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不適合!ISOの審査で落ちてしまう理由と事例

  • 1 ISO審査で落ちるとは?
  • 不適合とは
  • 3 ISO審査で落ちない=重大な不適合を出さないために

 

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みなさん、こんにちは。

最近、審査に参りますと、被審査組織の方々から、不安と緊張の中、「審査におちないようにしたい」「落ちないようにお願いします」等の言葉を耳にすることがあります。

今回は「審査に落ちる」ということについて、考えたいと思います。

 

ISO審査で落ちるとは?

ISO審査で落ちる――とは、どういう意味でしょうか?

言葉通りに受け取ると、審査の結果、認証を取得または継続できない、ということでしょうか。

 

審査員の立場から言うと、その会社のマネジメントシステムが、全く、構築も運用もされていないために、審査で複数の重大な指摘が検出され、再審査となることを不安に思っていらっしゃるのではないかと推測します。

 

しかし、通常であれば、初めての認証登録審査では、2段階での審査を行うことにより、マネジメントシステムの構築ができていること、最低限の運用ができていること(内部監査やマネジメントレビューが実施されていること等)を確認の上で、審査日程を決定します。

 

従って、全く、構築も運用もなされていない事例は、ほぼありません。

 

また、継続や再認証の審査であれば、すでにマネジメントシステムは構築と運用の実績が確認されていて認証されています。

しかし、その後、急に運用が滞ってしまい、複数の重大な不適合を検出した組織の事例は、残念ながら、ありました。

 

実際に、次のような事例がありました。

 

構築ができていない事例:

その審査は、ISO9001:2015年版への移行審査を兼ねていました。

 

しかし、その組織では、2015年版対応の仕組み作りがなされておらず、内部監査やマネジメントレビューも2015年版に対応した内容で実施されていなかったのです。

組織とご相談の上で、審査をいったん中断しました。

 

改めて仕組みを構築し、運用を行った後で再度審査を受けていただくこととなったのです。

 

運用が滞った事例:

その組織では、前年までの審査では問題はなく、多少の改善の機会はあったものの順調にマネジメントシステムの運用がなされていました。

 

その後、組織の中で体制変更が行われ、次回の審査では、事務局の人員もすべて異動となっていました。

本来なら変更の計画に則って引継ぎが行われるはずですが、中心となる方は、QMSの運用を理解しないまま審査当日を迎えていました。

 

審査員「前年度の目標の達成度を教えてください。」

責任者「わかりません。」

審査員「新年度の目標を見せてください。」

責任者「作っていません。」

審査員「内部監査はいつやりましたか?」

責任者「やっていません。」

審査員「マネジメントレビューは?」

責任者「やっていません。」

 

一緒に組織のマニュアルを読むことになりました。

そして審査は改めて確認することになりました。

ちなみに、私は審査員をして9年目になりますが、このような事例は1回だけです。

 

このように、マネジメントシステムの構築や運用状況において、複数の重大な不適合が検出される場合には、審査の中断、延期、再審査といったことになることがあります。

 

 

先に述べましたように、

・内部監査をしておらず、証拠がない

・マネジメント・レビューをしておらず、証拠がない

・品質目標を設定しておらず、証拠がない

・重大な顧客流出不良で社会問題になっており、収束していない

・重大な法違反が発生し、収束していない

 

「ISO審査に落ちる」とは、このような場合に、「再度審査を受けなければならない状態」といえますね。

 

不適合とは

上記事例にも記載しましたが、「重大な不適合」が複数検出された場合には、その審査で認証登録または維持が決定できず、再審査となる場合があります。

 

審査員として審査に赴くと、もちろん、不適合を検出することはあります。

皆さん、よくご存じの通り、審査での所見にはいくつかの区分があります。

 

一般的には、以下の3つに分かれます。

 

重大な不適合

意図した結果を達成するマネジメントシステムの能力に影響を与える不適合

 

・軽微な不適合

意図した結果を達成するマネジメントシステムの能力に影響を与えない不適合

 

・改善の機会

改善されなければ将来的に不適合につながる可能性のある、マネジメントシステムの顕在的又は潜在的な課題を提起するものです。

 

審査機関によって多少異なる表現である場合があります。

その他にも、審査機関によっては、観察事項や推奨事項、Good Point、良い点、コメントなどの表現で明示的に区分して所見を残す場合もあります。

 

これらの指摘のうち、不適合は前述の2つ、重大な不適合、軽微な不適合です。

改善の機会や観察事項、推奨事項、良い点などのコメントは、たくさんの組織を見てきた経験から審査員が確認した、組織の弱点となりうる要素または強みとなる要素です。

 

改善につながるヒントとして受け止めていただけると、審査員としてもうれしく思います。

 

軽微な不適合は、適切に修正処置、原因究明、是正処置、(有効性評価)を行えば、認証は取得または継続されます。計画で認めてくれる場合もあります。

 

さて、問題は重大な不適合です。

ISO審査で落ちない=重大な不適合を出さないために

ISO審査で落ちないということは、重大な不適合を出さない、ということです。

 

マネジメントシステムの審査ですから、クレームやミスが発生したことが不適合ではありません。

 

ISO9001品質マネジメントシステムであれば、審査員は、その状況を維持して、更に改善し、顧客満足を高める活動へ展開していく仕組みがあるか、その仕組みは適切か、その仕組みが運用されているか、の観点から判断しています。

 

そして、ISO規格の要求事項に合っていて、会社の規模や業界基準などにも適しているかを求めます。

 

他の規格、ISO14001環境マネジメントシステム、ISO27001情報セキュリティマネジメントシステム、ISO45001労働安全衛生マネジメントシステム、ISO22000食品安全マネジメントシステムにおいても、同様です。

事故や逸脱事例があることが、即、不適合ではありません。

 

対応の仕組みがあるのか、その計画通りに運用が行われ、見直しがなされ、改善が行われる仕組みになっているのか、その仕組みは適切で、整っているのか、等の観点から審査を行います。

 

そして、それぞれのISO規格の要求事項に適合していること、業界や規模などのリスクに対して適切であることも確認します。

 

重大な不適合を出されないためには、まずは、ISO規格の要求事項の正しい理解が何より必要ということになります。

 

 

 

 しかし、品質のみならず環境も、情報セキュリティ、労働安全、食品安全の取り組みは、多くの利害関係者や人命にも影響を及ぼす恐れがあります。

 

例えば、記憶に新しいものは・・・。

資格のない要員による検査。

有害物質の河川への流出。

大規模な作業事故による死者発生。

HDD廃棄後に転売されて個人情報を含むデータの流出。

食品への異物混入などの重大な食品事故により実害が発生。

ドラム➡缶へ詰め替え

此処に注目

これらの「不適合」が、収束していない状況は、ニュースなどでもよく目にすると思います。

 

業界や組織のリスクの大きさ、影響の大きさ、業界基準などを含む法規制なども重要な要素になりますね。

精密機械の工場であれば静電気対策は当たり前でしょう。

 

食品工場であれば手洗い方法なども表示やチェックリストがあったりします。

業界や規模で注意喚起すること、チェックすること、測定するもの、それらの精度も異なります。