オイラーマンの学習帳・備忘録  ( Evangelist of metalworkingfluid )
  • 19Jan
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      環境対応型塑性加工用潤滑剤

      アイルブ株式会社アイルブ株式会社は、環境対応型塑性加工用潤滑剤の開発・製造・販売会社です。社名は、理想的な潤滑剤を意味する英語「IdealLubricants」に由来しています。静岡大学工学部 中村 保 特任教授のご指導を受けながら、新規潤滑剤の開発をしております。ユカワ化工油株式会社 油剤部 https://www.yukawa.co.jp 名古屋銀行Business club https://www.bigadvance.site/s/148/1442 各種情報 https://ameblo.jp/oilboy801/

    • 提唱者が語る「機械と人間の調和」の重要性

      「インダストリー4・0=生産性の向上」ではない!  提唱者が語る「機械と人間の調和」の重要性ハーレーダビッドソンの米国工場(同社のウェブサイトから)。インダストリー4.0の成功例とされる工業のデジタル化を強力に推し進める「インダストリー4・0」の概念は2011年にドイツで提唱された。製造業におけるデジタルとアナログの融合を掲げたこの概念は瞬く間に世界に広がり、日本の産業界でも「第四次産業革命」として定着した。あれから10年。インダストリー4・0の現在地はどこにあるのか。「『インダストリー4・0』の象徴」ともいわれた工場が2020年春に閉鎖された。スポーツ用品大手のアディダスの「スピードファクトリー」だ。最先端技術を活用したシューズの生産拠点で、16年にドイツ、17年に米国で立ち上がった。ほぼすべての製造工程にロボットなどを導入し、シューズの生産速度を飛躍的に高めた。先進国でもカスタム商品を大量生産品と同水準の価格で短期間で製造できる「未来の工場」として注目を集めていた。アディダスがドイツ国内に新工場を建てるのは約20年ぶりだったが、壮大な実験はわずか4年で幕を閉じた。アディダスは生産ノウハウをアジアに移管、シューズは再びアジアを中心に製造されることになった。だが、アディダスの事例だけで、インダストリー4・0が失敗に終わったと考えるのは早計かもしれない。「(期待通り)広く普及している」。この概念の生みの親で、本田財団の今年の本田賞を受賞したヘニング・カガーマン博士(ドイツ工学アカデミー評議会議長)はこの10年での成果を強調する。インダストリー4・0は生産工程からサプライチェーンまでをデジタル化・ネットワーク化することで、生産効率を高めるのが大きな狙いだった。 そして、実際に、この10年で、あらゆる機械がインターネットに接続されることで、製造業の生産性は高まっている。例えば、「スマート工場」という言葉を一時期、よく耳にした人は多いだろうが最近はあまり聞かない。廃れたのではなく、大企業では日常の光景になったからだ。センサーが張り巡らされ、データがやりとりされる工場に真新しさを覚える人は今はいない。一方、「『インダストリー4・0』=工場の生産性向上」と捉えてしまうとアディダスの失敗のような事例は今後も減らないかもしれない。カガーマン博士は「機械と人間の調和」の重要性を唱え続けている。インダストリー4・0はデジタル化、ネットワーク化を進めることで、生産性向上のみならず、新たなビジネスモデルの創出や働き方の変化も包含している。 例えば、製品を売ることによって得るデータを使ったビジネスを生み出したり、作業の機械化によって、労働者がこれまでと異なる業務で新たな価値を生み出したり。こうした議論は工場の生産効率化に比べると、動きは鈍い。テクノロジーの進化にビジネスのプロセスもあわせて変えなければいけないが、追いついていない。テクノロジーと組織の議論が抜け落ちてしまえば、それは機械が人間から仕事を奪うという19世紀の議論になってしまう。組織を新しいテクノロジーに合わせて変革できるかがインダストリー4・0の真の実現には欠かせない。

  • 18Jan
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      変貌する世界経済2021年の展望

      変貌する世界経済2021年の展望~どうなる今後の米国そして中国~キーワード 中国製造2025 トウコウヨウカイ2035年時点で中国・香港のが米国を経済で追い越す。2060年で米国が中国を追い越す。中国製造2025の目標分野10項目 輸入に頼らない自国製造技術の確立DXがバックグラウンドとなる為、ハイテク分野の高度化が全てに決め手となる世界経済の主役となり、軍事的優位で共産主義を正当化して、中央体制(習近平体制)の求心力を維持する。中国(香港を含む)の経済成長でアジア圏が経済の中心になって行く。当面の世界経済の成長を考えると、米国と中国の鍔迫り合いは効果を生み出す。中国はIT技術を背景に独自化を進める。バイデン米国政権はトランプ時代の関税の増税による締め付け政策から、知財権での対抗策に変換して抑止力を強める。米国のグリーン政策においては中国との協調も有り得る。2021年からは経済はワクチン効果でサービス業の回復があり力強く回復して行く。アフターコロナでは、脱炭素の動きは加速するので製造業の従来型のプロダクツへの購買活動が継続して期待はできない。IT技術と環境関連、アフターコロナのニューノーマル消費に対応したプロダクツの開発に着目し、産業分野の中で成長点を探す必要があります。

    • コロナで鮮明になった中国の脅威

      コロナで鮮明になった中国の脅威 「制御する態勢が必要」 Emmanuel Todd/1951年生まれ。政治や社会を、家族構造や識字率などを踏まえた独自の視点で分析。ソ連崩壊やトランプ氏当選などを予見。著書に『グローバリズム以後』など  大野博人(おおの・ひろひと)/1955年生まれ。朝日新聞でジャカルタ、パリ、ロンドンの特派員や論説主幹を歴任。コラム「日曜に想う」を執筆した。昨春に退社後は長野県に移住  バイデン新政権のスタートを目前に、トランプ氏に攻撃されてきたエリートたちは変わったか。コロナ禍で見えた中国の脅威とは何か。*  *  *大野博人:社会の分断が各地で深刻化しています。米国のトランプ氏は国民を統合する指導者の役割を放棄して、分断し続けたように見えました。エマニュエル・トッド:ちがうと思います。もしトランプ氏がもっと礼儀正しくふるまい、その経済政策がまっとうなものだと人びとに認められれば、むしろ米国社会を統合するのに役立ったでしょう。 米国社会を分断し解体する脅威はどこにあるか。それは自らを少数者(マイノリティー)たちの政党と定義する民主党の政治の中に見ることができます。 そこで示されているのは、高学歴で高収入の寡頭支配層の人たち、高等教育は受けたけれど貧しい白人の若者たち、そして黒人、ヒスパニック系、アジア系の大集団などが集まった米国です。これでは統合された社会像になっていません。 もっとも、こんなきつい言い方をしてはいますが、もし私が米国人ならあきらかに民主党左派の支持者です。サンダース派になっていたでしょうけどね。■特権層の反省なかった大野:トランプ氏も意見が一致しない人、官僚やジャーナリストなどを敵と見なしていました。トッド:あなたが言うジャーナリストや官僚は、米国のエスタブリッシュメントです。申し訳ないけど、トランプ氏が彼らを憎み嫌うのには理由があります。 だって、彼の大統領就任以来、ニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙は批判するばかり。だからトランプ氏もその記者たちを嫌うようになった。これは自然な感情でしょう。 エスタブリッシュメントを攻撃したからといって、米国社会を分断することにはなりません。彼らこそ大統領から攻撃されて自らを振り返ったでしょうか。振り返らなかった。それが悲劇なのです。今の米国に必要なのは、ほんとうに賢明なエスタブリッシュメントです。最良の教育を受けた人たちが、自分の方がトランプ氏より米国民にとって何が良いのかを判断する権利があると考えるとしたら、それはちがうでしょう。 ふつうの人びとを民主主義への脅威と見なす人は、エリート主義的な情念から民主主義の理念そのものを破壊することになるのです。米国のエスタブリッシュメントの振る舞いは非民主的だったと思います。 それに民主主義がいつもクリーンなわけではありません。すでにその始まりにおいて、他者排斥の要素を含んでいました。特定の人たちが自分たちだけでつくり上げる仕組みです。だからほかの人たちに対抗する。 たとえば米国は米国人のものだと考える。それは、地球という惑星全体にとってすばらしい考え方ではないでしょう。でもそうやって民主主義はできた。 そんな民族単位の民主主義はいやだ、普遍的な帝国を支持する、ローマ帝国やワシントン・コンセンサスの方がいい、グローバルなエリートによって統一される世界を支持する、と主張する権利はあります。けれども、そうやって統合された世界は、民主主義ではない。寡頭制です。それを民主主義だと嘘を言ってはいけません。大野:グローバル時代の政財界の指導者やエリートが集まって世界にご託宣をたれる「ダボス会議」を思い出します。トッド:そのとおり。あそこに集う人たちは、自分たちこそ最良の世界を代表していると思っているかもしれません。けれど、それが民主主義だという権利はまったくありません。大野:あなたの米メディア批判を聞きながら、新聞記者だった自分のことを考えました。トッド:あなたを批判するつもりはありませんよ。私自身も7年間、ルモンド紙の文化面の仕事をしたことがある。記者の世界はよく知っています。 友人が記者たちをまるで化け物みたいに非難するのを聞いて、言い過ぎだとたしなめたこともあります。批判するのはシステムとしてのメディアです。■コロナに強い全体主義大野:さてコロナ禍に関して、あなたは中国に批判的です。ウイルスの発生源だからですか。トッド:コロナ禍によって、中国の脅威、とりわけ民主主義と自由への脅威がはっきりしたからです。 コロナ禍で、日本やドイツは比較的うまく対応しました。社会秩序がしっかりしていますから。中国は、その日独よりもっと秩序だっていました。全体主義体制だからです。その結果、危機に対して備えができているのは、全体主義システムの方だということになりました。 私たちは挑戦を受けているのです。歴史はひょっとしたら、全体主義国が持っている武器を民主主義国が持ち合わせていないという時代に入りつつあるのかもしれないからです。 ちょっと1930年代に似ています。ヒトラーのドイツや軍国主義の日本、スターリンのソ連など全体主義的国家の方が、態勢が整っていました。うっとうしい話です。今はその違いが当時ほど劇的な意味は持たないでしょう。でも、全体主義国家の方が危機には強そうです。 また、医薬品をはじめ物資の供給という点でも、中国への依存度の大きさに気づかされました。そして自由への脅威。中国は新しいテクノロジーで監視社会の体制をつくりつつあります。受け入れがたい。 中国を制御する態勢が必要です。コロナ禍は、その意識の高まりを世界で加速することになるでしょう。 ここでいっておきたいのですが、これこそトランプ氏の歴史的な勝利です。中国は問題だと言い出したのは彼なのです。大野:中国の脅威を押し返すには何が必要ですか。トッド:米国には、ロシアと敵対するのをやめて中国から引き離す戦略に転じてほしい。 ロシアは、日本と同じように中国に脅威を感じています。そのことを理解しなければいけません。もし、優れた米国の大統領がロシアと友好的な関係を結べば、中国から最先端の軍事技術を遠ざけることができます。 ただ私は中国が世界を支配する国になるとまでは思っていません。中国の優位は一時的でしょう。■大国でも国内は脆弱大野:中国が人口動態上の弱みを抱えているからですか。トッド:そうです。中国は14億という巨大な人口を擁しています。しかし、急速に高齢化しつつあります。これまでは生産年齢人口に恵まれましたが、その人たちが社会保障制度も整わない中で老いていきます。 状況をさらに深刻にしそうなのが伝統への回帰です。人びとはたくさん子どもを持たなくなったけれど、持つ場合は男の子の方をほしがり、性による選択的中絶をしています。その結果、たくさんの中国人男性が結婚できなくなるでしょう。 他方、教育面をみると、高等教育まで受けるのは15%くらい。ほかの先進国よりまだ低い。けれども巨大人口の15%です。たいへんな数になります。 だから中国は二つに引き裂かれています。高い学歴を持つすごい数の人材によって世界レベルで行動しながら、国内では不均衡に苛(さいな)まれている。外では大国、内では脆弱(ぜいじゃく)なのです。大野:中国共産党が全体主義的な体制を強化しているのは、国内に抱える問題への批判や不満が噴き出すのを恐れて抑え込もうとしているからでしょうか。トッド:家族構造と社会の関係を分析してきた人類学者としての視点でいうと、中国の全体主義的な体制は単に悪い指導者がいるからという話ではないのです。中国人自身も教育による伝統などの継承によって、権威主義的な気質を身につけています。 それは共産党とは関係ありません。共産党や軍や警察はその恩恵に浴していますが、体制を創造したわけではないのです。 その起源を探ろうとすれば、紀元前200年から紀元後200年ごろの中国での共同体的な家族構造の登場にまで遡(さかのぼ)る必要があります。

    • 激変した欧州の「中国観」

      激変した欧州の「中国観」 日本は独・欧州ともっと手を結べ取られ続ける技術や土地 日本を守る「盾」を持て鶴岡路人 (慶應義塾大学総合政策学部准教授)トーステン・ベナー (グローバル公共政策研究所(GPPi)所長)対中政策の厳格化に慎重なメルケル首相 (SEAN GALLUP/GETTYIMAGES)イントロダクション戦略的自律を目指す欧州試される日本の外交力文・鶴岡路人 Michito Tsuruoka(慶應義塾大学総合政策学部准教授) 欧州の対中姿勢、認識が急激に厳しくなっている。ドイツをはじめとする欧州企業の買収攻勢による技術流出への懸念や、香港や新疆ウイグル自治区などでの人権問題の悪化などが影響した。これらに、新型コロナウイルス感染症に関する初期対応の遅れや情報隠蔽が加わった。さらに、「戦狼外交」と呼ばれる、恫喝をも含む中国による強硬な対外姿勢が、欧州の反発を強める結果になった。 パワーバランスの変化という構造的要因もあるが、中国自身もオウンゴールを重ねた。続くベナー氏の論考が指摘するように、欧州におけるトランプ政権への反発は、中国にとっては、欧州を懐柔する絶好の機会だった。しかし、中国はこれを完全に逃した。 それでも、中国が欧州を完全に「失った」と考えるのは早計だろう。というのも、中国の目的はもはや、欧州全域に笑顔を振りまき、好かれることではないようにみえるからである。今日では、狙いを絞り、欧州の価値を損なってでも中国との安定的関係の維持を求める指導者や言論人を確保することを目的としているのではないか。その意味で、勝負はまだこれからである。 とはいえ、欧州の対中姿勢、認識の悪化は明確だ。日本では「欧州は中国に甘い」と批判され続けてきた。欧州と日本の対中観が完全に一致することは、今後もないだろう。それでも、欧州の変化を正面から捉える必要がある。他方で、日本では欧州における中国批判をことさらに取り上げ、中国に対して「それ見たことか」と高みに立ちたい心情も同時に見え隠れする。欧州の対中観は急激に変化しているものの、一枚岩で反中になったわけではない。日本の視点でも、双方をバランスよく見据える必要がある。 自らの価値や利益を脅かす中国の行動には対峙しつつ、安定した経済関係を維持したい。この二つをいかに両立できるかに悩んでいるのが欧州であり、最も注目されるのはドイツの行方である。同様の難題に日本も直面している。 トランプ政権下で米欧関係が停滞するとともに米中対立が深まり、さらに欧州・中国関係も悪化する中で欧州は、自律性の向上を目指すことになった。「戦略的自律性」がキーワードであり、外交・安全保障面では対米依存の低減が課題となった。これは、自らの負担軽減の観点からトランプ政権が求めたものでもあった。加えて、コロナ危機を受け、医薬品などのサプライチェーンの中国依存が露呈した。その結果、サプライチェーンの多角化による欧州経済のレジリエンス(強靭性)確保が必要とされ、対中依存の軽減が同時に求められるようになった。これ自体は日本の利益とも合致しそうだが、欧州が内向き、保護主義的になる可能性については注視していく必要があろう。 バイデン次期政権下では、中国に関しても米欧協力が進展する可能性がある。中国との競争の主眼は、軍事であると同時に、先端技術や経済、まさに経済安全保障をめぐるものであり、米国も欧州を味方に付ける必要がある。それに日本が参画するのみならず、アジェンダ設定を含めて、いかに日本が主導権をとることができるか。日本外交の力量が試されそうだ。米中対立で目覚めた欧州独から日本へのメッセージ文・トーステン・ベナー Thorsten Benner(グローバル公共政策研究所(GPPi)所長) 米国およびその他の自由社会と中国の覇権的野望との競争という地政学的挑戦に欧州は目覚めつつある。欧州は、独自の戦略を持ち、自律したアクターとして行動せねばならないことが明らかになった。その戦略の焦点は、中国の権威主義的な国家資本主義との間の体制をめぐる競争で、いかに優位を保つかだ。ゆっくりだが確実に、欧州はそうした方向に動いている。 2019年3月に採択された欧州連合(EU)の文書は、中国を「共通の目標を有する協力のためのパートナー」、「技術的主導権をめぐる経済的競争相手」、そして「統治に関する異なるモデルを推進する体制上のライバル」とした。フランスの中国専門家ゴドマン氏は、これを「コペルニクス的革命」と呼んだ。中国を「戦略的パートナー」と呼んでいたのどかな時代では考えられないことであろう。 欧州の全ての国がこの方向に舵を切ったわけではないが、フランスは、アジアにおける中国の地政学的挑戦を正面から理解する数少ない欧州諸国の一つだ。実際、南シナ海で独自の「航行の自由作戦」を実施するなど、軍事的活動にも積極的である。ドイツでは、クランプカレンバウアー国防相が、中国の軍事的側面に着目する数少ない政治家である。他方でメルケル首相は、中国に関する政策を変更することに極めて慎重だ。中国への技術移転や「中国製造2025」を受けて、ドイツが誇る先端技術が標的にされていることへの警戒感から、対内投資の規制強化には乗り出した。 しかし全般的には、過度の対中依存状態にあるダイムラーやフォルクスワーゲン、シーメンスな路線を維持しようとしている。ドイツが、次世代移動通信5Gから華為技術(ファーウェイ)などの大企業の存在もあり、メルケル首相やアルトマイヤー経済相は、中国に対するよりソフトをまだ排除していないのもそのためだ。独連邦議会では、排除派が多数を占めるが、メルケル首相は新たな立法作業を遅らせている。ファーウェイに門戸を開いておくというメルケル首相の判断の背景には、同社を排除した場合に予想される中国によるドイツ企業への報復の恐れが大きく存在している。ドイツには対中依存状態を抜け出せていない大企業がある (VCG/GETTYIMAGES) ドイツの対中政策におけるもう一つの矛盾は、欧州、EUとしての対中政策へのスタンスである。ドイツ政府は、欧州が中国に対して一つの声で発言することの重要性を強調し、「17プラス1」(中国と中東欧諸国による協力枠組み)を警戒してきた。他方で、中国との特権的な二国間関係を重用し、政府間協議と呼ばれる、多くの閣僚が双方から参加する枠組みを維持している。これは、欧州レベルで対中政策を進めようというドイツの立場を損なうものである。好機を逸した中国西側諸国がすべきこと 過去1年間の欧州における対中認識、姿勢の変化は、中国の行動に起因している。トランプ政権が、EU自体を含む欧州の重視する国際枠組みに軒並み対決姿勢を示したことは、中国にとっては欧州・中国関係を改善する絶好の機会であったが、それを完全に棒に振ったのは注目すべきことだ。 米欧対立の深まる4年間を経て、より多くの欧州人が中国を「体制上のライバル」とみなすようになったことは、衝撃的ですらある。しかもそれは、トランプ政権による説得の結果ではない。香港における法の支配への挑戦をはじめとする中国自身の強硬な行動や不器用な外交の結果である。新疆ウイグル自治区における少数民族に対する迫害への関心も欧州で上昇している。また、新型コロナウイルス感染症の発祥地などに関する強硬な「戦狼外交」やディスインフォメーション(偽情報の意図的な流布)は、完全に逆効果に終わった。 習近平国家主席が、中国は多国間協力におけるパートナーだと売り込んでも、信じる欧州人はほとんどいない。EUのボレル外相(外交安全保障上級代表)は、中国の姿勢は「自らの好きな部分だけの選択的多国間主義であり、それは国際秩序に関する異なる理解に依拠している」と述べている。60年までのカーボンニュートラルの目標や、新型コロナのワクチンを共同購入する国際的枠組みであるCOVAX(コバックス)への参加は、外交上も得点を稼ぐものだが、欧州における中国に対する懐疑的見方は根強い。 他方で、米新政権の下、欧州での対米イメージは大きく改善するだろう。バイデン氏は、対中政策に関しても欧州と協力するとみられる。世界貿易機関(WTO)の活用や、気候変動に関するパリ協定や世界保健機関(WHO)への復帰も含まれる。そうした中で、気候変動に関する中国の目標達成やワクチンを外交ツールとして使わないことを監視できる。 ドイツも欧州も、米国の進める中国との「デカップリング(分断)」には反対してきた。それでも、ドイツでは、経済関係を多角化することで、中国への依存度を軽減し、リバランスをはかる必要があるとの意識が広がっている。20年9月にドイツ政府が発表した「インド太平洋指針」の背景にも、効果的な中国政策を展開するには、中国以外の諸国との協力が不可欠だとの認識が存在する。価値を共有する諸国と経済・政治関係を強化することも、その一環である。 ドイツ、欧州、日本がともにできることは多数存在する。例えば、技術や研究に関する協力、基準形成、さらには中国による経済的恫喝の被害を受ける同盟国への連帯なども含まれる。対中関係の運営に関してドイツは、日本から多く学べるはずである。日本は、ドイツ以上に中国に経済的依存をしながら、安全保障上はより直接的な挑戦を受けており、そうした中で研ぎ澄まされた感覚があるはずだ。

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      10年後。。。????

      新型コロナ、10年後は普通の風邪 米大学研究チームが試算新型コロナウイルス感染症は、通常の風邪を引き起こす既存の4種類のヒトコロナウイルスのように定着するまでに10年程度かかるとの試算を、米エモリー大などの研究チームがまとめた。論文が米科学誌サイエンスに掲載された。10年後には3~5歳程度でほとんどの人が感染し、高齢になって感染しても重症化を防ぐ免疫を得られるため、死亡率は低下し、インフルエンザを下回る可能性があるという。 風邪を引き起こすヒトコロナウイルスは世界中で定着しているが、症状は軽度で重大な問題となっていない。過去に問題化した重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)もコロナウイルスによる感染症だが、封じ込められるなどしたため世界的には拡大しなかった。 今回、研究チームは、4種のヒトコロナウイルスと同様の特性を新型コロナも持つと仮定。若いうちに感染すると軽症で済み、再度感染しても重症化しにくいと考えた。現在、世界的に重症者が相次ぎ死者も増えているのは、高齢になってから初めて感染していることが主な要因という。 その上で新型コロナについて、1人の感染者が免疫のない人の集団で平均何人に感染させるかを示す「基本再生産数」(R0)や、4種のコロナウイルスのデータを加味し、将来のシナリオを試算した。その結果、R0を2とした場合、3・4~5・1歳でほとんどの人が感染する状況になるのに10年かかることが明らかになった。幼児は重症度が低いため、ワクチン接種も不要になる可能性があるという。 一方、R0を4とすると2年半程度で小児期の感染症に移行・定着する。R0の値に関わらず、定着後は死亡率が劇的に低下し、季節性インフルエンザの約0・1%よりも低くなる可能性があるという。 世界保健機関は新型コロナのR0を1・4~2・5と推定。それ以上とする報告もある。また、流行中の現時点で1人が何人にうつすかの感染拡大の指標は「実効再生産数」と呼ばれ、国内では1を上回る程度とみられている。 研究チームは「MERSのように小児で重症度が高ければワクチンが必要だが、新型コロナはそうではない。ただし、社会的な距離を保つこととワクチンは、移行・定着までは重要な対策だ」としている。 

    • 日本企業92社、2030年の再エネ目標の画像

      日本企業92社、2030年の再エネ目標

      日本企業92社、2030年の再エネ目標40~50%を提唱© CHARLY TRIBALLEAUソーラーパネル。大分県由布市で。ソニー(Sony)やパナソニック(Panasonic)、日産自動車(Nissan Motor)など日本企業92社は18日、2030年度の再生可能エネルギー電力目標を40~50%とするよう政府に求める声明を発表した。 菅義偉(Yoshihide Suga)首相は昨年、2050年までに脱炭素社会を実現すると宣言した。だが、日本の短期的な再生可能エネルギー導入目標は他国に後れを取っていると、かねて批判を浴びている。 日本の現行計画では、2030年までに電力源の22~24%を太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギー化することを目指している。これは3年前に設定された目標で、政府は今年、次期エネルギー基本計画を策定する。 再エネ比率目標も見直されることになる。 目標を現行の2倍に引き上げるよう政府に要請した92社は、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進する企業や自治体、団体でつくる「気候変動イニシアティブ(JCI)」に参加している。声明には、富士フイルム(Fujifilm)や東芝(Toshiba)、保険、電気、食品業界などから多くの大手企業が名を連ねた。 声明は、「(気候変動に対する)世界の取り組みを日本がリードするためには、もっともっと意欲的な水準への引き上げが必要だ」と訴え、「高い目標が定まれば、再生可能エネルギーの導入を加速させ、日本の企業は脱炭素化の進む世界のビジネスの中でより大きな役割を果たす」ことが可能になると述べている。 日本のエネルギー比率は依然として化石燃料への依存が大きい。特に2011年の福島第一原発事故以降、原子力発電所のほとんどが稼働を停止した影響で炭素排出量の削減は進んでおらず、総発電量の約30%を石炭火力が、40%近くを液化天然ガス(LNG)火力が占めている。

    • EVシフトへ2社協業

      EVシフトへ2社協業、移動データとEV車両の充電データを統合法人におけるEV車両の利用実績を移動データと統合 スマートドライブとエネゲートは、EVシフトを見据えた移動データと充電データを連携した協業ソリューションの開発・試験提供を開始したと発表。協業を通じて、法人の営業車両や配送車両のEV化を進める上で必要とされる機能を順次展開していく。 今回の連携により、法人向けクラウド車両管理サービス「Smart Drive Fleet」や走行データなどのモビリティデータを収集・解析する「Mobility Data Platform」を利用することでリアルタイムに蓄積される移動データと、全国におよそ2700基あるエコQ電対応EV充電スタンドでの充電データを統合的に可視化できることになった。 法人におけるガソリン車利用では給油量や車両毎の燃費の把握が一般的に行なわれてきたが、EVにおいても同様に、充電スタンドでチャージした給電量や充電料金を車両データや移動データと合わせた管理が可能となり、法人車両のEVシフトをより後押しできるとしている。 スマートドライブは、2013年の創業以来、「移動の進化を後押しする」をビジョンとし、移動にまつわる様々なモビリティサービスを提供。Mobility Data Platformは、これまでも幅広い業種業態の企業と様々な実証実験や、新しいサービスの創出を目指した協業を行なってきた。 エネゲートは、1914年に国産電力量計メーカーとして誕生し、キュービクル、配電盤、配電自動化機器など、電力の安定供給を支えるさまざまな製品を提供してきた。近年、電気の使用量を測るスマートメーターをはじめHEMS・BEMSといったエネルギーマネジメントシステムや、EV充電システムなど今後成長力のある情報通信の分野にも事業領域を拡大。電気自動車(EV)・プラグイン ハイブリッド車(PHV)向け給電システム「エコQ電」システムでは携帯電話とQRコードにより利用者を認証し、その認証と使用電力量の計測値を用いた課金サービスを実用化した。 今回の連携開始を端緒としてさらにEVシフトを後押しするため、法人の営業車両や配送車両におけるEVをより利用しやすい環境の整備や、業種業界に合わせたサービスの共創に取り組む予定としている。

    • ステンレス鋼15%増産へ 19年度比

      愛知製鋼 ステンレス鋼15%増産へ 19年度比 インフラ需要を獲得生産を増やすステンレス鋼 愛知製鋼は、ステンレス鋼の生産能力を増強する。既存の生産設備の改善や改造により、2023年までに約1万トン増産し、19年度比15%増の年7万3千トン程度に引き上げるもよう。橋や各種の建築物といったインフラ分野などの需要増に対応する狙い。クルマの電動化や軽量化に伴い、将来的に主力の特殊鋼や鍛造品の大幅な伸びが見込めない中、ステンレス鋼などを軸にして持続的な成長を目指す。

    • 「脱炭素、環境技術完成の好機」

      室効果ガス排出量が多い化学業界、三井化学はどうカーボンニュートラルを目指す?橋本修社長「脱炭素、環境技術完成の好機」三井化学公式サイトより2021年の事業運営のポイントは。「当社はモビリティー関連ビジネスが大きく、20年の事業環境は厳しかった。市場は20年4月を底に戻ってきたが、19年上期水準への回復は時間を要する。過去に投資したモビリティーやフード&パッケージング分野の新設備をきっちり立ち上げて投資を回収する。社会変化を予測し、対応して、飛躍の年にしたい」50年にカーボンニュートラル達成を目指すと宣言しました。「欧州の意識も高くグローバル全体で環境対応へドライブがかかる。二酸化炭素からのメタノール生産のように、昔は収益性が難しく進まなかった環境技術の開発も、外部との連携で完成させる好機にしたい。環境に貢献する『ブルーバリュー』製品群の利用拡大や原燃料転換、再生可能エネルギー利用を組み合わせ、カーボンニュートラルを目指す」投資やM&A(合併・買収)の方針は。「新型コロナウイルス感染拡大で、衛生について考え方が変わってきた。ここ数年少なかったヘルスケア分野への投資を積極化する。M&Aは常にリストを見て進めており、コロナ後も本州化学工業やDIC化工の事業買収などを行った。必要な案件は実行する」ICT市場拡大にどう対応しますか。「スマートフォン用カメラレンズ材料の『アペル』は22年春の稼働を目指して設備増強工事を進め、顧客の要請に応えられる。半導体製造工程テープ『イクロステープ』の台湾拠点はフル生産で、次の増設を検討する」収益の変動幅の大きい基盤素材の事業基盤強化が課題です。「ROIC(投下資本利益率)と市場シェアで各製品の競争力を精査し、両方とも低い製品はコスト削減や他社との連携を通じて強化する。3年以内にめどを付ける。ただ、原料から樹脂、成長製品まで生産品目はつながっており、チェーン全体でも見ていく」長期ビジョン策定の進捗(しんちょく)は。「若手からの案を土台に、今は役員中心に会社の在り方を含めて議論し、内容は煮詰まってきた。特に社会貢献の意識が強くなったと感じる。サステナビリティーを最優先事項とし、経営にあたる」業界内・異業種との連携期待三井化学は国内の化学系企業の中で、早い段階でカーボンニュートラルを目指すと宣言した。事業の特徴上、化学業界の温室効果ガス排出量は多く、三井化学の排出量は日立製作所やデンソーを上回っている。達成には二酸化炭素の資源利用をはじめ、多くの技術革新が必要で、宣言を機に業界内や異業種の連携を推進する役割も期待したい。(梶原洵子)三井化学社長 橋本修氏

    • 世界的なパワー半導体の需給逼迫

      世界的なパワー半導体の需給逼迫、東芝や富士電機に商機加賀東芝エレクトロニクスのクリーンルーム内   日刊工業新聞最近の世界的な自動車減産の一因とされる電力制御用パワー半導体の需給が逼迫している。コロナ禍で落ち込んだ車生産の急回復を受けた欧州大手の供給不足に加えて、主要国での再生可能エネルギー投資拡大も需要を押し上げる。    東芝や富士電機などは車電動化と脱炭素化で新たな商機も巡ってきそうだ。パワー半導体は自動車や白物家電、ロボット、鉄道などの電力制御から、太陽光や風力発電の直流・交流変換まで幅広く使われる。東芝は2020年度下期において車載用パワー半導体の受注量が同上期比で約4割増える見通しだ。「国内外でパワー半導体の需要が増加しており、足元の需給はタイトな状況だ。主力拠点の加賀東芝エレクトロニクス(石川県能美市)では20年10月からフル稼働が続いている」(東芝デバイス&ストレージ)と追い風が吹く。国内の同業も「車載向けのパワー半導体の需要は依然として強い」(富士電機)、「今後の需要動向について注視している」(三菱電機)と期待を寄せる。「車載用だとすぐに半導体メーカーを変更するのは難しいから短期的な好影響は少ないが、長期的には『やはり日系メーカーへ変える方が良い』となるかもしれない」(英調査会社オムディア・杉山和弘コンサルティングディレクター)と長期戦で商機を見いだせそうだ。需給逼迫の背景にはパワー半導体大手のスイスのSTマイクロエレクトロニクスや蘭NXPセミコンダクターズなどの供給不足があるとみられる。「(コロナ禍で)車載用に割り振っていた能力を再生エネ市場へ付け替えた。欧州と中国は再生エネ向けのパワー半導体需要がすごく高い」(杉山コンサルティングディレクター)と脱炭素化が遠因だ。 欧州勢が供給難に陥っている車載用半導体はパワー半導体に限らず、先端半導体など多岐にわたる。それら先端半導体の生産は台湾積体電路製造(TSMC)など半導体受託製造(ファウンドリー)大手を多く活用する。20年前半は新型コロナウイルス感染拡大により世界の新車販売が落ち込んだ。時を同じくして、コロナ禍を契機とした在宅勤務や巣ごもり需要でデータセンターやパソコン、テレビ、ゲーム機のほか、普及の本格化する第5世代通信(5G)スマートフォン向け先端半導体の発注がファウンドリーに集中。「TSMCなどの先端半導体の生産能力は車載以外で埋まっており、6カ月先でないと新規注文を受けられないと言っている。21年上期はこの状況が続きそうだ」(杉山コンサルティングディレクター)と半導体不足は長引きそうだ。また、半導体に加えて、車載用コネクターや基板など他の電子デバイス・材料も不足感が出ているようだ。電動化に向けて自動車産業は新たな試練を迎える。

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      【製造現場ドットコムニュース】No245

      碌々産業海藤社長に聞く ~世界市場のニッチ分野に貢献! 新製品『COSMOS』とは~ 海藤社長の後ろにはマシニングアーティスト認定者たちの名前がズラリと飾られてある 微細加工機をあやつるオペレータを『Machining Artist(マシニングアーティスト)』と呼び、普及活動を行っている碌々産業(社長=海藤 満 氏)。同社は昨年、経済産業省が主催する2020年版「グローバルニッチトップ企業100選」として認定され注目を集めた。 めまぐるしく変化する産業構造の中において、世界の製造業から求められるニーズに応えて日々独自性の高い製品を生み出している。また、このほど市場投入された『COSMOS(コスモス)』は、マシニングアーティストの感性が生かせる「加工→洗浄→機上測定→追い込み加工」のトータルシステムであり、形状精度を追求するソリューションとして厳しい時代を生き抜く製造現場に新風を吹き込んだ。 海藤社長を訪ね、お話を伺うとともに、『COSMOS』の技術的特長について取材した。グローバルニッチトップ企業の誇り静岡工場には「MA-Labo」が設置。マシニングアーティストの感性を引き出す仕掛けが豊富だ。 2020年版「グローバルニッチトップ企業100選」の受賞、おめでとうございます。ニッチ分野において競争力のある企業として選出された感想をお聞かせ下さい。 海藤 長い歴史の中で工作機械は大量生産でつくられるようになりました。これは巨大な資本力があればできることを意味しています。われわれのような中堅企業が大企業と同じことをしても負けます。例えば、スペックが一緒でもボールねじを大量に仕入れるほうが単価は安くなる。量販では負けてしまうので、われわれはニッチなところに行くしかありません。特定のニーズを持つ小さい市場を追求していけばいくほど、マーケットはどんどん小さくなるのでグローバル化をしなくてはならず、そこでグローバルニッチトップ戦略が生まれてくるのですが、国が認めて下さったことで、私たちの実行してきたことは間違えではなかった、と自信につながりました。今回、さらなる高精度・高品質なものづくりを可能にしつつ、経済効果を高めたいという製造現場のニーズに対し、生産性の向上を安定して実現する付加価値の高い微細加工機の開発を実直に行ってきたことがオフシャルに認められ、とても誇りに思っています。この形状の先端は禍〝ピン角〟ピンピンにとんがって作ってある。製作途中は「一切、欠けを認めない!」という海藤社長こだわりの加工サンプルだ。 現在、デジタル経済も進化し、新たなビジネスも登場していますが日本は少子高齢化に伴い労働人口の減少など企業を取り巻く環境も変化しています。わが国の製造業の発展には技術の独自性が必要だと思います。 海藤 日本の産業構造は自動車メーカーなど最終製品を手がける大手メーカーをトップとしたピラミッド構造となっていますが、中小企業が日本の競争力の源泉になっていることに皆、気付き始めたのではないでしょうか。大手メーカーのほとんどは、中小企業のスペシャリストたちがつくった様々な部品を1つの製品にセットして組み立て、ブランドを付けて売っていくというやり方です。しかし最近は、台湾系、中国系の企業が同じようなことを始めており、競争に負け始めています。日本のものづくりが衰退しているように見えるかもしれませんが、実はそうではなく、規模は小さくても独自の技術を持った方たちが日本のものづくりを支えていると強く感じています。 トップブランドメーカーは量産で苦慮していますが、例えばスマホの中身はほぼ日本製です。 海藤 スマホはパカッと開けるとデバイスはほぼ日本製です。なぜ日本が強いかというと、微細加工が得意だからなのです。日本人特有の性質もあると思いますが、とことん突き詰めて考え抜いた挙げ句、小さくて細かく、薄くて軽いものをつくることができた。日本が国際社会で勝ち抜くためには、手先が器用で微細加工の得意な日本人がその得意分野を強化していくことが競争力強化につながると考えています。 海外では求められたスペックを達成できれば、それでヨシとし、それ以上は突き詰めずに量産体制に入るイメージです。 海藤 海外だとスペックをクリアした段階で開発は終わりますが、日本の微細加工を行っているところは、〝ここはもうちょっとキラキラさせたい〟など、さらなる向上心が芽生えてくるんですね。おそらく経営者側からみたら、少々余計なことなのかもしれませんが(笑)。ところが、そういうことを自由闊達に追求させている企業がもの凄い競争力を持っているのです。物事を追求し、さらに高見を目指して飽くなき追求ができる人はまさにアーティスト。マシニングアーティストたちが加工技術で得た知見を様々なところに応用できれば、新たなニーズが生まれてくると思っています。マシニングアーティストは第3期目のエントリーに突入! 高精度・高品位レンズ金型 海藤社長はデジタルデータを駆使するオペレータに尊敬の想いを込めてマシニングアーティストと呼び、普及活動を行っております。現在の活動状況はいかがですか。 海藤 前期の第1期が35名、第2期も35名、おかげさまで70名の方に認定をさせていただき、現在、第3期目のエントリーを開始して非常に盛り上がっているところです。 ―認定された方もモチベーションアップに繋がると思います。業界の認知度も高まり、広がりをみせています。 海藤 マシニングアーティストとして認定されたオペレータのいる企業では、外部から認定されたことをきっかけに、人材育成として教育プログラムの中に組み込もうという動きもあり、嬉しい限りです。こうしたマシニングアーティストが脚光を浴びることは、業界の発展にもつながります。若者が入ってこない業界は年月とともにどんどん高年齢化してしまい、最後は人材がいなくなって業界は消滅してしまいます。業界を活性化するためにも若い人たちを引きつけるための様々な仕組づくりが必要ですが、1社だけではできません。オペレータの権威を向上させることは日本のものづくりにとっても重要なことだと考えています。 ―ありがとうございました。碌々産業は、昨年11月に開催された「JIMTOF2020 Online」にて、微細加工向けの追い込み加工システム『COSMOS』を出展し、注目を集めた。プトジェクトリーダー 岩田次長 『COSMOS』のプロジェクトリーダーの海外営業部所属の岩田孝之次長(以下岩田次長)に製品開発の経緯を尋ねると、「COSMOSは〝加工〟、〝洗浄〟、〝測定〟、〝追い込み補正〟、の4つの要素を組み合わせてトータル的に形状精度を追求するソリューションです。私たちは以前から〝四位一体〟(碌々産業の四位一体=①最適な微細加工機、②最適な工具、③最適なソフト、④最適な加工環境)の重要性をお話させていただいています。微細加工機に留まらず関連する要素を含めたトータル提案にて実加工精度±1μm以下の追求を行っていますが、やはり多少誤差が出てくるのです。」と1μmの追求の難しさを滲ませた。 微細加工に限らず、切削加工は、加工機が正確にプログラムに追従したとしても、加工する形状や被削材の性質、特に硬度に影響を受けやすくなる。これらの影響を受けて図面の形状通りの加工ができない―――という加工現場の悩みは多い。 「しかも、加工を評価するために加工機からワークを外して三次元測定器等に移すと、特に高精度微細加工では、寸法公差が外れても、再段取り、追加工を行うことは困難です。弊社のユーザーさんたちもこれについては悩みの種でした。形状測定のために三次元測定器に移したあとにもう一度機械に戻してミクロン単位の位置を再現させて1~2μmの追い込み加工は到底不可能。そうなると40時間、50時間の加工が無駄になってしまうのです。そこで、どうにかこの問題を解決できないかと、ずっと考えていました。」と岩田次長。こうした経緯もあって、高精度微細加工の無駄を省き、美しい面品位と工程短縮が叶うトータルシステム『COSMOS』が誕生したという。3D機上測定&追い込みシステム「COSMOS」 岩田次長は、「最近は機上測定器も世の中に出始めて普及を始めていますが、だいたいが大物加工用で、微細加工と相性が悪いという側面もありましたが、様々なメーカーさんとコラボレーションさせていただくことで解決の糸口を見つけることができました。現在、ものを正確に測れるのはタッチプローブですが、ワークが切屑まみれになったり、油で汚れていたりすると正確な測定ができないので、洗浄しなきゃいけない。そこで、自動洗浄装置を新しく開発をして、プログラムで動くよう工夫をしました。私たちはマシニングアーティストの普及活動を行っておりますが、加工の世界で腕をふるうオペレータたちの感性が生かせるシステムにしたかったのです。」とCOSMOS誕生までの思い入れを話してくれた。 同社では、高精度な微細加工を実現するために、先述の通り〝四位一体〟を掲げているが、これらに加え、大切な要素にオペレータ、つまり人を加えている。機械を自由自在に操る人の大切さを説いており、それがマシニングアーティストの普及活動にもつながるのだが、オペレータの意志が忠実に機械に反映されることで究極の実加工精度が実現できるという。河村顧問 河村長治顧問は、「われわれは常に〝そこまでやらなくてもいいんじゃないの?〟というほど、機械の精度に留まらず、微細加工における関連性まで意識を集中させており、とことん追求する姿勢があります。われわれが長年追求したことは決して無駄ではなかった。今後もお客様のニーズに対し、技術で挑んでいきます。」と力を込めた。 なお、同社では、リアルタイムで機体を監視し、微細加工に最適な状態を保つために、データに基づいて予防保全や早期トラブルの解決ができるサービス(AI Machine Dr.)も提供しており、加工現場にとっても非常に心強いきめの細かな体制も充実している。今年も碌々産業の〝仕掛け〟に目が離せない!

  • 17Jan
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      ナポレオンの鍵、1100万円で落札

      ナポレオンの鍵、1100万円で落札 最期迎えた部屋フランス皇帝ナポレオンが最期を迎えたベッド=2017年10月、英領セントヘレナ島1821年にフランス皇帝ナポレオンが流刑地の英領セントヘレナ島で没した部屋の鍵が14日、英競売商サザビーズのオークションにかけられ、8万1900ポンド(約1160万円)で落札された。落札予想価格3000~5000ポンド(約43万~70万円)を大幅に上回った。 この金属製の鍵はさび付いた状態で、長さ13センチ。ナポレオンの死の翌年に部屋を訪れた英陸軍将校が、ナポレオンの信奉者だった母親へのプレゼントとして持ち帰ったとされる。 鍵が入っていた封筒には将校が「ナポレオンが死去したセントヘレナの部屋の鍵」と記している。鍵は将校の子孫が英スコットランドの家にあったトランクから発見した。

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      武漢研究所に改めて疑念

      武漢研究所に改めて疑念=WHO調査団現地入り―米国務長官ポンペオ米国務長官は15日、新型コロナウイルスの発生源を調べる世界保健機関(WHO)調査団が中国湖北省武漢市入りしたことを受け、「発生源の理解は、国際公衆衛生や経済の復興、国際安全保障にとって重要だ」と強調した。その上で、武漢市のウイルス研究所の活動と新型コロナ発生の関係を疑う見方を改めて示した。 ポンペオ氏は、ウイルス研究所で2019年秋に新型コロナや季節性の病気と一致する症状を呈した複数の研究員がいたと「信じるに足る理由がある」と表明。研究所で少なくとも16年から、新型コロナに似たコウモリのコロナウイルスを研究していたとも指摘し、これらについて中国側に説明を促すようWHOに要求した。 

    • アイスクリームから新型コロナ検出 中国の画像

      アイスクリームから新型コロナ検出 中国

      アイスクリームから新型コロナ検出 中国中国・天津市の食品会社が製造したアイスクリームから新型コロナウイルスが検出されたと中国国営メディアなどが伝えました。国営新華社通信などによりますと天津市当局は14日市内の食品会社が製造したアイスクリームのサンプルから新型コロナウイルスが検出されたと明らかにしました。アイスクリームにウイルスが付着した経緯などはわかっていませんが、当局は商品に関わった従業員や原材料などを詳しく調べています。ヒトだけでなく食品に対しても大規模なPCR検査が行われている中国では、輸入した冷凍食品からのウイルス検出が相次いで報告されてきましたが、国内で製造されたアイスクリームから確認されたのは初めてです。当局は販売された商品の回収を急いでいます。

    • 大震災から26年

      大震災から26年、都市の活力向上課題に 6434人が亡くなり、3人が行方不明となった阪神・淡路大震災は17日、発生から26年になる。被災地の復興事業はほぼ終了したが、四半世紀を経てもなお震災の打撃が尾を引き、人口や経済状況で地域格差が広がる。新型コロナウイルスの影響で先行きが見通せない中、新たな課題に対応し、震災で後れを取った都市の活力をどう向上させていくかが問われている。 兵庫県によると、被災12市の人口は震災後、約15万人も減った。6年後には回復し、その後も増加を続けたが、2009年をピークに減少。現在は震災前の水準に近づいている。 地域別では、昨年10月時点で西宮市などが震災前を大幅に上回る一方、尼崎や淡路島3市は大きく下回った。神戸市では兵庫、長田、須磨区はこの26年間、一度も震災前の人口に戻らず、被害の大きかった長田区は3割近く減った。 震災前と20年度見通しの域内総生産(実質)を比べると、西宮市が26%、芦屋市は50・2%伸びたが、神戸市は8・3%、尼崎市で11・7%下落。洲本市は33・4%も下がった。 長田区では、新長田駅南地区の復興再開発事業が最終盤に入り、23年に完了する見通し。防災の施策も進み、県内の公立学校は21年度中に全施設の耐震化が終わる。 一方、県内に233棟ある災害復興住宅の高齢化率は20年11月末時点で過去最高の54・3%。子どもの独立や配偶者の死亡などで、半数は単身世帯という。被災者に国と自治体が貸し付けた災害援護資金は返済免除が進むが、約30億円が未償還となっている。 新型コロナの感染拡大に伴う企業収益の悪化などで、兵庫県の県税収入などは21年度で想定より2千億円減となる可能性もある。震災の影響が残る自治体財政はさらに厳しい運営を強いられる。忘れて欲しくない!

  • 16Jan
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      新戦力  三好大倫外野手   、、、と追放処分者・情報

      中日ドラゴンズ  ドラフト6位 三好大倫外野手外野ノックを受ける三好=ナゴヤ球場で 新人でただ一人の外野手とあって、芝生でのノックはさながら独り舞台だ。浅い打球に勢いよく突っ込み、跳ねるようにステップを踏んで返球。低く、強い球筋に元投手の片りんが見える。唯一の社会人出身でもあり、最年長だが「練習は明るく楽しくやりたい」と、準備運動から大きな声を出して盛り上げる。 全体練習以外でも毎日、屋内練習場で素振りやマシン打撃をして振り込んでおり、仕上がりは早い。14日に沖縄春季キャンプの1軍スタートを言い渡され「アピールするチャンス。バットを数多く振って、万全な状態でキャンプインできるようにしたい」と意気込みを高める。 香川・三本松高からJFE西日本へ。もともとは投手だったが一昨年、活躍の場を求めて外野手に転向した。50メートル走のタイムは5秒8。たくましい足で地面をしっかり押してスピードを得る。その馬力から、小学校時代のあだ名は「馬」。 強肩、俊足に加え「広角に打てるし、力もある」と野本圭スカウトが評するように、打撃でも頭角を現し、ドラフト指名につながった。 「三拍子でレベルが高い選手だし、外野の定位置争いが激化するようにアピールしてほしい」と、与田監督も期待する。本拠地の外野は広いが、本人は「自分が外野の間を抜ける打球を止めれば、守備で貢献できる。打撃でもしっかり芯に当たれば、スタンドまで飛ばす力はあると思う」と野心を隠さない。球団では2017年の京田以来の新人王を目指し、2月1日から全力疾走する。不祥事を起こし、球界追放!金 泥雲

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      中村哲さんアフガンで切手に、、、  伊藤和也さんと共に、星に!

      中村哲さんアフガンで切手に 人道支援の功績記憶に14日、アフガニスタンの首都カブールで公開された、中村哲さんを描いた切手のデザイン=アフガン政府提供 2019年12月、アフガニスタン東部で殺害された福岡市の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」現地代表、医師中村哲さん=当時(73)=の人道支援活動の功績をたたえ、中村さんをデザインした切手がアフガンで制作された。アフガン政府が、大統領府で式典を開いて発表した。 公開された切手は中村さんが白黒で描かれ、現地語と英語で活動をたたえた。 通信・情報技術省によると、切手の価格は今後議論する。同省の担当者は「誰もが購入できるよう安価に設定するつもりだ。人々に切手を手に取ってもらい、中村医師の貢献をいつまでも記憶にとどめてほしい」と話した。 中村さんは同国で医療支援やかんがい事業などに取り組んだ。19年12月4日、東部ジャララバードで武装集団に銃撃され、同行していたボディーガードや運転手ら5人も殺害された。私達は忘れない!  伊藤和也 さん。 いとう かずや伊藤 和也 生誕 1976年11月19日 日本掛川市 現況 死亡 死没 2008年8月26日(31歳没) アフガニスタンダラエヌール 死因 出血多量 記念碑 掛川市 出身校 静岡県立磐田農業高等学校 静岡県立農林短期大学園芸科 アメリカで農業研修 活動期間 2003年-2008年 団体 ペシャワール会 テレビ番組 『菜の花畑の笑顔と銃弾』 『私たちの心に残したもの』 肩書き 試験農場担当者 受賞 第15回読売国際協力賞・特別賞 シチズン・オブ・ザ・イヤー スカウティング褒賞 静岡県出身。大卒後の2003年、アフガニスタンの紛争・テロからの復興を目的とした活動をし続けていたペシャワール会に入会し自ら同国への派遣赴任を申し出た。伊藤は同会に提出した志望動機に「アフガニスタンの復興のためには農業支援が欠かせない」とした上で「語学ははっきりいってだめです。農業分野も経験や知識は不足しています。ただ私は、現地の人と一緒に成長して、アフガニスタンを本来の緑豊かな国に戻したい」と訴えた。ペシャワール会では1979年~2001年の一連の紛争・戦争などにより荒廃した国土復興のために、用水路建設や農地開拓といった復興支援を展開し、伊藤和也はその農業支援のカテゴリーのボランティア活動を行った。2008年8月、武装勢力のテロリストにより伊藤は誘拐され、伊藤の仕事仲間だった村人やボランティアが捜索に当たったが、テログループはパニックになり伊藤に銃を突きつけ発砲。その銃弾は左太ももを貫通し、出血多量で死亡した。2012年6月、自爆テロ容疑で逮捕されていた主犯格が自供し、事件に関わった3人は現地の最高裁からそれぞれ懲役20年、10年、6年の判決を受けた。お母様 伊藤順子様 挨拶息子伊藤和也の一周忌を前に「私達が行くまで和也の事、忘れないでね。覚えていてね。約束だよ」-アフガンの子供たちへ伊藤順子「憤りと悲しみを友好と平和への意志に変えて。」 これは、中村先生から頂いた言葉です。「今日からここに居るんだね。お母さんも電車を乗り継いで逢いに来たよ。」写真展の会場でいつも和也と子ども達に掛ける挨拶です。毎回同じ写真と逢うのですが会場とその場所に行く道程が違うので、新鮮な気持ちで逢うことができます。皆様の暖かいお心遣いを頂き、少しずつですが心を開くことが出来てきました。「今、外務省から連絡がありまして……。」福元さんからの電話を全部聞くことができなかった日からもう一年近くなりますが、昨日のことのように耳に残っています。それは、アフガンに行って一年になるからいつ頃帰ってくるのか「帰るコール」を待っている時でした。そして、私達父母も妹弟も祖父も帰って来ても特別大騒ぎするでもなく、一年も逢っていないことなど忘 れて和也の好きな刺身にお寿司、それから焼き魚、帰ってくる何日も前から母が考えていた献立が並ん だ食卓を六人で囲むはずでした。 本当にワーカーの皆さんが言っておられるように、自分から何か言うことはありません。父とお酒を飲みながら、母に洗濯物を出しながら、妹にはお土産を渡しながら、弟とは秘密の?、おじいちゃんには優しく、少しずつアフガンでの暮らしを話してくれました。一年も会っていないと顔つきも変わりますが「今回は髪の毛切ってきたの」「お嫁さんのあてはあるのか」とか、母のうるささは変わりません。和也もそんなことは心得たもので、涼しい顔をして聞いていました。第一子でしたので、母も和也と一緒に成長してきたつもりでした。でも和也はこんな母よりずっとりっぱに成長していたんです。和也とこんな別れは想像していませんでした。アフガンに送り出した時から、この様なことが起きるかもしれないと心の片隅には持っていたつもりでしたが、現実の事となってみると、本当に憤りと悲しみで心も身体もすべてが潰れてしまいそうでした。なんで和也が。なんで和也だけが。どうして助けてくれなかったのか。どうして守ってくれなかったのか。誰にこの憤りをぶつけたらいいのか。押しかけてくるマスコミと人ごとのように報道するテレビにさえ憎しみを持ちました。でも、そんな母を父と二人の妹弟が支えてくれました。マスコミには父が一人で対応し、後から後から来て下さる方々には妹弟がりっぱに対応してくれました。 ただただ泣いていたように思いますが、この頃の記憶は余りありません。人は生きていくために本当に悲しいことは記憶から消されてしまう、ということを聞いたことがありましたが、56年の人生の中で一番つらく、悲しく、こんなに涙を流したことはありませんでした。「今度帰ってくるときは、セントレアにしたら?みんなで迎えにいくよ」「考えておく」そんな会話をしたことを思い出していた時「お母さん、和也君の乗った飛行機ですよ」と外務省の方が声を掛けてくれました。薄暮の空にライトを点滅しながらゆっくり着陸してくる航空機が目にはいりました。本当ならタラップを自分の足で降りてくるはずが、棺に入れられ、貨物室から運ばれてくる姿は生涯忘れません。それから、和也が家族の元に戻ってくるまでは長い時間と複雑な手続きがありました。私達家族だけではとても解決できるものではありませんでした。海外で亡くなるということはいかに大変か思い知らされました。そして、日本人として戻るためには日本でもう一度司法解剖を受けなければなりませんでした。「お母さんがどんなに反対しても、これは決まりですから」と涙を流して告げる警察の方に、なんて答えたか覚えていません。東名高速道路を名古屋から掛川に向かいましたが、解剖を受ける浜松医大がある浜松西インターで母と妹は和也と別れました。和也には父と弟が付き添ってくれました。「和也ごめん。ごめんね。もう少しがまんして」そう叫びながら見送りました。今でもなんでアフガンで検視を受けたのに、どうしてまた日本で受けなくてはいけないのか、私の知恵では理解できません。葬儀が終わり、白い布に包まれたまだ温かい和也を胸に抱いた時、31年前「お母さんしっかりだっこしてくださいね」といわれて初めてこの胸に抱いた時のことを思い出しました。3140グラムでした。その温かさ、手に伝わる重さは同じでした。この時程悔しく、情けなく、和也を恨んだことはありませんで した。和也がアフガンで使っていたものが戻ってきました。警察で確認してくださいと言われましたが母は行く事が出来ず、父と妹弟が行ってくれました。ここでも意気地無しでした。戻ってきたパソコンを妹弟が開いてみると、本当にたくさんの写真が入っていました。農業に関するも のが多かったのですが、その中にかわいらしい子供たちを写したものがたくさんありました。私達は飽きることなく何枚も何枚も見続けました。そしてこの写真を皆様にも見て頂きたいと思い、この事件が起きた時からお世話になっている静岡県ボランティア協会理事の小野田さんに相談しました。小野田さんは 「わかりました。私に任せて下さい」と言ってくださり、ペシャワール会、静岡新聞社、静岡放送の協力の下、生まれ故郷の静岡県・掛川市から写真展を始めることができました。その後、日本各地でペシャワール会主催で開催されています。小野田さんには本当にお世話になりました。(左)伊藤和也さんの写真展 福岡会場 / (右)写真展 松戸会場また、読売新聞社から国際協力特別賞、シチズンからはシチズン・オブ・ザ・イヤー賞、日本ボーイスカウトからはスカウティング褒章を、フランス外務省からはお悔やみの声明文を頂きました。そして読売からは300万円、シチズンからは100万円と時計を副賞として頂きました。その副賞を基に妹が名付けた「伊藤和也 アフガン菜の花基金」を立ち上げることができました。和也が願っていた「アフガンを緑豊かな国に戻すお手伝いを」「子供たちが将来食べ物に困らないように」という願いを少しでも叶えることが出来たらとの想いからです。基金には本当に皆様から多くのご寄付を頂き、心よりお礼申し上げます。未熟な私共ですので、ご心配・ご不安等至らぬ点がありましたこと、お詫び申し上げます。本当はお一人お一人にお礼・お詫び申し上げるところですが、今の私どもの心情をお察し頂きお許し頂きたく思います。  今ここに、アフガニスタンで逮捕された犯人の一人の判決を知らせる通知が届きました。私達家族は、犯人の顔を見たこともありませんし、その判決に異議を唱えることもできません。日本の裁判で犯人の顔を見て、声を聞いて、殺害方法を聞くことは耐えがたい事とおもいますが、でも、今の様に何も見えない、 聞こえない、言えない、何にもわからない、ただ紙切れ一枚で刑罰を知るという事は、本当に悔しく、辛く、悲しく涙も出てきません。犯人は絶対、絶対に許しません。親として大切な和也の命を守ってやることが出来なくて、ただただ、和也に申し訳なくアフガンに送り出したことの後悔が続いております。 この様に気持ちが折れたときは和也の前に座り、皆様が写真展で書いて下さったノートや、励ましのお手紙、それから遺稿集に載っているワーカーさんの和也への想いを読ませて頂いています。その一言一言に励まされて、今日まで過ごしてきました。私達家族は、和也が大好きだった和也の魂の眠るアフガンの地に行くことを願っています。いつも和也は「お母さんが来れるところではない。一日でも居られないよ」といいましたが「そんなことないよ。ちゃんと来たよ」と言ってやりたいです。そして、私達以上に長い年月、和也への想いを持ち続けることとなる妹弟にも是非行ってほしいと思っています。写真展で逢う子供たちに言っています。「お母さん今日バテテ点滴受けてきたの。でも、あなた達に逢うまでは絶対がんばるからね。あなた達も絶対元気で無事でいてね。」そして「和也の話聞かせてね。お母さんの知らない事いっぱいありそうだから。聞きに行くまで和也の事、忘れないでね。覚えていてね。 約束だよ。」 私達にとってアフガニスタンは、和也が大好きだった国であり、かわいい子供達の暮らす国でもあり、憎い犯人が居る国でもあります。憤りや憎しみはありますが、これからの平和と復興を願う気持ちは特別のものがあります。進藤君や山口君そして和也が言っていた言葉を皆様にお送りさせて頂き、アフガン、日本そして全世界の方々の友好と平和をお祈り申し上げます。 どうか皆様も平穏な日々と共にありますように用水路建設初期における最大の難工事となった取水口で。共に汗を流した、アフガン及び日本人ワーカー達と(前列右から2人目が伊藤和也さん)

    • 熱処理の技術革新はこうして進む。

      熱処理の技術革新はこうして進む。埼玉・川越の若きエンジニアたちの挑戦金型の未来を拓く技術者たち オリエンタルエンヂニアリングは、熱処理設備の製造・販売を中心に、熱処理やコーティングの受託加工も手がける表面熱処理技術の総合メーカーだ。熱処理やコーティングに用いる装置をすべて自社開発しており、装置メーカーとユーザーの視点を併せもつことで、付加価値の高い技術を提供している。同社の研究開発部に所属する小松元是さんと清野裕太さんは、受託加工のための新しい熱処理手法の開発や新規設備の立上げに携わっている。機械部品や金型の高機能化が求められる中、熱処理やコーティングの分野でもスピーディな技術開発で顧客ニーズに応えていく姿勢が欠かせない。現場で働くスタッフと連携しながら、それぞれの開発テーマに取り組む2 人を取材した。同社は熱処理加工から事業をスタートし、熱処理設備そのものの製造に領域を広げていった。70 年近い歴史の中で独創性のあるさまざまな設備を開発しており、1967 年には滴注式ガス浸炭窒化炉「UNIC」が日刊工業新聞社の十大新製品賞を受賞。その後も、光輝熱処理炉「SPERIA」や、プラズマCVD(化学蒸着)法による金型へのコーティング技術などが高い評価を受けてきた。現在は、熱処理設備の製造・販売・補修を行う設備事業が売上げの7 割を占め、受託加工と合わせて年間約60 億円を売り上げている。同社では伸びしろのある受託加工の受注拡大に力を入れており、2017 年に稼働した川越第二工場(埼玉県川越市、別名「ハイテクセンター」)に最新の熱処理設備やプラズマCVD 装置のほか、FE-SEM(電界放出型電子顕微鏡)やXRD(X 線回折装置)など高度な分析装置を導入。新しい量産手法の開発を進めている。そこで中心的な役割を果たしているのが2011年に入社した小松さんと清野さんである。最新の熱処理設備やプラズマCVD 装置、各種分析装置を設備した川越第二工場(別名「ハイテクセンター」)独自技術に惹かれて入社小松さんは、秋田大学理工学部で超硬合金の材料開発を研究テーマに選んだ縁で、金型や切削工具、その周辺技術に興味をもった。就職活動中、同社が手がける金型向けのプラズマCVD 技術に着目。担当教官の「優れた技術をもつ良い会社」とのお墨付きもあり入社を決めたという。開発部門を希望したが、半年間の新人研修を終えて配属されたのは受託加工を担う加工部門だった。熱処理に使う炉を現場で操作するオペレーターとして1 年間、夏は40℃ を超える過酷な現場で24 時間の3 交代勤務に就いた。その後さらに1 年間、設備部門で顧客に納入した熱処理設備の補修・メンテナンスに携わった。最初の希望とは違ったものの、「体力があったので意外と楽しく働けた」と小松さんは振り返る。また、現場を2 年間経験したことは研究開発部での現在の業務にも役立っているという。「以前の上司は、口を酸っぱくして『量産を想定した研究・開発を行え』と説いていた。実験設備で良い結果が出ても、量産で使えなければ意味がない。現場を経験させてもらったからこそ、『量産段階で何が問題になるのか』を想像する力が身についた」(小松さん)。清野さんも同社の技術力に魅力を感じて入社した一人だ。高等専門学校から千葉大学工学部に進学。高専時代の担当教官が亜鉛ダイカストの研究をしており、ダイカスト金型に施すことで離型剤を削減できるプラズマCVD 処理を開発した同社の評判を耳にして、「こんな会社があるのか」と興味をもった。新人研修後すぐ研究開発部に配属となり5 年間、仕事や外部の講習会を通じて熱処理を学んだ。大学では環境工学を専攻し、熱力学の知識はあるものの熱処理についてはほぼ素人だったので、基礎から学べたことはありがたかったという。そんな清野さんが「すごく勉強になった」と語るのが、研究開発部の次に配属された設備部門での経験だ。同社では、顧客に熱処理設備を納入した後も、必要に応じて補修やメンテナンスを行っており、清野さんはエンジニアとしてこれに携わった。補修やメンテナンスは顧客の工場に短期出張して行う。中でも炉を解体して再構築するオーバーホールは1 カ月以上かかる大仕事。レンガを積む築炉工などベテラン職人らに指示を出しながら、清野さん自身も汗を流した。「指示を出す立場ではあったが、反対に教えられることが多かった」(清野さん)。2017 年に研究開発部に戻ってからも、設備部門から声がかかれば国内外を問わずサポートに入る。研究開発部で働く今、2 人は現場とのコミュニケーションを重視している。「研究・開発に携わっていると現場のスタッフに協力を仰ぐことが多い。そのために良い人間関係を築くことが大事だし、『受注状況はどうなのか』、『どんな課題を抱えているのか』など現場の状況を把握しておくことも欠かせない」と小松さん。清野さんも、「研究開発部は上司を含めて3 人の部署なのでどうしても視野が狭くなりがち。以前の上司の口癖だった『謙虚な気持ちで、素直に』を心がけて、現場のスタッフから常に教わる気持ちでいたい」と話す。熱処理の性能向上に挑戦少数精鋭の研究開発部では、各人がそれぞれテーマをもって業務にあたっている。小松さんが目下奮闘しているのが真空浸炭処理のプロセス開発である。FE-SEM(電界放出型電子顕微鏡)を操作する小松さん。高分解能の電子顕微鏡で、分析に特化した二つの検出器を装備する真空浸炭は、定圧に保持しかつ雰囲気制御した炉の中でワークの表面に活性炭素を浸透させる熱処理の一種で、部品や金型に耐摩耗性や高靱性を付与できる。一方、「セメンタイト」と呼ばれる組織の析出をいかに抑えるかが課題となっている。セメンタイトはワーク中に炭素が過剰に入り込むことで析出し、その部分が脆くなるため破壊の起点となりやすい。真空浸炭では90°以下の鋭角部分にセメンタイトができやすいことが知られており、処理するワークの形状を制限せざるを得ない。そこで小松さんは、炉に取りつけたセンサから得られる情報をもとに、処理条件を変えながらセメンタイトが析出しにくいプロセスを確立しようと取り組んでいる。「セメンタイトをゼロにするのは原理的に難しいが、少しでも抑えられるよう粘り強くトライしていきたい」(小松さん)。2020 年に川越第二工場に新設された最新の真空浸炭炉には、同社が特許をもつ熱伝導式の水素センサが設置されている。センサを使って炭素量を常に監視することで、処理品表面を狙った炭素量にすることができ、顧客の用途に応じたきめ細かい処理を可能にした。また、熱処理後の硬さや浸炭する深さのばらつきを表す工程能力指数(Cpk)が高いのも特徴で、通常1.33 以上で合格とされるところを川越第二工場の設備では1.8 や2.0 といった数値を出している。これらが評価され、同社ではハイブリッド車用部品の真空浸炭処理を受注しており、今後は真空浸炭炉の増設も予定する。小松さんの取り組むプロセス開発で付加価値をさらに高められれば、顧客への強力なアプローチ材料になる。金型向け処理工程を改善清野さんが取り組むのは、ダイカスト金型や温・熱間鍛造金型に使われる「ブラックパールナイト」の工程改善だ。ブラックパールナイトはガス軟窒化処理と酸化処理を組み合わせた同社独自の技術で、金型に耐溶損性、耐焼付き性を付与できるだけでなく低温処理のため処理後の変形や寸法変化がないのが特徴。また、真空浸炭炉でも活躍している水素センサを用いて窒素濃度をコントロールし、耐溶損性を向上させる場合は窒素濃度を高めに、ヒートクラック対策には窒素濃度を低めに設定するといった微調整ができるのも強みである。ブラックパールナイトはガス軟窒化処理と酸化処理の2 つの工程からなる。清野さんは、川越第二工場にある一室型の真空窒化炉を使ってさらなる工程改善を図っている。「一室型での量産が実現すれば、処理時間の短縮や炉の設置スペース削減といったメリットが見込める」と清野さん。技術上の課題はクリアしており、テストピースにブラックパールナイトを施して耐久試験をしている段階。一室型の真空窒化炉は設備販売も予定しており、すでに顧客からの引合いがあるという。XRD(X線回折装置)を操作する清野さん。X線を照射して跳ね返ってきたX線の強度と角度を測定する技術やノウハウの伝承が課題それぞれの開発テーマに加えて、小松さんと清野さんが共通の課題として捉えているのが技術やノウハウの伝承だ。40 代の中堅社員が少なく、50 代、60 代のベテラン勢と小松さんや清野さんら30 代との知識・能力の差が大きい。特に熱処理設備は20年、30 年と長期にわたって使うため、ベテラン社員の経験が役立つシーンが多いのだという。「補修・メンテナンスの現場では、『あのときは、こうしたら直った』という30 年前の知識が役立つことが本当にある。今のうちにベテランの話を聞いて、自分たちで若手に伝える努力をしないと会社の存続にかかわる問題になる」と清野さんは気を引き締める。個々の社員がもつ知識やノウハウをデータベース化していくことも求められている。受託加工を担当するベテラン社員であれば、浸炭処理や窒化処理でどのように条件を改善すれば性能が上がるのかの知見があり、改善のための判断も早い。小松さんも「プラズマCVD に詳しい技術者はどんどん退職する。自分が入社したきっかけはプラズマCVD の技術に惹かれたから。先輩に聞けるうちにもっと勉強して、新膜の開発につなげられるような知識を身につけたい」と話す。上司やベテラン社員がお手本受託加工の拡大を目指す同社が技術開発の要となる研究開発部に寄せる期待は大きい。2 人もそれに応えようと将来像をしっかりと見据えている。小松さんは、「お客さまが求める技術を迅速に提供できる技術者になりたい」と語る。量産に耐え得る技術を開発するためにも、「現場を知ることと自分の手を動かして実験すること」を大事にしたいという。清野さんは「社内でマルチに活躍できる人間」が目標だ。開発業務だけでなく新規設備の量産立上げも任せられており、「何かあったときに頼られる人になれれば」と意気込む。「上司や現場のベテラン社員がお手本」と話す2人。周囲の豊富な知見を貪欲に吸収しながら、技術者としてのさらなるレベルアップを目指している。

    • シチズン電子がレーザー市場参入

      シチズン電子がレーザー市場参入、自動車など向けセンシング用光源にシチズン電子公式サイトより  (写真はイメージ)シチズン電子(山梨県富士吉田市)は、ドライバーを内蔵した小型VCSEL(垂直共振器面発光レーザー)でレーザー市場に参入する。1月下旬から順次、パッケージやモジュールのサンプル出荷を始める。VCSELは3次元(3D)センシング用の光源で産業機器やロボット、自動車など採用先は幅広い。高性能化や低コスト化を強みに、2022年に約3億円の売り上げを目指す。パッケージの大きさは4・5ミリメートル四方で高さが1・8ミリメートル。ドライバーやVCSELの素子間の配線インピーダンス(交流電流の流れにくさ量)を極小化して、高出力化や応答速度の高速化、高放熱と小型化の両立を実現した。「3in1」タイプの場合、出力は一般的な製品と比べて60%増。検出範囲が広い産業機器向けに4灯搭載で20ワット出力のモジュールのサンプル出荷も3月に始める。4月には独自開発のドライバーとVCSELをスタック構造で一体化したパッケージも出荷予定。従来構成比で約半分の省スペース化が図れる。近赤外光の反射時間から距離を算出する「タイム・オブ・フライト(ToF)」方式のカメラの市場が広がる中、より高精度で長距離の計測に対する需要を取り込む。既存事業の発光ダイオード(LED)のパッケージ化技術は、高集積化による小型化や高放熱性の両立など、高性能化に活用しやすい。製品開発に向けて1億5000万円を投じた。生産ラインは山梨県内の拠点に構築する予定で量産時期は引き合いを見て決める。今後は製品群を増やし、レーザーをデバイス事業の新たな柱に育てる。3月出荷予定のVCSELモジュール