日能研の6年夏休み専用のテキスト、通称「428」。

 

今年も既に配布済みだと思いますが、昨年我が家ではどういう感じで取り組んだのか参考までにお話したいと思います。

 

まず最初にやったのは「インデックスシール」の貼り付け。

教科やセクションごとに色分け&問題番号(10問づつで1枚)を書いて貼っただけですが、これだけでも目的のページが開きやすくなりますのでお勧めです。

 

ただ取り組み自体は特に工夫はしませんでした。

算数は1周目で間違えた問題は2周目、2周目も間違えた問題は3周目で潰すという方法を採用しましたが、他教科は日能研の指示通りに1周だけして、間違えた問題は解説を読んで終了しました。

 

因みに長男の算数の不正解率は1周目が約10%でした。

2周目はそのうちの20%(全体では2%弱)、そして3周目の不正解は0でした。

(※短期間で3周目を行うのは答えを覚えてしまっているので意味が無いようです。)

 

スケジュール的には1日40問を目標に取り組み、3周目までに15日間をかけました。

 

ただ、長男は算数だけは公開模試でも偏差値が70台という典型的な「算数大好き男子」でして、教室で「1番に終わらせたい」という本人の希望もあって、15日間で取り組んでしまいましたが、普通は夏休みが終わるまでに1周目が終わっていれば問題無いかと思います。

 

で、ここからが大事なお話なのですが、算数の場合「428」で一番重要なのは2周目で間違えた問題にあります。

 

要はその問題がその子の「穴」なのです。

実際10月頃にもう一度2周目の問題(1周目でミスした問題)をやらせてみましたが、同じ間違えが数問ありました。

ここで間違えた問題は基礎の段階で何かが抜けている可能性があると判断したので、我が家では本科テキストや四谷大塚の「予習シリーズ」などから類題を探して徹底的に穴を潰す取り組みをしました。

 

そして直後11月の公開模試では久々の20番以内をGET。

 

この結果には長男も喜んでいました。

が、今思えばこの時が長男のピークだったのです・・・その話は別の機会に。

我が子が3年生の頃、日能研に入塾するタイミングで知った『男子御三家』。

そのときの「武蔵」についての印象は、御三家といいつつも、駒東や海城と同等か或いはそれよりも下の感覚で捉えてました。

実際に東大の合格実績なども低迷してましたし、偏差値55以下の子でも頑張れば受かるチャンスのある学校だと聞かされたり、日能研R3/R4(2018~2020)の内容を見ても何となくそんな感じの印象でした。

 

■武蔵、駒東、海城➁(R3/R4) 

2018年 武蔵(59/64)駒東(62/64)海城②(62/65)
2019年 武蔵(59/65)駒東(60/63)海城②(63/65)

2020年 武蔵(62/65)駒東(61/63)海城②(63/65)

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2021年 武蔵(61/66)駒東(63/66)海城②(63/67)

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2022年 武蔵(63/67)駒東(60/65)海城➁(65/67)

2023年 武蔵(63/67)駒東(63/66)海城②(64/67)

2024年 武蔵(65/67)駒東(63/65)海城➁(63/67)

※因みに2024年は開成(70/72)、麻布(64/67)でした。

 

長男が入塾したのは2021年の2月でしたが直前3年くらいの状況を駒東や海城②(2月3日)と比べて「武蔵って割とチャンスのある学校なんだな」という非常に舐めた捉え方をしていました。

 

おそらくですが、2024年受験組のご家庭で我が子が偏差値65を超えていた場合、「武蔵ならまず順当に受かるかな?」くらいに入塾当初は考えておられたと思います。

私もそのうちの1人です。

 

ですが、2021年を境に状況は変化していきました。

そして実際に2024年、蓋を開けてみれば「駒東」どころか「麻布」よりも難化していたのには正直驚きました。(日能研からは僅か21名しか合格出来なかったと言うのだから・・・本当に酷な話です。)

 

ただ、ここまで難化すると2025年以降は敬遠組も出てくると思います。

特に最上位層(偏差値70前後)であれば麻布の方が安全だと考えるだろうし、偏差値65前後の子でも6年後の出口のことを考えれば最初から「駒東」を選択するというご家庭も増えてくると思います。

 

武蔵には昔からの根強いファンがいると聞きますので大きく易化することはないでしょうが、2025年以降は少しづつ緩和されていくのではないかと・・・。

とは言え、かつての私のように「武蔵」を数年前の感覚で捉えて舐めていると痛い目に合うと思いますので要注意です。

2024年の『麻布』は日能研からの合格者が前年から大幅に増えました。

ですが、これは前年2023が大幅に減少(失敗)したのが原因であって、2024年はむしろ平年並みに戻っただけという見方もあります。

以下に過去5年間の合格者数をまとめてみました。

 

■麻布 日能研合格実績(日能研の受験者数)

2020 65人

2021 53人

2022 69人

2023 32人(115人)

2024 59人(105人)

 

こうやってみると2023年が異常値だったことがわかります。

因み2023年の減少原因については様々な憶測がありましたが、その中の1つに「日特講師の交代が原因なのではないか?」という噂がありました。

どうやら何年も麻布を担当していた日特講師が2023年に開成担当に配置換えになっていたそうです。

そして、その開成の方はと言うと2022年は36人に対して2023年は48人と大幅に合格実績が伸びたのも事実です。

 

とは言え、1人の講師の力量がここまで結果に影響するとは思えず、他の要素も多分に占められてはいるのだと思います。

それよりも「麻布の試験問題が日能研生に有利な年とそうでない年が交互に来ている」という都市伝説の方がまだ信憑性がありそうです。

 

あと、2024年の麻布ですが「実質倍率が2.0を下回っていたのでは?」という言う噂も・・・。

初めてその噂を聞いた時は衝撃的でした。

麻布と言えば、言わずと知れた名門御三家の超人気校です。

その麻布に受験者の2人に1人が受かるなど、にわかに信じ難い話です。

 

でも実際に日能研の「志望校人数推移」をみると、2024年は偏差値60-64の子でも3人に1人が合格していました。

そして偏差値60未満の層からも合格者が出ていました。

 

また、偏差値65以上の合格率は73%と非常に高い結果でした。

因みに『開成』の偏差値65以上だと合格率40%、もう一つの御三家『武蔵』の偏差値65以上の合格率でも48%しかありません。

参考までに2/3海城➁で72%、同じく2/3早稲田➁では59%という厳しい結果で、安全志向が強いと言われる2/1駒場東邦でも76%という具合。

 

この結果を見て上位層の子(偏差値65以上の子)を持つご家庭の中には「73%も合格するなら麻布にチャレンジさせておけば良かった」と後悔された親御さんも一定数いるのではないかと思います。(私もそのうちの1人です。)

そのくらい73%は高い数値だと思います。

 

ただ、麻布の現状については気になる数値もあります。

それは東大合格者数(出口)です。

 

2024年の東大合格者数ですが麻布は55人(前年比▲24人)という結果でした。

開成149人(前年比+1人)、武蔵26人(前年比+5人)と、他が大きく変わっていない中で麻布の落ち込みは大きく目立って見えます。

 

果たして2025年の麻布は人気回復で難度が上昇するのか、それとも更に易化してしまうのか・・・。

夏休み前のこの時期に悩んだのが「後期日特」と「早稲アカのNN」のこと。

7月のNN志望校別オープン模試を受けた息子の結果は20番台と好成績でした。

 

後日、早稲アカから電話があり「NN1組にも入れる好成績ですが入塾を希望されますか?」とお誘いを受けたのですが、その時はお断りしました。

 

NNには魅力を感じてはいたのですが、日能研で毎週行われるテストのことを考えるとNNという選択はありませんでした。

日能研は6年生になるとテストが日曜日に開催されるため、もしNNを受けてしまうと毎回後日受験(月曜日など)をすることになり、スケジュールがきつくなるのです。

 

ですが、この考えは間違いでした。

そもそも日能研の9月以降(後期)に受けるテストにそこまで意味が無かったからです。

 

6年前期までの育成テストは単元の復習という意味で欠かせないものでした。

でも、6年後期のテストは「実践力○○」とか「合格力○○」などタイトルだけは素晴らしいのですが、単元の復習要素はほとんどなく、学校別の予想問題でもない何とも中途半端な内容ばかり。

 

『いろんなタイプのテストを受けることで合格力を身に付ける』というコンセプトらしいのですが、受ける学校が既に固まっていて出題傾向もここ数年大きく変化がない場合、無駄なテストになるケースも。

(特に超難関校を目指すレベルの子達の場合は多くがそのパターンになると思います。)

 

一番疑問に感じたのは日特で1回だけある学校別トライアルテスト。

NNオープンやサピックスの学校別OPのような予想問題が出ることを期待していたのですが、似ているのは出題形式くらいで、その学校らしさがあまり感じられないような内容だったことに受けた本人も困惑した様子で「仮にこのテストで上手くいっても、本番で上手くいく気がしない」そんな感じの感想を漏らしてました。

 

中堅校を目指すというのなら、日特(日能研の方針)でもいいのかも知れません。

もしくは伴走している親が優秀で自宅学習でいくらでも補強できる環境なら、日特だろうとNNだろうと塾の方針はあまり関係ないとも思います。

ですが我が家は違いました。

 

想像してみてください、NN受講生が9:30~18:00まで志望校に特化した授業をみっちり受けてるのに比べ、日能研の日特受講生は午前は志望校とは関係ない塾共通の「○○育成テスト」を受け、午後から半日だけ志望校別の授業を受けるのです。

朝も早くに家を出て、わざわざ遠方の教室まで通っているのに、意味のある授業は半日分だけ・・・。

これでNN受講生に勝てますか?

 

実際に我が子の場合、お正月に受けた「NNそっくり模試」では順位が140番台にまで落ち込んでいました。

7月と9月のNN模試ではNN1組レベルの成績だったのに、日特に通い終わった段階ではNN5-6組とかそういうレベルまでライバル達に追い抜かれてしまっていたのです。

 

ここで我が家はようやく目が覚めたというか、これ以降日能研の方針には従わなくなりました。

1月は学校も塾(日能研)も全休し、日能研から指示されていた前受校対策なども全て捨てて、毎日ひたすら2/1校と2/2校の過去問を解くことだけに集中する自己戦略に切り替えたのでした。

過去5年間の日能研実績(男子御三家)をまとめてみました。

 

2020年 開成38、麻布65、武蔵30 合計:133人

2021年 開成30、麻布53、武蔵27 合計:110人

2022年 開成42、麻布69、武蔵35 合計:146人

2023年 開成48、麻布32、武蔵28 合計:108人

2024年 開成38、麻布59、武蔵21 合計:118人

 

当然、年によって凸凹はあるものの総じて150人未満という結果です。

もちろん、日能研の場合は首都圏組だけではないし、2/1に御三家以外を優先するTOP層(渋々、駒東、早慶附属系等)も一定数いるので、この御三家組が上位150番以内というわけではないのですが、それらを含めても実際に超難関クラスに受かっているのは上位の200番くらいまでと見て間違いないと思います。(女子も同じような傾向なので男女だと400番くらいまで。)

 

つまり、日能研の公開模試を基準にするなら300番台(男女別順位なら100番台)までが超難関クラスで合格できる層という見方になります。

 

11,000人規模が受ける公開模試で300番台に入るのは簡単なことではありません。

それも1回だけ偶然ランクインしたとかではなく、ほぼ毎回ランクインしてるような成績でないとダメなのです。

そして更に厳しいことを言えば、そんなTOP層の実力をもってる子達でも2~3割は不合格になってしまうのです。

 

こうやって冷静に数字だけ並べると日能研に通っているTOP層なんて全く安心できないことがわかります。

でも、我が家では「公開模試の偏差値が65を超えていれば、なんとなく大丈夫でしょ。」みたいな生温い感覚で最後まで走らせてしまいました。

こんな話をすると「模試は安心感を得るために受けてるんじゃない」という声も聞こえてきそうですが、少なくとも我が家では模試の結果に安心感を求めていましたし、結果が悪いと吐き気がするほどの焦燥感に駆られていました。

 

でも、それが完全に誤りであったことに気付いたのは受験が終わってからでした。

そのあたりの話は長くなるので別の機会に書いてみようかと思っています。