フィレンツェの記事を書いていたら、あの絵を見た時の感動が鮮やかに思い出されました。
きっと、だれもが美術の教科書で見たことがある

「ヴィーナスの誕生」。



 

 

ルネッサンス期に描かれたこの名画は
古代ギリシャ・ローマの神話の中に登場するヴィーナスの物語を表しています。
一時期美術学生だったわたしは、このたなびく風の優しい流れや触れたくなるような肌のなめらかさ柔らかさを、どうしたらこんなに繊細に表現できるんだろう??と研究対象としてよくこの絵を眺めていました。

ちなみに、私はルネッサンス期の絵画やギリシャ・ローマ神話が大好きで
学生時代によく図書館で神々の織り成す人間模様を描いた物語を読み漁りながら
神秘的でありつつ優美で繊細な、特に女神の絵に心奪われていました。

わたしがずっと長い髪を好んでいるのも、丸みのある自分を自覚しつつもダイエットをあまり頑張らないのも…恐れ多くもあの時代に見た女神像に憧れを抱き、女性としてそこを目指しているからかもしれません。

このボッティチェリのヴィーナスは首が長すぎたり左肩が下がっていたり左右対称ではないのですが、そこがまたそれまでの古典的リアリズムの絵画とは違い、自然な人間らしい美しさをより強調させて感じさせる手法だ、と色々な評論家が評価しています。

ギリシャ神話の中では海の泡(アプロス)から生まれ、貝の中から地上に降り立ったといわれる愛と美の女神アフロディーテ。
有名な物語「人魚姫」も、美しい乙女が最後は泡になってしまうという結末は
このアフロディーテの誕生と結びついているのではと言われています。

実は今、偶然にも人魚姫を題材にした書き物を始めたところで
何日か前にウフィツィ美術館の日記を読み返した時にこの絵のことが書かれていて
最近は寝る前に、改めてヴィーナスの誕生に関する神話を読み返したり、何パターンもある人魚姫のお話を調べたりしていました。

ギリシャ神話を読むたびに、神々が皆自己愛が強く、欲望や復讐も思いのまま激しく、めちゃくちゃ感情的で…神様たちはいつでも好き勝手、現代の私たち人間って耐え忍んで調和を重んじている優等生だな…と思います。
今のような状況は、個人ができることは少なくただただ医療従事者の皆さんに感謝し、難が過ぎさるまで耐え忍ぶしかありませが
ちょっとした現実逃避に…全く違う世界のお話や、今まで興味がなかった分野の本など、読んでみると意外と気持ちや頭の切り替えになってお勧めです。



こちらは相変わらず感染者数は日に日に3000人という数が増え続けていますが、日本もまた増えてきていると聞いております。
そして、今月上旬の豪雨による深刻な被害の様子も遅ればせながらニュースで拝見いたしました。
今は世界の安全と、被災地の一日も早い復興を、遠い地からですが心よりお祈り申し上げます。
皆さんの心に、早く平安が戻りますように。