帰りの電車で その2 #エビスの夜明け | 大沼優記の"ぬまぶくろぐ"

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ニックネーム。

親しみをこめて相手を呼ぶとき、人はニックネームを使う。

僕だと、"ぬま"とか、"ぬま"に様々な敬称が着いたものとか、"殿下"とか、"閣下"とか、"腹黒王子"とか、そんな感じだ。

お芝居の現場では、やっぱり相手をニックネームで呼びたい。

呼んでもらえると嬉しいし、それだけで距離が縮まる気がする。

しかし、初めてニックネームで呼ぶ時というのは、なかなかに恥ずかしい。

昨日の電車の帰り。

途中から、脚本・演出の深谷くんと2人きりになった。

よし。

ニックネームで呼ぶ絶好の機会なり。

深谷くんは、どうやら"ふかたん"という名前で呼ばれているそうだ。

"ふかたん"と呼ぶ機会をうかがった。

「ふ………ふ………ふぅ~~~」

呼ぼうとしたものの、"ふ"の続きを言い出せず意味もなく深い呼吸をしてしまう。

(なんてドキドキするんだ…!!)

頭の中で"ふかたん"と言ってみる。

(ふ、か、たはぁぁ~~ん)

これがもう、ドキドキし過ぎてサラッと言えない。

(何かいい話題はないか。)

話題を探してみる。

(「埼玉の深谷市のゆるキャラの"ふっかちゃん"と"ふかたん"って、名前の響きが似てるね。ところで、ふかたんはさぁ…」)

ダメだ…!!

強引過ぎる…!!

頭の中であれやこれやと取捨選択をしている間に、残念ながら時間切れとなりお別れになってしまった。

1人になった後、「ふかたん、明日もよろしくお願いします」とボソリと心の中で呟いた。

P.S.
結局、今日も呼ぶことができませんでした。

明日こそは…!!