身の画家 福原五岳 Ⅱ (62) | okuda8888のブログ

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福原五岳(ごがく) (2) 「山水図」 龍公美 賛  絹本

         横 51.0㎝× 縦 112㎝

 

福原五岳の山水図である。五岳は人物図とともに「山水図」も得意としていた。師の池大雅の影響を受け、力強く雄大な作品が多い。

 

 

この作品は、水墨画で引き締まった画面構成になっている。手前には集落から橋を渡ろうとする老人を描き、中央には大きな川がゆったり流れ、中景では楼閣の建物、遠景は遥か山の上に寺院らしい建物が見える。

 

賛を寄せているのは、当時京都で漢詩人・儒学者として著名であった「龍公美」の漢詩が書かれている。

 

 

川は豊に流れ、峰は高く夕暮れの頃、柳の村、竹の里には酒屋の旗がひらめいている。

一本の杖を持った人が橋を渡っている。僧を訪ねてさらに東に向かっているのであろう。と、絵に即した内容の漢詩が添えられている。

 

 

福原五岳と池大雅との間に、酒をこよなく愛した五岳らしいエピソードがある。あるとき京都の五岳の家で大雅と高野山にお参りしようと身支度をしている時、偶然頼春水(山陽の父)が訪れてきた。懐かしい再会ということで、酒盛りが始まり五岳が酒を飲み続けたので、高野山への旅が取りやめになったという逸話が残っている。

この逸話のように、五岳は物事に拘泥しないスケールの大きな心の持ち主であったのであろう。

この絵には曽我蕭白にも負けないような水墨画の迫力がある。