夜も出る
2011年 監督/ デヴィッド・エリス
夏の定番、アニマルパニックの雄であるサメ映画ですが、舞台は海でなく湖。緑色の水中に潜む黒い影が、得体の知れない悪魔感を際立たせています。西洋舞台劇では悪魔や幽霊の登場シーンで、緑色の照明が使われますが、もしかするとその効果を利用する為、湖を舞台にしたのかな?
物語の殆どが夜という新味も功を奏したか、一般的なサメ映画とは異なる不穏感に包まれています。しかし、そこはエリス監督作品。陰湿な雰囲気は一掃され、全編に軽快な音楽が絡む陽気な作品に仕上がっています。『ジョーズ』や『ロスト・バケーション』のように、全身ガチガチになって観る必要のないお気楽ホラーです!一夜のほのかな恋物語と、ハラハラドキドキを楽しみましょう!
【この映画の好きなとこ】
◾︎サラ (サラ・パクストン)
サラがいるだけで、最後まで見飽きる事がありません!それほどかわいい!終始見せる困り顔にも激萌え。 サラだけのカット集観てね↓
◾︎オープニングタイトル
インダストリアルサウンドがカッコいい!3D映画として製作されただけあり、飛び出す映像が雰囲気あり。
◾︎イントロダクション
湖に現れた白ビキニの美女。太陽が反射する水面の美しさと、静まり返った不穏な空気に胸騒ぎを禁じえない。
◾︎監視カメラ
『悪魔のいけにえ』のせいで、田舎は恐ろしいという固定観念が定着。本作でも女子トイレに設置した隠しカメラで、メイク直しをする女子を覗き見る不気味な男が描写される。
◾︎Come On & Get It
"夏休みの始まり"を軽快に描写。庭を駆け抜けるワンコ、音楽にノッて着替える女子、ビキニ姿で歩くサラのバックショットを3回も繰り返すエリス監督まで、みんな大はしゃぎ!
DJ DAN feat.LPのナンバーがまた最高!
◾︎悪魔のシルエット
緑色の湖に現れたサメのシルエットの恐ろしさ!ぼんやりとした色合いが悪魔的!
◾︎爆発
ボートが爆発するシーンは、『デッドコースター』のオープニングを彷彿させる会心の出来。短いシーンながら強いインパクトと絶望感を残してくれる。
◾︎ウェストボルチモアルール
片腕を食いちぎられ、恋人まで奪われたマリク。所属するアメフトチームの信条"奪われたら奪い返す"を実践。槍を持ち立ち上がる!
◾︎ダルマザメ
その愛くるしさとは裏腹に当然ながら獰猛。小型であるものの群れで襲い来る姿に戦慄!
◾︎グレッグ保安官の最期 ※ネタバレ
絶対いい人と思わせておいてまさかのダークサイド側。その分待ち受ける残酷な仕打ちが痛快!
◾︎キス
密かに想いを寄せていたサラに、エア補給を兼ねたキスをするニック。人命救助を兼ねて唇奪うとはやりやがったな!
◾︎檻の中のサラ
サラが閉じ込められたゲージに突進してくるサメ。サメ視点で描かれた映像が抜群の臨場感。興奮度の高い映像になっている。
◾︎シャーマン
ここぞという場面で水中銃を届けてくれたり、溺れたサラを救助する賢いワンコのシャーマンを好きにならずにいられない。
おそらく動物パニックモノでは最も多く作られているであろうサメ映画。本作は単なるパニック映画ではなく、騒動を企てた人間の恐ろしさでも攻めてくる辺りが、他のサメ映画と一線を画すところ。
エリス監督作品は『奇跡の旅2』だけを残して鑑賞済みなのですが、本作は『デッドコースター』『スネーク・フライト』と並ぶ、エリス三大傑作だと思います。
エリス監督が大ファンを公言していた梅津泰臣監督の日本アニメ『A KITE』を次回作に予定しながらも、製作準備期間中に60歳という若さでまさかの急逝。エリス監督のイケてる『A KITE』が幻に終わった事は本当に残念です(この企画はラルフ・ジマン監督が引き継ぎ、2014年に『カイト/ KITE』として完成)。
しかし、エリス監督は素晴らしい作品群を映画ファンに遺してくれました。気鋭作家エリスの作品、ひとりでも多くの映画ファンに鑑賞して頂ける事を祈ります!
※2019年1月28日の投稿記事をリライトしました
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