戦い
外は明るくなってきたけどまだまだ時間は早いらしい。
寝すぎて目は冴えている、変わらず腰は激痛だ。
明るくなってきて少しずついろんなものが見えてきた。
右手は腕に点滴の針が刺さっている。
左手の甲にも点滴の針(こちらは何かあった時のためのキープ)
夜中、指が開かなくてこれは自分の力がないのか、麻痺とかで動かせないのかぼーっとした意識のなかで一生懸命開こうと努力していた。
その理由が分かった。
手術の器具を止めていたであろう粘着テープが強力すぎて指がくっついていたのだ!
渾身の力で少しずつはがすんだけど、これがほんとに強力で、ネチョネチョビッタリ貼りついてる。
こんな強粘着なテープどこに売ってるんじゃ!と毒づきながらなんとか指が離れた。離れても油断するとまたくっつくので指に残った粘着剤を少しずつはがしていく。
何気なく触ると顔もべたべた。
これもとめていたテープの粘着剤が残っているようだ。
時間をかけてそれもはがしていると看護師さんがやってきた。
おかんさんおはようございます。
何やってるの?
あららほんと!テープの跡が残ってるわね。あとであったかいタオル持ってくるからはがしましょうね!
ほんと看護師さんは天使だ!とっても優しくてとっても頼りになる!
足のポンプを外してもらう。(涼しくて気持ちいい~)
朝の検温が終わったらおしっこの管を抜くと言う(やったぁ)
点滴も全部落ちたら抜けるらしい(めちゃうれしい)
点滴は万が一のための左手甲を残し右手だけ抜いてもらう。
おしっこの管を抜いてもらい自力でトイレに行く。
少しずつ自由に動けるようになってきた。
傷口のガーゼを交換してもらって体をふいて(顔のネチョネチョも)手術着からパジャマに着替えた。
左手の甲の点滴の管と体から出る液をためておくドレーンバッグがつながているだけ、ドレーンバッグはポシェットに入れてかばんみたいに肩にかけて移動できるようにしてくれた。
今日は病棟の中だけの移動にしてくださいね。気持ち悪くなったりふらついたらすぐに呼んでくださいね。
相変わらず声が出しにくい。声帯が傷ついてるのかなぁ?
朝ご飯から普通食がでるらしい。
24時間以上なにも食べてないけど点滴のおかげかおなかは空いてない。
というかまだなんとなく気持ち悪い。
大好物のシラス大根おろしすら食べられず・・・
気持ちも悪い上に左手甲に刺さった点滴の針がじみーに痛くてお箸が持てないの!
痛み>食欲のようだ。
夜中
うとうとして目が覚めると消灯時間がすんでるようで真っ暗のなか看護師さんが来てくれていた。
おかんさん、お水飲みましょうか?
ストローは?これね?はいはい
あれ?あれ?はまらない!!
手術中のどに管を通していたため、声がかすれて出ない。
必死でストローキャップの説明をするものの伝わらず、ペットボトルのキャップまで飛んでってしまった!夜中のハプニングに二人で大笑い。
一生懸命探してくれたけどめちゃめちゃ遠いところに飛んでってたので
カスカスの声で
もうキャップなくてもだいじょうぶ!と声をかける。
お水を一口飲んだらまた吐き気が・・・
お水飲んだら吐きそうだから吐き気止めいれてもらえますか?とカスカス声でお願いする。
点滴から吐き気止めを入れてもらってすこし楽になってきた。
ここから、たくさん寝たから眠れない。動けないから腰が痛い。
地獄の戦いがはじまった。
動かせるだけ足を動かしたり体を横に向けたりしてみる。
看護師さんが来てくれた時に体のしたに布団を丸めたのをクッション代わりに入れてもらう。
どこか痛いとか気持ち悪いとかある?
と聞かれるたびに
こ、腰が痛いです・・・と答えるおかん。
腰、痛いんだよねぇ・・・で流されるおかん。
かわいそすぎる(号泣)
だんだん空が明るくなって長い長い夜がようやく明けようとしていた。
早く自由になりたいよー!!
目覚め
体を揺らされ(おそらく手術台からベッドに移動されたんだろう)
遠くで
おかんさーん!終わりましたよ~!と声がする
ハッとして目を開けるとすんごいやかましい。
ガチャガチャと機械を片付けるおと、爆音でかかってるback numberの「怪盗」ちょうど見ていたドラマの主題歌だなぁ・・・と思ってるとだんだん意識がはっきりしてきた
おかんさーん!目あけてー!
目を開けたらめっちゃ気持ち悪い!天井が回ってる感じ?
げ!なんやこれ!車酔いみたい。吐きそう、動かさないでー!
おかんの気持ちはそっちのけで体についた管とか機械とかすごい勢いではがされ(固定のテープ)外されていく。
おかんさーん!終わったよ!
部分切除、リンパ転移なかったからガンだけ取って終わったからね!
この手握り返して!
(おだやか部長先生の声)
ちから入らへん・・・とよわよわしくでも精一杯の力で握り返す
反応弱!オーケーだね!15時55分終了
え?オーケーなん?こんな力入らなくてだいじょうぶなの~?と思ってるけど酸素マスクつけられてるからしゃべれない。
おかんさーん病室帰るよ~!
いや、動かさんといて!気持ち悪いねん!!
おえー吐くー!!
マジで気持ち悪い・・・
伝える術もなくゴロゴロとベッドごと部屋に運ばれた私。
目開けると気持ち悪いからじっと目を閉じて耐える。
はーい!おかんさーん!帰ってきたよ~
ここに眼鏡置いとくからねー
お水はまだ我慢ねー
気持ち悪かったら言ってねー!←気持ち悪いです・・・
放射線科のものです、おかんさーん!今から背中に板を入れてお写真撮りますよ~!ちょっと板入れまーす!
気持ち悪いからそっとしておいて!と思うおかんの叫びは届かない
はーい!終わりましたぁ!ありがとうございました!!
そこで意識がなくなった。
少し寝たのかな?
気が付いたら看護師さんが様子を見に来てくれていた。
おかんさん、気持ち悪いの治ってきた?もう酸素マスク外しますねー
お水はもう少し我慢ですよー
ふぁ~い マスクを外してもらったのでやっと自分の力で呼吸ができて楽になった。
暑くて暑くてかけてくれてるお布団を少しだけ動く足で蹴り飛ばす
足にはマッサージ機みたいな膨らんでしぼんでを繰り返す機械が付いてる
おしっこの管
ドレーンの管
点滴
いろんなものがつながっていて思うように動けない。
右は手術してるから下に向けて寝ないこと!
ドレーンの管はすぐに抜けるからバンザイみたいに伸ばさないこと!
足の機械は明日までつけてるけど、動かせればどんどん動いてくれてかまわないから!
と説明を受ける。
あ!忘れちゃいけない!
おかんには重要ミッションが残っている。
家族に終わったと連絡をしなくてはならなかったのだ。
え?付き添いなし?と思ったそこのあなた!さすがです!!
話せば長くなるのですが、聞いてくれる?
おだやか部長先生の診察の時、付き添いのことを聞くのを忘れたおかん。
後日外来に電話して聞いてみた。
先生がなにも言ってなかったら付き添いなしでよいと看護師がいってます。
と・・・
コロナのこともあるから付き添いしちゃダメなのかな?と思ったの。
でもやっぱり全身麻酔だし、付き添いいらんの?と思って入院支援の看護師さんにも確認したの。
コロナもあるからひょっとしたらおかんさん元気だし意思疎通も問題ないし、手術もそんなに時間がかからないから付き添いいらないと判断されたんだと思いますよ。
と。
この病院は付き添いだめなのかもしれないなぁ・・・
と思っていざ入院したら病棟の看護師さんが
おかんさん!付き添い誰かくるよね?手術の後先生から説明もあるんですけど。
え?付き添いいらない!って外来と入院センターの看護師さんに言われちゃって旦那は仕事入れたみたいです。
あら?そうなの?じゃ、付き添いなしということで。
ということでおかんは一人でガンを告知されひとりで手術を受けました。朦朧した意識のなかで先生の説明を聞くより、意識がはっきりしてる家族に説明を聞いてもらいたかったよ・・・
ですので、家族への連絡をせねばならない!
スマホ取ってください
スマホ?はい!
あ、眼鏡も
ハイハイ眼鏡ね!
左手は点滴の針が手の甲にささってるので痛くて動かせず、結局オペした右手で操作する。
案外右手は動かしても痛くない。
とりあえず家族ラインに
おわった!元気!
おとたまからジジババに連絡してもらうようにしてたんだけど、本人から伝えた方が安心するかな?と思ってライン。
姉にも
近所の仲良しさんに
どんどん目がさえてきてお守りをくれた委員会の仲間にも
考えつくみんなに無事だ!と連絡してまた少し目を閉じる。
手術終わりってあんなに慌ただしいんだね。ジェットコースター並みにいろんなことが一気に終わった気がした。