『捨てる。』と、風に飛んだ離婚届 | 大沼優記の"ぬまぶくろぐ"

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んちゃ!またいつかエビスに出たい大沼です。

一昨日は、エビス駅前バーtrial『捨てる。』を観劇してきた。

今や、ものすごく、ものすんごくお世話になっているエビス駅前バープロデュース。

米内山陽子さんの脚本・広瀬格さんの演出。

鉄板だ。

2年前の上演も観ていたので、絶対に楽しめる確信を持っての観劇。

贅沢な時間でした。

約70分があっという間。

リアルなお芝居をこんなに間近で堪能できるなんてすごく贅沢。

自分がこの空間に今年だけで2度も出させていただいたことが夢だったんじゃないかと思うほど、ハイレベルだった。

終演後の出演者の皆さんも優しかったなぁ。

みんなみんな、あたたかった。

荻さんは、舞台上ではものすごくかっこいいのに、終演後は、「いひひひ」と笑う、気さくなおじ様だった。

『捨てる。』は、明日までエビス駅前バーで上演していますので、ご都合よろしければ是非。

と、書いていたら4月にエビスに出させていただいた『くすり・ゆび・きり』のことを無性に思い出したくなった。

そういえば、稽古中はなかなかブログを書けなかったなぁ。

思い出してみると、いろいろあった。

今日は、いろいろあった中の一つを。

『くすり・ゆび・きり』は、実際にもある離婚式をテーマにしたお芝居だった。

僕の役は離婚をする旦那さんの役だった。

そんなお話なので、実際に離婚届が小道具として出てくる。

劇中では記入済みのものを使うのだが、お芝居の中でグチャグチャになるので、毎ステージ離婚届を記入することが公演中の日課だった。

離婚届の必要事項を記入するのもなかなか時間がかかる。

ある週末、

「もう、バーに入る前に先に書いてしまおう。うん、そうしたら本番前の時間に余裕が出るぞ。よし、そうしよう」

と思い立ち、駅からバーに行く途中の外でノートを下敷きにして書くことを試みた。

その日は3ステージ。

1枚目を無事に書き終えられたので、いっそ3枚全部書いてしまおうと思った。

のが悪かった。

春先は強風が吹きやすい。

ちょうどいい高さの台があったので、記入済みのものを置いて新しい離婚届と交換しようとしたとき、突風が吹いた。


記入済みの離婚届が、風に飛ばされた。


離婚届は、風に舞い上がり恵比寿駅前のロータリーに向かって飛んで行った。

無我の境地で追いかけた。

もしも観劇予定のお客さんの手元に「直江海士」という名前の離婚届が渡ったら。

恐ろしい。

もしも、追いかけている先で見ず知らずの人に離婚届を拾われたら。

恐ろしい。

フィクションとは言え、どのツラ下げて記入済みの離婚届を受け取ったらいいか分からない。

拾った先方は、フィクションだとは思わないだろう。

その人に取ったら僕は、

離婚届を風に飛ばされて必死に追いかけている旦那さん

以上でも以下でもない。

ふんごっ!!

何が何でもそんな事態は避けねば!

必死に追いかけた。

と思っていた矢先、ロータリー手前の電柱に離婚届が絡まって止まった。

「た、助かった…!」

ふと、スピードを緩めた途端、今度は横方向から突風が吹いた。

無残にも離婚届は、電柱から剥がされ再び風に飛ばされた。

そして、ついに信号待ちの男性の足に絡まり、男性が離婚届を手に取った。

「う…う…うわぁぁーー!!」

もう、どんな顔をして受け取ったらいいのか分からない。

でも、受け取らないわけにはいかない。

この上なく自分を見失っていた僕は、

「すみません!!そ…それ!僕のです!!く…ください!!」

と、ものすごい勢いで言ってしまった。

勢いに驚いた男性は、中身をチラリと見た後、僕の顔を見ずにそっと離婚届を差し出してくれた。

それ以降のステージは、おとなしくバーの中で書くことにしたのは言うまでもないお話。

うーん。

バカ、丸出しだなぁ。

…笑い話、ですよね…??

笑ってください!!