簡単に頼みごとに応じるのはやめよう
2026年6月27日 鈴木 友之
このテーマで一番に思いつくことは「オレオレ詐欺」だ。普段音沙汰のない孫から突然電話がかかってきて「お金を融通して欲しい」という相談。今は亡くなった母が一人住まいの時によく電話がかかってきたと言っていた。その時の返事は「おばあちゃんには良く分からないから、お母さんに相談してみたら」と返事して電話を切ったという。最近はこの手の詐欺は減ってきて、警察などからの脅しの電話が多くなってきているから、これまた用心が必要だ。では、お金ではなく、何かをして欲しいという頼みごとにはどうだろうか。会社での仕事の中での頼みごとの場合には、稟議という第三者の目が入るのでチェック機能が働くが、個人ベースだと第三者のチェックが入る機会がないままにことが進む危険がある。私自身の限られた経験では、例えば甥や姪、孫といった関係での入学・就職における保証人の依頼がある。これは、保証する対象と範囲が理解できているので躊躇なく引き受けている。
では、信頼している人に短期間でもお金を融通して欲しいと頼まれた場合はどうだろううか。例えば、昨年評判になった映画「国宝」での歌舞伎「曽根崎心中」でのトラブルの発端は、主人公の平野屋の手代徳兵衛が叔父で平野屋の主人から縁談が持ち込まれたが、遊女お初との愛を貫くために縁談を断わった。既に継母に渡っていた結納金を取り戻して叔父に返えそうとしていた矢先に、親友と信じていた油屋九平次に3日間と相談されて、そのお金を貸してしまい、返されないままに追い込まれる話。実際の話、大金を持たない身が人に大金を貸すことは少なくても、保証人になった相手が破産してしまい保証人が借金が背負い込む話は小説ではよく登場する話。実際の話としても聞く。知人、友人、お金の関わらない交流が肝要に思う。
なぜ、簡単に頼みごとを聞いてしまって泥沼に陥るのかと考えると、背景に3つの人間関係が考えられる。1つは先にも私事で紹介したように親戚関係や信頼できると思っていた友人・知人関係。2つ目は何らかの恩義や借りがあって断りにくい相手。3つ目は自分にも好都合と早飲み込みして合点する場合。
1つ目の親戚関係での甥や姪と言えども、当人や親をどこまで知っていて信頼に足る人物かどうかを確認することが重要だろう。遠い親戚や友人・知人となると人物だけでなく、なぜ自分に相談が?と疑問符をつけて確認することがいっそう重要になる。
2つ目と3つ目の個々の例を挙げるよりも、一気に2つ目の恩義や借りと3つ目の自分にも好都合という2点が複合した場合を考えてみたい。偶さか、6月27日の日経新聞「私の履歴書」でケンタッキーフライドチキンを退職された大河原毅さんが新たに始めた会社が、北海道八雲町に持つ「ハーベスター八雲」の活用で協力を約束したのちに、再考して断った話が出ている。熟慮の末の結論だったと思うが、相当な勇気が必要だったろう。実際に断った直後は、地元の周りから強い批判を浴びたようだが、目指す自然保護の観点を大切にして事業に取り組んだ。その結果、いまでは地元自治体との友好的な協力関係を築いておられるそうだ。アドラー理論を岸見一郎さんの「嫌われる勇気」の大切さを感じる。
頼みごとに簡単に応じるのをやめるのは勿論だが、もし人間関係でつい応じてしまった後でも、よく考えて必要ならば断わる根拠を明確にして「嫌われる勇気」を持って断ることも大切に思う。そのあと誠意をもって取り組めば理解されるときが来るだろう。それこそ「雨降って地固まる」だ。
以上