サードキャリア世代と家族の健康

 

2024年11月2日  大圖健弘

 サードキャリアを考える年になってくると、自分自身を取り巻く環境も今までと変わってくる。勿論自分自身もある程度の年齢になってくるし、家族もそれなりに年齢を重ねてくる感じになる。家族といっても、夫婦や子供たちだけではなく親が存命であればそれこそ、高年齢者であり、何らかの支援を自分が行っていかないとならないことも多くなってくる。

 このような中で、サードキャリアにこうした家族の健康がもたらす影響について少し考えてみたい。セカンドキャリアを過ごしている時期は多くの方は、自分の健康にも、家族の健康にもそんなに気にしないで過ごしてこられていると思う。健康ということが所与の条件のもとに自己が成長し、あるいは自己が望む目標に向かってある意味、不自由なく邁進し、成果を上げることができてきた。たとえ、家族が健康を崩すといっても、普通の場合は通院等で済むことが多く、日常活動の支障になることはそんなに多いことではない。しかし、サードキャリアを歩む時期になると、自分自身の健康にも陰りの見える人も出て来はじめ、それだけではなく家族の健康にも気を使わなければならない可能性も大きくなってくる。サードキャリアの世界はこうした制約条件の中で、個人が何を目指し、どのようにその条件と折り合ってキャリアを積んでいくかを考える世界であるかもしれない。

 この中で、自分の健康についてはまだしもそれぞれの個人が気を付け、あるいは鍛錬すること等によって管理することが可能で、また、損ねたからといって自分のことだから、という意識がある為、それが自身の行動内容に影響をもたらされても、さほど意識的な負担にならず、過ごしていけるかもしれない。事実、筆者も食事等の制限を受けているがそれがサードキャリアを積んでいく過程で大きな障害に感じることはない。しかし、家族の健康の問題となるとなかなか厄介である。勿論、家族の中のどの存在の健康かということや、その程度によっても随分違いがあるが、いずれにしても、まず、自分自身がコントロールできないということが大きな課題となる。家族が健康を損ねると、時間的にも、金銭的にも自身が管理できないところでの問題となり、行動が制約される可能性が高い。今まで何も気にしていなかったことが、急に重くのしかかってくるのである。筆者が所属している合唱のサークルでもメンバーに高齢者が多いため、配偶者が介護を必要としているためなかなか練習に参加できないといったことが、結構話題になり、それぞれのメンバーはそういったことに対処しながら活動している。勿論、配偶者ではなく親の面倒で、制約を受けるといったことも逃れにくい課題で、特に遠隔地の高齢の親を抱え、その面倒のために時間も金銭的な負担も大きく降りかかってくるということはよく耳にする問題である。

 私たちは、こうした問題がサードキャリアを歩んでいくときには避けて通れないものだということをなるべく早い時期から認識し、例えば、セカンドキャリアを選択する時においても、サードキャリアを歩むころはこうなっているということを考慮しながらその行動について考えていくことも必要なのではないだろうか。日頃、なかなか考慮されない事項であるが、一度立ち止まってこうしたことにも目を向けてみることも、人生100年世代に実りあるサードキャリアを過ごすために有用かもしれない。

 

 

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