電動アシストスポーツバイク(E-BIKE)を試して乗ってみる(18kチャレンジ暗峠編) | ヒト・モノ・アソビ... 人生を楽しく快適にしてくれる素敵なものたち

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サイクルと山遊びのオキドキライフスタイルから発信

 
え! e-Bike?とうとうオキドキライフスタイルの店主も「電気」に手を染めたのか・・・ そう受け取る方も多いかとおもいますが、もともと「電気」はニガテであっても否定的ではありません。むしろニンゲンの作り出せる唯一のエネルギーですから多くの部分でジンルイの将来を握っていると思います。簡単に言えばエネルギーとは太陽から得られたものが形を変えて都合よく取り出せる情況(物質)のことをいうのですが、サンサンと照り付ける太陽光をエネルギーとして利用するのは「電気」として使うのが一番簡単なのです。水力でも電気は作れるぞ! でもその「水」を海から山まで運びあげたのは誰でしょうか?太陽熱で水蒸気化、雨を降らせたのです。風力は?温度差によって生まれたものです。水や空気はあくまで媒体であってエネルギーの本質ではありません。石油、石炭は?その昔に太陽に育てられた森林植物が堆積炭化してできたものです・・
 
電気は否定しませんしむしろ大切ですが、なんでもカンデも電気化する必要はないとも考えています。逆に言えば「必要」であれば率先して電気化すべきとも考えています。ご存知の方も多いと思いますが、SRAMの「eTAP(電動無線変速)」に早くから食いつき、導入しています。変速操作を電動にする「必要」はあるのか?いいえ、ありません。目的はケーブルであれ電線であれ、操作に必要な「繋がり」を無くして「無線」化することです。機械式でも無線(つまり直操作=オートバイの変速がそうですよね)になるならそれでも良いですが、自転車の場合は無線化するためには電動とするのが良く、その結果がSRAMの「eTAP」というわけです。シマノ他の有線電動変速はその「必要」を満たしていませんので、一体何のための電動化なのだろうかと不思議でしかないのです。むしろ「不必要」に思えるのです。
 
動力の電気化、つまり電動アシストについても同じように「必要性」があれば歓迎して推して行きたいと思います。軽快車、つまりママチャリの電動アシストは運用や安全性についての問題は置いておいても、実用上は非常に「有効」なものだと考えています。移動や買い物、幼児の送迎、高齢者の自力移動・・・電動(アシスト)化することで社会的にも、個人的にもメリットが現れているものです。これだけ普及したのも当然のことだと思います。
 
一方で、スポーツサイクルの電動化はどうでしょうか?必要?不必要?そもそも「身体を動かす」が目的のスポーツサイクルなのですから、運動量を減らしてしまうことに電動化する「必要」があるのでしょうか?ラクをして体が鍛えられるのであればよいですが、同じ時間を費やしてその効果を低減させてしまうスポーツにその必要があるのでしょうか? 電動化すればキツイと思う登りは確かにラクになりますが、E-BIKEになることで10㎏前後の重量増となります。登りは恩恵でも、軽快に操る喜びを味わいたいスポーツサイクルの下りや平坦地(時速24km/h以上)にその重量増は無視できないものにはならないのではないでしょうか。電動アシストに対しては推進的でしたがスポーツバイクの電動アシスト「E-BIKE」に懐疑的なのはその目的とその「必要性」でした。
 
ところがある時、ショックなことが起こりました。仲間で山の中でキャンプをしようとなったときに、一人が「車が運転できない」「仕事が遅くにしか終わらない」というのです。移動手段は自転車のみ。夜遅くに急な山道を最小限のキャンプ道具だとしても自転車で来るのは無理でしょう。ところが「電動アシスト(一般車)」ではそれができてしまったのです。真っ暗な山道をライトで照らしながら、たいして息が切れることもなくキャンプ道具を持って遅れての参加を可能にしてしまったわけです。そうか!電動アシスト(E-Bike)はこれまでは自転車で「不可能だったことを可能にする」いわば別の「道具」なのか!と。決して楽をするためだけのものでない、となれば実用上も、遊びの内容も違った新しい体験が得られることになるかもしれません。重くなってしまった自転車はその重さが問題にならない用途に活用すればよい、ということに気づいたのです。
現時点で(法的に)ススピードの制約があってメリットの活かしきれないロードタイプや必ずしも乗って行ける路面状況ばかりでないMTBタイプのE-BIKEに興味は持つことはありませんが、いわば一般車に近い用途の「クロスバイクタイプ」であればその電動化の必要性が活きてくるのではと直感的に感じました。むしろクロスバイクの「スポーツ性」を制限して「実用性」を増長させれば相当に使い勝手のよい、そして巡行距離も、勾配登坂性能も高い別次元の「実用車」ができるじゃないか!というわけです。 タイミングよく、cannondaleからそのベースとなりうるモデルが先行発表されました。「Quick NEO」。しかも動力ユニットは世界的にも信頼性の高い「BOSCH」です。早速ボッシュジャパンの「技術講習会」に参加して取り扱い認定をいただきました。

出来上がったQuike NEOはその用途、狙いが明確にできているおかげで「ブレのない」ものに仕上がったと自負しています。物を運ぶ、という目的のために「軽量であること」は大きな意味を持たないため、むしろ強度や耐久性、実用性を重視して「重く」なっています。言い換えれば、速さや軽さの呪縛から解き放たれたことでしっかりと目的に向かったパッケージに再編することができたと思っています。そしてスピードや軽さに囚われなくなった面、遊び心や「雰囲気」に気持ちを廻すことができたと思います。一つ一つのパーツ選びが軽薄な「性能」ではなく、実用的機能や実用的耐久性、実用的応用のために選ぶことができました。
ところで、これまでの人力のみの自転車ではできなかった「新しい乗り物」としての真価を実験、評価する必要があります。単に「ラクになりました~」だけではなく「出来なかったことができましたっ!」という強い「必要性の証明」です。真っ先に頭に浮かんだのは、重量物を積載しての登坂、巡航です。重い物を担いで登るだけなら時には歩きのほうが、距離を走るだけなら人力の自転車のほうが、というところですがその両方をこなす「新しい乗り物」にしかできないこと・・・
 

「旧国道308号線暗峠 往復運搬走行」
単純に「勾配がキツイ」として有名な峠越えを18Lポリタンク(推定18kg)を積載して往復走行してみようというものです。区間は奈良県側の山越え基点「砂茶屋」から大阪府側の山の麓「枚岡神社」までを往復、というもの。実際には砂茶屋に駐車スペースがないため、「あそびの森」をスタート/ゴールとしました。
7月1日、当日はあいにくの雨、曇り模様。これも滑りやすい悪条件でのテストとしては「好条件」です。運動、発汗の多いサイクリングにおいて雨具の着用は苦痛なものとなりますが、電動アシストによって運動/発汗が抑えられればこの悪条件が解消される成果を示すことができます。動きやすい服装を選択しながらも専用性の高いレーパンは着用なし。逆に安全のためにヘルメットとグローブは装着します。荷物は背負いたくはないのですが、最小限のパンク修理、飲料水をバックパックに背負います。
 
奈良~大阪の府県境越えですが実は生駒山以外に奈良県側に小さな丘陵(矢田丘陵)がありここを含めて2回の峠越えがあります。個人適によく知った道なのですが、実はこの奈良県内の峠、「榁木峠(むろのきとうげ)」のほうが短くとも勾配が急だったりします。FF軽で登り切れなかったのはこちらで、バックで下がって勢いをつけなおして登り切った経験が過去があります。 
途中経過を省きます。往路の登り、奈良県側の暗峠までは何ら問題なく登ります。大阪側へ向かって下り、枚岡神社で折り返しての峠までの登りが良くネットで紹介されている急登が長く続くのですが、結果的には30分ほどで登ることができました。徒歩での参考時間が1時間ほどですし、積載無しのフロントトリプル自転車では足つきはなかったものの、途中休憩を入れてなんとか登り切ったことを考えると、重い荷を積んだまま、身体へのダメージが少なく登り切ることができたのは十分評価に値します。どんなに途中に休みをいれたとしても18Lを運び上げることは不可能だっただろうと思えます。
 
この結果から電動アシストスポーツバイク、つまりE-BIKEも「必要」な用途があれば非常に有効な乗り物であることが実感できました。身体を動かす「運動」のためにスポーツバイクを選ぶのであればE=BIKEは不要に感じますが、新しい乗り物として未知なる可能性、想像もしなかった体験を得るものなのかもしれません。
 
BIKE Specification
Maker:cannondale
Model:Quick Neo
DriveUnit:Bosch Active Line Plus 500Wh