ゲシュタルト療法トレーニングコース⑩ | カウンセリングルーム樹喜(きき)                   @奈良・大和郡山         

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息の道(呼吸)で、自分と出逢い、自分とつながる...

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さてさて、ゲシュタルトのトレーニングコース(ゲシュタルトネットワーク関西GNK主催)も、

1月で第10回目。終盤戦に入ってきました。

 

今回のファシリテーターは、このコースの主催者でもある、かずりんこと白坂和美さん。

 

心理療法を学ぶ人たちなら、

見たことがあるという人も多い記録ビデオ「グロリアと3人のセラピスト」を鑑賞して、

感想や思ったことをシェアしあう時間から始まりました。

 

3人の著名なセラピスト(カール・ロジャース/来談者中心療法、

フリッツ・パールズ/ゲシュタルト療法、アルバート・エリス/論理療法)が、

グロリアという女性へのセラピーセッションの行う模様を、記録にとったもの。

 

今回の2日間のワークショップの時間は、

「ゲシュタルト療法って、どんな心理療法?どんなことを目指しているの?」

このことを、あらためて考える時間にもなりました。

 

 

以下、少し理論的な話。

ゲシュタルトというのはドイツ語で、「全体」や「完結」という意味です。

 

人間は、世界をバラバラの寄せ集めとして、認識するのではなくて、

意味のある1つのまとまった全体像(ゲシュタルト)として構成し、認識することができます。

 

また、欠けている部分を完結させて、自然にバランスをとろうともします。

ゲシュタルト療法におけるキーワードの1つは、 「'今ここ'の気づきでしょうか。

「気づく」ことができれば、身体がどうなりたいか知っている...

心も身体も、それ以上何かをしようとしなくても、自然とバランスを取る方向にいく。

この原則を大切にします。

 

あるひと(クライエント)の問題とすることに、

「なぜ(why)、そんなことをしているのか」と原因究明をしたり、分析的に問いかけるのではなくて、

どのように(how)そのことが〈今ここ〉で行われているのか」を、問いかけていきます。

これが「’今ここ’の気づき」ということです。

 

そして、言葉で表現していることよりは、

身体、行動、構造を見ていくことを重視します。

 

たとえば、言葉で「大丈夫です」と表現されたとしても、

顔を表情が歪んでいたり、苦しそうだったりしたら、

心の真実は、全然大丈夫なんかではないわけです。

 

  (ゲシュタルトでは、身体と精神は分離した2つのものではなくて、

  身体=精神(こころ)という一元論の立場をとっています)

 

そしてもう1つ、ゲシュタルト特有のアプローチは、

構造にアプローチする、ということ。

 

どういうことかというと、

過去の感情や記憶が「気づき」の領域にのぼろうとするとき、

多くの人は「気づく」ことに、不安や怖れを感じます。

そして、「気づくことを止めよう(あるいは避ける)」とします。

 

そのときも、

「何(what)」を気づかないように、見ないようにしようとしているのかに注目するのではなくて、

「どのように(how)」気づくことを止めようとしているのか

そのカラクリ、その人ならではのやり方、過程(=構造)に注目していくわけです。

 

  ※例えば、自分にとって「気づきたくない」ことに触れないように、

  無意識に「話題」を逸らす...ということを、ひとはやりますね。

  「話題」を逸らす、これが「気づくことをやめる」1つのやり方とも言えます。

 

面白いことに、

ゲシュタルト療法では「変容の逆説理論」ということが言われています。

 

  人は変えようとすればするほど、変われない

   変えようとしないこと(今ここに、気づくこと)で、変わることができる

  

気づくことで、「わたし」がどうしたいのか(あるいはしたくないのか)、

「わたしが主体となる」チャンスが生まれ、行動への選択肢が生まれます。

 

     「気づき」は常に、現在に起こるものであり

  行動への可能性を開くものである      (パールズ)

 

 

 

冒頭に紹介した「グロリアと3人のセラピスト」のビデオで、

パールズのセッションは、非常に動的であり、

ある意味、クライエントであるグロリアに対して「挑発的」である、

という感想を持つ人も多いようです。

 

しかし、クライエントであるグロリアに今この瞬間に起こっていること、

今この瞬間のグロリアの心の中で起こっている真実は、なんなのか?

 

そこから目を離さずに、ひたすらグロリアが「今ここ」に向き合うように、

促し続けるパールズのエネルギーは、まるで獲物を追う狩人のようで、

すごいなぁ、とただただ驚きでした。

 

「グロリア...」のビデオ鑑賞のあと、

メンバー間で「自分がセッションを受けるとしたら、どの人がいい?」なんて話も出て、

その点もとても興味深かったです。(これもまた、人それぞれ)

結局は、いろんな心理療法があるけれども、やはり「どんな人から受けたいのか」

最後は「やり方」ではなくて、「人」が鍵じゃないのか、という意見もでました。

 

うーん...わたしは...

柔らかい語り口のロジャース先生もよろしいが、

自分が元気でエネルギーがあるときなら(条件つき、笑)

パールズ先生の刺激的セッション?(笑)もいいかもしれない、

なんて思ったのでした。

 

もちろん、この2日間は他にも、個人セッションもやりましたし、

もし「ゲシュタルト療法」を他人に伝えるとしたら、どのように伝えるか、

というワークもやってみました。

 

いずれにせよ、グループで仲間と共に学ぶ豊かさを、

体感した2日間でした。

 

かずりん、メンバーのみなさん、

ありがとうございました。

 

 

 

 

 

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