2024年8月23日

延川和治

 

皆様がこれから迎えられるサードキャリアでも、独りよがりではなく、社会とつながり、周囲のニーズに応えて、まわりの方々の笑顔を、日々一緒に見られるキャリアを送りたいと思われておられるのではないでしょうか。

 

一方、ファーストキャリア、セカンドキャリアと進むにつれて、環境もかわり、置かれる立場も変化、肉体的精神的体力も減少し、自然と他人との接触も少なくなり、自分の活動範囲が以前とくらべて相当に狭くなっていることに気付かされる方々も少なくないのではないでしょうか。

 

御自分でその変化を意識され、交際関係を維持され、培われてこられた幅広い人脈を活用されている方々は、その普段の積極性とともに、サードキャリアでも、おそらく御自分のご希望に向かって、周囲の方々と一緒に、邁進されておられるのではと想像します。

しかし、そうしたいけれど、なかなかできない方々も大勢おられるのではないでしょうか。

 

コンサルタントからも、御家族、友人、元同僚、元客先、元仕入先、これまでに出会われたいろいろな方々を振り返られ、接触されてみられることをよく勧められるかと思います。 これはこれで良いと思いますが、結果、御自分のこれからに対して、なにか物足りなさを感じられることも多いのではないでしょうか。

 

御自分の独自の判断だけでなく、いろいろな方々との接触を通して、世の中の動き、ニーズの変化、いろいろな考えなどを得て、総合的に判断し、これからのサードキャリアの展開を、より実のある物に進めて行かれたいご希望は、何とか工夫して叶えていきたく思います。

 

そのときの盲点になっている情報源に、区議会議員があると思います。

サードキャリアを組み立てていくときのいろいろな情報を得る助け、キャリア展開の場所・必要な協力者との繋がりなどを得るのに有効な接触先と思います。

お住まいの場所によって市議会議員、町議会議員などとその呼び方は変ると思いますが、

要は、お住まいの地域の課題を知り、人脈をもち、相談者の相談に乗ってくれる意思や姿勢のある人達(議員)です。

 

現に、サードキャリアとして英会話教室を開こうと思い立った元商社マンが、区議会議員に相談を持ちかけ、英会話教室の教師の紹介、教室の開催場所の紹介を受け、開催に漕ぎ着けた実例を見ています。 その商社マンはその区議会議員だけに頼った訳ではないのですが、依頼をうけた区議会議員は、その顔の広さから、別件で接触がある人達に、このような教師ができる人を探している、このような場所を知らないかなどと、機会有る毎に聞き、そこから得た情報を元商社マンに流してくれ、最終的にそれら情報が開催のカギになっていました。

もちろん区議会員本人にもよるとは思いますが、このように協力的な区議会員もいるということは、一つのご参考になるかと思います。

 

このような区議会議員に加えて、「おしごとカフェ」と称して、職業紹介ハローワーク、キャリアカウンセリング、各種セミナー、メンタルケア相談など行っている区もあります。

またこれらを通して、コミュニティへの参加もご希望されれば、紹介を頂けるようにも感じます。 

御自分の情報ソースが狭まったと感じられている方々、今お住まいの地区の議員をご活用いただくのも一手かと思います。 試されてみられては如何でしょうか。

 

以上

サードキャリアと地域のかかわり

2024年8月22日  大圖健弘

 

 セカンドキャリアの活動を終え、あるいはセカンドキャリアの活動と共に、新たにサードキャリアの活動を考えた場合、地域の果たす役割はかなり重要なものになるかもしれない。特に、その活動が、ビジネスではなく、趣味や社会活動といった活動であった場合には地域の果たす役割は大きなものになることは容易に想像される。

 社会活動では、身近なところでは地域の自治会活動から、それを基にした、コミュニティー全体にかかる活動、趣味に関して考えると、絵画や写真など、芸術関係では絵画教室や写真サークルでの研鑽といった、初歩的なことから、それを基にした展示会、展覧会への出品など自分のキャリアを深める機会の獲得等、音楽関係では声楽、器楽に関する合唱、合奏における研鑽やそれを基にした演奏会活動、その他、学問や文学等においても、自分一人でキャリアを深めることももちろんあるが、その結果を発表する機会の獲得や、研鑽内容に関する仲間とのコミュニケーションの機会等キャリアを深める活動がサードキャリアの活動として考えられ、これらは結構地域の仲間を通して行われることが多く行われている。セカンドキャリアまではビジネス領域で活躍されてきた方にとって、今まで地域の方々と触れ合う機会が少ないことが多く、サードキャリアで地域の方々と付き合うことになるといってもピンとこないこともあるかと思う。かく言う筆者も、ある時期まで、地域との付き合いといっても見当がつかなかった。しかし、ある年齢になって、地域の合唱サークルに加入してこうした活動の在り方に気づかされた。ここで注意を要するのは、地域というのは、必ずしも隣近所という意味ではなく、もう少し広い幅で考える地域であるということだ、例えば居住している市域、あるいはもう少し広いエリアが地域として考えられる。いわばこれまでの職場という付き合いではないということを指していると考えてもいい。

 こうした地域の仲間とサードキャリアを重ねていくために、重要な考え方の変化は何であろうか。特に、今までのキャリアの考え方の違いを考えておく必要があることは何かを考えてみたい。

①    これまでの経験は役には立つが歓迎されない。

   これまでのキャリアの中で個人個人が果たしてきた役割、その経験はもちろん個人     の活動に生かされるが、これを地域の活動の中でひけらかすことは全く歓迎されな  

   い。セカンドキャリアにおいて前職での経験を自慢げに語ることを「ではの守」と

   いって避けるべきこととされていることはよく聞くが、このサードキャリアの世界

   では、活動する分野も今までと異なり、また多様な経験を経たメンバーが集まって

   いる世界であるので、セカンドキャリアの世界以上に今までの経験を自ら語って何

 かを行うことには注意を要する。勿論、組織に課題があるというメンバーの共通の

 認識があり、その解決のために自身の経験が生かされることが明確な場合は、歓迎

 されるかもしれないが、それとても、同様の経験を持っているメンバーがいるかも

 しれず、積極的に開示するのではなく、周囲を見渡しながら、控えめに開示するこ

 とが望ましいのではないかと思う。

②    構成メンバーのゴールは必ずしも一致しない。

  セカンドキャリアまでをビジネスの世界で過ごされている方々であれば、活動の

 ゴールが利益貢献であったり、売り上げ極大化であったりという組織目標であるこ

 とが多く、構成メンバーの目指すゴールなりベクトルが同一の方向であることが多

 いと思うが、サードキャリアの世界では必ず下そうとは限らない。同じ趣味の世界

 でもあっても、ただ、その団体に属して研鑽を積めばいいと思っているメンバーも

 いれば、例えば展覧会で賞を受けることを目標にしているメンバーもいる。それぞ

 れ、思惑が違うのでそうしたことを前提に考えて付き合っていく必要がある。それ

 ぞれのメンバーが互いにほかのメンバーを認め合いリスペクトして活動することが

 必要なのである。

③    独りよがりな活動は法度

  上記とよく似た話であるが、「自分がこう思う」ということだけでの行動はご法

 度である。サードキャリアの世界ではメンバーの経験だけでなく年齢等も必ずしも

 同一のグループではないことが多い。この為、自分ができることでも他のメンバー

 には難しいこと、逆に自分には無理と思っても他のメンバーでは簡単にできること

 等、自分の物差しで測れない事柄が多く存在する。こうしたことを考えると独りよ

 がりな考え方、行動はサードキャリアの世界では全く用をなさない。

 

  要は今まで以上にキャリアにかかわる人たちのことを大切に考え、行動することが重要なのである。こうしたことは、今までのキャリアの世界でも、よく注意を喚起された事項ではある。しかし今までのキャリアの世界では組織の目標やゴールといったものがとても大きく、重要で、メンバーの人間関係のようなものは、ともすれば矮小化される傾向が強かったのに対し、サードキャリアの世界では組織の目標等といったものが非常に相対化されることになり、それよりもメンバーそれぞれを重要視しなければならない環境になるという大きな変化があり、その世界に入っていく我々はその変化に気づき、対処していくことが重要な意味を持ってくる。今まで地域という異文化とかかわってこなかった者にとってこうした変化はなかなか対応しづらいものかもしれない、しかし、その世界に慣れてみると、自分を相対的に見ることができるようになったり、今まで考えてもみなかった発想を得ることができたり、なかなか自分の中に有益な経験をすることができる。是非、地域との交わりをうまくキャリアに生かしていきたいものである。

 

                              以   上

 

 

                                  

2024年7月26日
延川和治

 

どの世代であっても、キャリアを形成していくときの重要な要素の一つに、アンラーニング(Unlearning)があると思います。
ここではアンラーニングを、自己認知の取捨選択(learn to give up)と、これからへの学びと定義したく思います。

一人一人には、置かれている環境の変化が、常にあります。 年齢、年代、時代の変化、あるいは市場の変化などの時間による環境変化、また配置換え、昇進、転勤、異動、転職、退職などによる物理的環境変化が、あると思えます。

この環境変化に対応して、自分のキャリアを作りあげて行くのに、今までに習得した知識、価値観、判断基準などを、洗い直し、取捨選択、これからの自分に不要なものは捨て、必要な物を学んでいくということがアンラーニングと理解します。

いわば環境の変化に対する対応能力で、非常に重要な要素と思いますが、これが実行は、言うは易く、行うは大変難しいと思います。 特にキャリアが進んで、セカンドキャリア、サードキャリアを考えるに従い、難しさが増大してくると思います。 ご自身の意識(無意識)のなかに、ご自身の環境理解、その理解に基づく判断にいままで間違いがなく、これでやってきて実績を残している、何もいまさら変える必要がないとの意識(無意識)を強く持たれている方々には、このアンラーニングのご理解・実行は大変むずかしいと思います。

いままでに経験され、築き上げられてこられたことが、ご本人の強みと言われます。
この強みが、これからも強みとなるのでしょうか?
これが、アンラーニングの最初の質問と思います。 

ロボット、生成AIの活用、等進み、今まで従業員だけを対象に生産性を上げてこられた経験は、これからは、人・ロボット・生成AIをとりまとめて生産性を上げていかなくてはいけない環境に対面すると思います。 ロボットのモチベーションを上げ、生成AIにやる気を起こさせるとは何でしょうか?
常に変化を続ける環境、その必要ニーズも以前からは変ってくるこれからにおいて、今までの強みが、新しい環境・ニーズのなかでもさらなる強みとして生きのこるには、何が必要になるでしょうか?

これから進まれようとするキャリアに、何が求められているのか、いままでの強みの何を残し、何を改善し、何を学んで行けば、さらなる強みを作り上げ、新しい環境でも、御自分のキャリアを築き上げていけることになるのか。

ご自身でまずこれを考えることが必要と思います。 そして、その環境やニーズの変化の捉え方、それに対応するのに必要な能力、知識は何かについては、第三者の意見、客観的意見が大変大事と思えます。 独りよがりの解法ではなく、客観的に認められるものでないと世の中には通用しないと思えるためです。

御自分の価値観、知識、経験の棚卸しがステップ1、次に今後も活かせると思うものを選択し、新たに必要と思われるものを確認するのがステップ2,そしてその新たなに必要なものを獲得していくのがステップ3、これがよく言われているステップと思います。

客観性を得るには、同僚とか、上司とか、異業種の方々とか、コンサルタントとか、第三の目が、経験が、意識が、意見が必要と思います。
このため、とくにセカンドキャリア、サードキャリアと進まれるにつれ、他人とのかかわりを常に持つことが大変重要になってくると思います。

サードキャリアを考えるときも、御自分で考えられることに加えて、いろいろな年代の第三の方々との日頃の接触を絶やさず、常日頃からアンラーニングを意識されることが、より充実したサードキャリアへのポイントになるように思います。

                                                                                                                     以上
 

リスキリングとブラッシュアップ(能力の変化に備えて)

2024年7月27日 大圖健弘

 

 サードキャリアを考えていく上で避けて通れないものに個人の能力の変化がある。能力の変化といっても本人の備えている能力の変化だけでなく、本人に求められる能力の変化もある。

 まず、個人が保有する能力の変化が考えてみる。この中には記憶力の低下や個人が保有している知識等の陳腐化といったこれまで保有していた能力の変化に加え、加齢に従ってやる気の減退、疲れやすさの進行など新たな能力の変化が現れる。しかし、それでだけでなく、サードキャリアに伴う新しい世界に目を向けようとする好奇心や、キャリアの積み重ねを全うしようとする使命感などという、前向きの能力変化も少なからず影響を持ってくる。

 これに対し、キャリアを積んでいく中で、求められる能力も絶えず変化してくる。まず、今までのキャリアの延長上で活躍することを考えていても、社会自体が変化していき、新たに学ばなければならないことが否応なく増えてくる。又、今まで考えられていなかったものが新たに付け加わって、これまでのキャリアの延長上で今までの知識レベルでは対処できない事柄が発生したりする可能性もある。又、サードキャリアを新しい分野で切り開こうと思うのであれば、当然、今まで保有している能力だけでは対処できず、新しい知識の獲得を含めた新しい能力の開発を図っていく必要が出てくるのである。

 ここで、こうした能力の変化に備えて必要になるのがブラッシュアップとリスキリングではないかと思う。筆者が保有している「国家資格キャリアコンサルタント」の資格では5年ごとに資格更新のための勉強を結構な時間を割いて行わなければならない。この資格に限らず、実務で使用されている資格の中には、更新のためにこうした勉強を行わなくてはならない資格が少なからずある。「いつも使っている知識なのだから、そんな研修などいらないのではないか」と考えられる方もいらっしゃるかもしれないが、新しい知見や制度の変化を学ぶ必要が出てきたり、何よりも「長年自分流の行動」だけを繰り返しているとでついつい行動や考え方が偏ってしまうこと弊害が発生し、こうした偏りを是正するためにも資格に求められる能力の更新を行う必要が出てきたりすることも大きい。こうしたことも大きな意味での「能力の変化」であり、これを防ぐために「ブラッシュアップ」をすることで、能力の再開発することが重要な役割を果たすことになる。資格更新は、こうした「ブラッシュアップ」の非常に良い機会なのである。

 また、新しい世界に飛びこむにはその世界に必要な知識能力を身に着けることが必要でこれらのための勉学努力は広い意味での「リスキリング」に他ならない。私たちには、サードキャリアを実りあるものにするためにもこうした「能力に変化」に備えた「ブラッシュアップ」「リスキリング」を折に触れて行っていくことが大切になると思う。昨今、政府の声掛かりでリスキリングが結構ブームになっている。大上段に振りかぶって行う必要はないのだが、日常生活の中でこうしたことの重要性を理解しながら折に触れ「ブラッシュアップ」「リスキリング」に取り組んでみることが、サードキャリアにおける「能力の変化」に対応できる一つの手段かもしれない。

 

                                                  以   上

 

 

新たなキャリアに求められる能力の変化

2024年7月26日 鈴木 友之 

 

 職業に求められる能力の分類にはいくつか異なる視点があるが、そのうちの一つに、3分野、①概念化能力(論理的思考、課題発見、創造性等)②人間的的関わり能力、③個々の専門的能力、に分ける視点がある。①の概念化能力はいろいろと経験を積む過程で進化し、年齢と共に蓄積が期待される。②の人間的的関わり能力は持って生まれたパーソナリティーをベースに、いろいろな対人関係やチーム協力などの経験を通して個性豊かな人間的関わり能力が培われ、しかも衰えることはない。しかも、新しい仕事や取り組みにおいてもこの2つの分野、①概念化能力と②人間的関わり能力は、取り組み場面が違っても発揮すると期待される。「一芸に秀でる者は多芸に通ず」という諺の「一芸」は、この2つの能力がポイントと言える。

 

 一方の③個々の専門的能力はあるレベルまでは進化するものの、ピークを過ぎれば劣化が始まる。例えば、スポーツ選手であれば、その専門分野によってピークの時期は異なるが劣化が始まる。どんな花形選手でもある時期に、多くはサラリーマンの定年よりもずっと早い時期に、引退して指導者といったセカンドキャリアに転身している。例えスポーツ選手としてトップクラスにならなかった人でも、引退後に携わってきたスポーツの理論研究やコーチング勉強のために大学に入り直したり、米国等のそのスポーツの先進国に勉強に行き、卒業後にコーチや監督としてデビューし、一流のセカンドキャリアを築く人もいる。更にサードキャリアとして評論家に転身する人も多くいる。このようなファーストキャリア、セカンドキャリア、サードキャリアという転身は、それまでのキャリアをベースに何らかの関係のある分野への転身であり、無理のないキャリアシフトと言える。

 

 ところが、スポーツ一筋取り組んできた人が、セカンドキャリア或いはサードキャリアを考える時に、それまでのキャリアで発揮してきた③個々の専門的能力とは全く関係のないように見える仕事に取り組む人もいる。例えばスポーツ選手が自ら料理する飲食店の経営や、それこそラグビー選手から医師といった転身をする人がいる。しかしその転身後の様子を良く見ると、それまでのキャリアで培った①概念化能力、②人間的関わり能力を新しい分野でも発揮しながら、新しい分野に求められる③個々の専門的能力を修得して、目指す成果を出せるよう努力をしていることが分かるだろう。

 

 これからセカンドキャリア、サードキャリアに新しい分野への転身を考えるなら、まず自分がそれまでのキャリアを通して培ってきた①概念化能力と②人間的関わり能力の強みに何があるのか明確にすること。そのうえで、それらの強みを生かしながら、③個々の専門的能力がこれからの年齢でも、心身の能力の変化、特に劣化、に影響されずに成長できる分野かどうかを吟味する事が鍵と考える。

 

以上

川下り型でも目的・目標を明確にする

 

2024年6月30日 鈴木 友之

 

 私が相談に乗ってきたいくつかの事例を参考に、架空のひとAさんのサードキャリアを振り返ってみたいと思います。

 

  Aさんはファーストキャリアでは企業内でのIT活用に関わる仕事に就いていました。IT活用は、第一に社内、社外との連携などにおける省力化・効率化といった生産性向上を主眼に取り組んでいました。セカンドキャリアとして再就職した会社でも引き続きIT活用に取り組んでいました。そのころになるとコンピュータを生産性向上に活用するだけでなく、コンピュータとネットワーク、パソコンや携帯までも組み合わせた新しいビジネスの創出といったテーマも重要になり、興味は拡がっていきました。

 

  その頃、Aさんの会社では職能制度による人事制度に限界があると考え、人事制度の抜本的見直しをすることになりました。Aさんは、コンピュータシステムの見直しの立場だけでなく人事制度そのものの見直しにも直接関わり、3年かけて全面改定した新人事制度の導入から制度の浸透までフォローしたところで定年退職を迎えました。

 

 Aさんは定年退職を迎えるに当たりサードキャリアとして引き続きIT関係の仕事を続けるか否かを考えた時、いま一つ違うという感じを持ちました。それよりも新人事制度を浸透させる過程で社員一人ひとりと接する機会を多く持つ中で感じた何かに惹かれるものがありました。そのような状態のときに、偶さか人事コンサルから紹介されたキャリカウンセラー(現在のキャリアコンサルタント)という資格に興味を持ち受講してみることにしました。晴れて資格をとった後は、人びとのキャリア形成をサポートする役割に、ITでの仕事以上に興味と価値観を感じました。更に、コーチングや産業カウンセラー等の資格を取得し、キャリアコンサルタント・コーチとなり、個人事業主、則ちフリーランスとしてサードキャリアをスタートさせました。

 

 フリーランスの仕事は、黙っていても仕事はやってきません。自らチャンスを見つけ飛び込み、講師やファシリテーションといった未経験のスキルは都度勉強し、いろいろな理論を深め広げていきました。そのような努力を重ねた結果、実績と人脈ができると、新しい仕事が向こうからやってくるようになりました。それまでにできた仲間と話し合う中で、新しい仕事を発案して取り組む機会を持てるようにもなったということです。

 

 Aさんにとって、ファーストキャリアとセカンドキャリアでの目的は所属する会社で「ITを生かして生産性の向上や新ビジネスを創出する」ことであり、目標は企業が置かれた状況から設定される目標でした。一方、サードキャリアでの目的は「人びと一人ひとりのキャリア形成を支援し目指す目標の達成に、ひいては組織・社会の活性化に貢献する」とし、最初の目標は「キャリア形成支援の3分野、①転職・再就職、②企業内、③新卒就職での経験を積む」としました。会社の目的・目標ではなく、自から設定した目的・目標が大きな違いでありやりがいとなりました。

 

 いかがでしょうか、前回のブログでサードキャリアは「緩やかな川下り型」でと申し上げましたが、偶然の出会いの連続に見える川下り型と言えでも、川の流れに身を任せるのではなく、目的と目標を明確にして取り組むことが一層重要に思っています。

 

以上

2024年6月26日

延川和治

 

サードキャリアの目的・目標の、現実的な明確化は、正直なかなか難しいと思います。

 

「100年人生」と言われ始め、使われ始めているけれど、厚生労働省発表の2023年日本人平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳、二年連続減少との現実もあり、夢を追うことの大切さに合わせ、現実の地に足を付ける重要性も意識させられます。 現在70歳の男性であられるなら、平均的にはあと余命10年余です。 この時間の制約の中で、何を目的・目標にされるかです。

 

一方、健康で、興味があることができ、思う生活ができる経済力があり、他人との交流も、また活動を通して社会貢献もできる生き方を続ける、あるいは、改めて作っていける何かをすることを、サードキャリアでの目的・目標と、まず考えられることは、極く自然のことと理解をします。

 

厚生労働省の別の統計では、生活習慣病にかかっている日本人は7000万人を超えている(一人が一つの病気ベースの集計で、複数の病気を一人で罹っていることもあり、数字は実際より多いと思いますが)らしく、現在そのご苦労が始まっておられる方も、またこれから始まる方もかなりおられると想定、健康面で何らかの制約がこれから生まれてくる可能性も否定できないでしょう。 できれば、その制約がでてきたとしても、達成にむかえるような目的・目標を、これからの目的・目標とされていきたいのではないでしょうか。

 

自分が興味があることに、いままでかかわってこられ、それを引き続き行う事ができる方はまだ安心も、これから新たに始めようとするときには、そのスタートや、加速、展開への体力エネルギーの必要性を意識しておく必要があるのではと感じます。 ここにも目的・目標設定への制約の可能性がありそうです。 興味があることを行い充実したキャリアを過ごしている御自分の最終的な姿を、できるだけ明確化し、そこで必要とされているエネルギーと、今とこれからの御自分が持っておられるであろうエネルギーを前もって比較されておくのも、その設定目標へスタートを切るときの安心への一つの要素かも知れません。

 

他人との交流、それもいつも同じ他人ばかりではなく、いろいろな方々と新しい交流が始まることは、精神的にも、肉体的にも大きな刺激になり、ひいては活躍できる年齢の延長につながるように思います。 ご自身の身の回りの方々、またその方々の周りの方々、等々、仕事を通じて、プライベートでも、なにかの催しでも。いろいろな方々との接点を作り続けられることも、お考えの目的・目標のなかに折り込まれてみられてはいかがでしょうか。

 

残された時間が少なくなってきていることは、否定することができず、精神面でも体力面でも、マイナスのスパイラルに落ち込みそうなサードキャリアの方もいらっしゃるかも知れません。 それでも、ご自身をそこから引上げ、プラスのスパイラルに持って行くのは、やはり、ご自身の思いと意思と思います。

 

サードキャリアでは、これらいろいろな制約が、だんだんに増えてくると思えますが、それらにしっかり足を置き、ご自身の為し得られる、また、ご自身が満足し得る目的・目標に、どうか向かわれてください。

 

それらを為し得られたときの、御自分の様子を思い描きながら。

 

応援しています。

 

以上

サードキャリアの目標は

                  2024年6月23日 大圖 健弘

 

 キャリアを重ねていく中で、それぞれのキャリア形成の目標を明確化することは重要なアクションとして位置づけられている。サードキャリアを考えていく中で、その意図、目標を明確化することはやはり必要なアクションであることは間違いのないことであろう。しかし、この目標の明確化ということが、意外とサードキャリアを重ねる中で難しい問題になってくる。
 学校を卒業して新しいキャリアを歩み始めた時期には、そのキャリアの目標は、その道を究めたり、仕事の中で自分がランクアップしたりと、比較的明確な目標設定をすることが容易に行うことができた。所謂「末は博士か大臣か」ではないが自分の将来の夢としてのキャリア目標を比較的長いレンジでとらえ、目指すことが当たり前のように感じられ、その目標に対して素直に邁進することも可能であった。少し時代が下って、中年域に達し、セカンドキャリアを歩み始める段階においても、まだ、個人の生活野安定を願ったり、更なる高みを目指したり、とまだ自分がやらなければならないことも多く、目標を設定できる自由度もかなり大きく、まだまだ、自分のキャリアの目標は容易に設定できる範囲内にあることと思われる。

 これに対し、サードキャリアでの目標設定はかなり様相が違う。比較的高齢行きに入ってきた時点で、何を目標とするかについてはかなりこれまでの考え方から転換をしていくことが求められる。まず、生活については、基本的に65歳から公的年金の支給も始まり、贅沢をしなければ最低限の生活ができることが見込まれ「生活の為のキャリア形成」という側面が薄くなってくる。それでは社会で成功するといっても、既に社会で活躍できる分野は限られてきており、それまでのキャリアである程度成功を収めないと社会での成功をこれから収めることは難しくなっている。又、若い時と異なり、キャリアを積むために残されている時間が少なくなってきており、夢の実現といった長いスパンの目標より、現実的で日常生活に根差したキャリア目標の設定が重要になってくるのである。

 こうした中でのキャリア形成の目標設定はどのようにしていくのがいいのだろうか。まず、目標設定の考え方を見直す必要があるかもしれない。今までは目標が結果目標中心で何かを成就させたり、なにかを達成したいという考え方でキャリア目標が語られてきたことが多かったのではないだろうか。しかしサードキャリアの中ではなかなかこのような達成目標を設定することは難しい。すでに触れたように、キャリアの積むための時間も短くなっており、またそのような目標を求められることも少なくなってきているからである。

これに対し、サードキャリアでの目標はキャリアを形成していくプロセスにあるのではないかと考える。キャリアを積んでいく過程でどのような行動様式をとっていくかが必要になってくる。

 例えば、筆者は今合唱のサークルに入っているが、ここでの団体の活動目標について考えてみると、メンバーによって考え方はバラバラのところがある。確かに、学生時代のサークル等とは違いコンクールに出て良い成績を取る等の明確な目標は作りにくく、メンバーの年齢構成も幅が広く、結果目標を設けることは非常に難しい。更に高齢者になれば、難曲をこなしていく能力も失われつつあることも否めない。しかし、日頃の活動の中でお互いを高めあっていこう、日頃の活動が充実できるようにしようという目標を持って活動することは誰にでもできることであり、参加者はこうしたことを目標にしてそれぞれ自己研鑽を積んでいる。その中で、お互いが挑戦でき楽しめる曲目を選択し、行動目標が達成できるように備えてきている。サードキャリアの世界ではこうした活動過程の目標を設定することが、ある意味機能しているのである。

 サードキャリアの目標設定はこうして考え方を変えて行っていくことを、考えたらいかがだろうか。例えば、キャリアの中で社会貢献をする。日々、充実感を持てるような行動を行っていく。等、個人個人が納得できるような行動過程がキャリアの目標になる。是非こうした目標設定を行っていきたいものである。

 

 

                                以  上

キャリアチェンジのとき


2024年5月19日
延川和治


キャリアチェンジに二つのタイプがあると思います。
一つは、自分が判断しチェンジしていくもの、もう一つは、勤務先の倒産等で強制的にチェンジさせられるものがあると思います。
また、自分が決めるものにも二つタイプがあって、キャリアプランを既に建てていて、それを目標とし、達成に向けてチェンジしていくものと、刹那刹那で現状が嫌になり、現状逃避でチェンジしていくものがあると思います。
理想は、御自分のキャリアステップを上がっていくキャリアチェンジをされることと思いますが、現実はなかなか厳しいものがあると理解しています。

刹那刹那で現状が嫌になり、キャリアチェンジを思う方々には、まず自己を見つめ直して頂きたく思います。 本当の自分は何なのか、何をやりたいのか、何に向かって進みたいのか。 繰り返し繰り返し良くこれらを考え、自身で掴み、それを他人に、情熱をもって語れるようになって欲しく思います。
キャリアコンサルタントは、必ずや共にこれからの道筋をプラニングすることを支援してくれるはずです。 サポートが必要であれば連絡してみてください。
合わせ重要なことは、この作業を、辞めたいと思う現在の職場から離れる前に完成させることです。 現在の職場を離れた後では、経済面も含め、環境が非常に厳しくなります。

キャリアプランに沿って進んでいる方々は、日々が充実されていることを願います、ただ、世の中そうは甘くないのではないでしょうか。  都度都度振り返って、御自分の思いとかけ離れているところを把握され、その獲得をどこに求めるのかを追求していくことが求められると思います。 周囲の理解者を始め、いろいろな方々に接触され、お悩みを話されるのがいいのではと思います。 もちろんキャリアコンサルタントもその中に含まれるでしょう。 時間の経過と共に、作り上げたいと思われていることの周囲の環境も変ります。 ご自身の思うキャリアの達成へ、周囲の変化への対応の柔軟性と、成し遂げる心の強さが必要になるのではないでしょうか。

強制的にキャリアチェンジさせられるとき、そのショックから、全てを失い自分には何もないとの思いがまず沸くと思います。 加えて今日から食べていく糧が必要になるわけで、
その経済的側面が非常に強い物になると思います。 自分を捨てて、家族の為にも、先ずは何でもいい、稼げることをやろうと。
でも、このときでも、自己をなんとか捨てないで、自己をつか見直し、少ない選択肢しかないかも知れませんが、その中で自己が生きるものを掴んで頂きたく思います。
年齢の壁も大きく作用すると思います。  一方自分を知る友達、同僚、親戚縁者などから
良い情報を得ることも多いと思います。  環境、形も変り、大変と思いますが、御自分のキャリアの実現を、負けずに成し遂げて頂きたく思います。

                                                       以上
 

70歳台からは緩い「川下り型」で

 

2024年5月18日 鈴木 友之

 

 高齢者になると2つの視点で労働条件に制約がでてくる。一つは健康面で基礎疾患と体力の問題。もう一つは運動神経や思考能力の低下。健康面は、常に仕事を出来る状態を維持することが厳しいと自覚して臨むことが肝要になる。もう一方、運動神経や思考能力について大きくは低下していることを自覚して昔の杵柄を期待せず、新たなことに取り組んでいく事がポイントとなる。

 

 この後者「運動神経や思考能力の衰退」を織り込んで仕事に就くと言うことは、従来の延長線上の仕事ではなく、全く新しい仕事に就く気持ちで自分の運動神経・思考能力をよく認識して条件を考え、条件に合った仕事を見つけることが重要な視点だ。その時には一つ収入をどの程度必要とするによって選択肢も変わってくる。収入と自由な時間の確保が重要なら、フルタイムの非正規雇用だけでなく最近普及し始めたネットワーク上で募集されるスポットワークも選択肢になる。一方で、収入にはこだわらず自由な時間に体を動かして頭も使うような仕事を通して、やりがいと体力維持・ボケ防止が目的なら、自分の仕事に限定せずに得意とすることを生かす方向性が考えられる。

 

 収入に拘らず、やリがい・体力維持・ボケ防止を主眼にした例には、例えば資格を生かして、合気道といったスポーツの指導員やコーチング、或いは、家庭菜園、植木職人の手伝い、料理、絵画、音楽、茶道・書道、俳句・短歌、囲碁・将棋などの世界で興味を追及するのも一案。一人でもできるし適当な仲間がいると励みだけでなく健康管理にも繋がるメリットがある。ある人は市民農園を借りて家庭菜園を本格的に取り組んでいる。借りた農園をどのように区分けしてどのように野菜を育てるか調べ、農園の隣り同士で情報交換して工夫し、朝早くから汗を流し、新鮮な収穫を家族と味わい、更にはご近所にも配って楽しんでいる。或いは、思い立って俳句を始め新聞の俳壇に投句して楽しんでる人もいる。行動することで新しいライフスタイルが開けていくようだ。

 

 既に持っていた趣味を発展させるのならスムーズに移行できるが、思い立って新たに始めるとなると習うことから始めるため、リスキリングでのそれなりの苦労を覚悟することが必要になる。いきなり高い目標は持たず、継続は力を胸に、一歩一歩ゆっくりと前進できれば良いと思うことが肝要だ。現役時代のような高い目標をもって挑む「山登り型」ではなく、自分の習熟ペースを大切にした「川下り型」で、しかも急流ではなく緩やかな川下りを大切に、周りの風景も楽しむ余裕をお勧めしたいが、いかがだろうか。

以上