海老とイカのカレー | C.I.L.

海老とイカのカレー

最近スパイス料理のレシピを更新していなかったので、「ちゃんと継続して作ってますよ~」 というアピールのために急遽アップしてみる。

というのもね、近頃は自宅でスパイスからカレーを作るのが 「当たり前のこと」 になってしまって、覚えたての頃のようなスペシャルな感じが全くなくなってしまったという、まるで熟年夫婦の夜の生活問題。

2年くらい前は 「スパイスを組み合わせて料理を作れるようになった自分」 が楽しくて、どんな物でも作る度にアップしてたんだけれども、最近はそういう感情が沸かず。例えるならば、毎日ご飯を炊く度に写真を撮ってアップするヤツってレアすぎるじゃん?そういう感じ。

だが、その甲斐あってサダオのスパイスレベルは着実に進歩している訳で、久しぶりにアピールしてみようかなと。


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今回は近所のスーパーで叩き売られていたスルメイカとパナメイ海老を使う。

<下ごしらえ>
海老:殻をむいて、背わたを取り、塩で揉む。ぬめりが出てきたら片栗粉を溶かした白ワイン+水(300ccもあれば充分) で揉み込むように洗う。その後、水道水で汚れを流し、ペーパータオルなんかで拭けばOK。ちょっと面倒だが、これをやっておくと臭みの抜け方が段違い。カレーじゃなくて、よりシンプルなバターソテーにする時なんかは必須。

イカ:基本的な捌き方はGoogle先生に聞いて貰うとして、エンペラ・胴体・ゲソの部分を食べやすいサイズにカットする。どうしても最後に煮込むので、胴体の部分は格子状に切り込みを入れ、柔らかさを保つようにしたい。(中華のイカ炒めをイメージすると切り込みの入れ方がわかるかと)

<その他の食材>
玉ねぎ 1個 適当にみじん切り(どうせ形が残らなくなるまで火を入れるので、本当にざっくりでOK)
セロリ 1本 葉と茎とに分け、茎の方は細かくみじん切りにするか、すりおろす(葉は最後に使います)
トマト缶 半分
ニンニク・生姜 それぞれ大さじ1杯分程度をすりおろす(シーフードなのでニンニクよりも生姜の方を多めにすると相性が良い)


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ワタとスミも使うので、これは破らないように大事にとっておく。


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続いてスパイスの用意。ウチにはパウダースパイスの備蓄がそれほどないので、一々ホールスパイスをその都度ミキサーやミルで挽いてます。(同じスパイスをパウダーとホールとで揃えるのがアホらしくなったというのがその理由)

<スタータースパイス>
クミンシード 小さじ1
マスタードシード 小さじ1
シナモン 3cmほどに折る

<パウダースパイス>
フェヌグリーク 小さじ0.5
フェンネル 小さじ0.5
カルダモン 2個(小さければ3個)
コリアンダー 小さじ2
↑これらのホールスパイスをミルに入れてガリガリ。コリアンダーだけ多めで、後は小さじで半分くらいの粉になればいいとお考えください。

ヒーング 耳かき1杯
ベイリーフ 2枚
ターメリック 小さじ1
唐辛子(粉) 小さじ1(辛いのが苦手なら好みに合わせて減らしてください)
↑こちらは別個で調理過程で混ぜ込んでいきます。


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まずは鍋に大さじ5~6杯のサラダ油を敷くところから始めます。日本人としてちょっと引きたくなるような油の量ですが、これだけ入れないと美味いカレーにならん!オレも散々可能な限り油を減らしたレシピを考えてみたが、大さじ3~6杯(食材によって変化) ってのが最低ラインだと思う。これ以上減らすと玉ねぎもスパイスも上手に炒められない=香りと味が出せない。

本職のシェフのレシピなんかには、油が出る食材(例えばひき肉) のカレーなのに、「油を300cc入れる」 とか書いてあるし、それがおまけにバターやギーのような動物性の脂だし、そんなのと比べたらサラダ油100ccごとき屁でもないはず!

で、その油を火にかけて、温度が高まってサラサラになってきたら、スタータースパイス用のホールスパイスを入れます。火加減は温度を上げるまでは中火でも強火でも構いませんが、スパイスを入れたら弱火推奨。火が強い=温度が高いと、あっという間に炭になってくれます。

ホールスパイスにこんがり色が付いて香りが立ってきたら、玉ねぎを入れてサっとスパイスと混ぜ合わせ、ヒーングを投入。次にベイリーフとおろしたニンニク・ショウガ・セロリを入れ、油に香りを出すようにじっくり炒めます。


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玉ねぎを炒めている間に、別のフライパンでメイン食材に軽く火を通す。この時にバターを大さじ1杯分くらい(身体に自身があればもっと使っても可) 敷き、塩コショウをして下味を付けておく。


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半生くらいまで火が通ったら、イカのワタとスミを溶かすように炒める。この時に完全に火を通してしまわないように注意。7割くらい熱を入れたら火を止めてしばし放置。


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玉ねぎがフニャフニャになったら、ターメリックを入れ、油に馴染ませるように1~2分炒める。続いてパウダースパイス類とトマト缶を入れ、トマトの形がほぼ無くなるまで炒める(予めトマトをキッチンハサミなんかでカットしておくと楽)。トマトの炒めが足りないと、旨味が充分に出ないので、最低でも5分くらいは炒めるべし。

トマトの具合を見て、よければ水を5~600cc入れて中火で10分ほど煮込む。トマトを炒めきる前に水を入れないように注意。(理由はわからんが経験則からそう思う)


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鍋の中にメイン具材を入れて、塩で味を調整。ちょっと薄いかな程度の塩加減に調え、ここから更に10分煮込む。水の量が少ないと思ったら100cc程度足してから煮込む。

これで煮詰まっていい具合に味が調ったら完成なんだが、盛り付ける前にもう一手間。

夏のカレーという事で、火を止める直前にレモンやライムの汁を入れます。煮込むと酸味が飛んでしまうので、汁を入れたらなるべく早めに火を止めること。入れる量はお好みで調整しながらが良いと思う。(ちょっと酸味が強くても美味いよ)


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続いてセロリの葉っぱ(1本分) を細かく刻みましょう。セロリの葉っぱって日本人はあまり使う機会がないけど、実は香草として優秀です。今回はコリアンダーリーフ(パクチー) がなかったので、その代わりにコイツを上に散らします。


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完成!

仕上げに煮込むので、どうしてもシーフードに火が入り過ぎるのだが、それを恐れると味が出ないし、どうしたもんか。

まあ美味いからいいや!


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ちなみに、このカレーは今回紹介したレシピだとシャープな味に仕上がります。シーフードの重い味わいと、柑橘類の爽やかさが調和していて、そこにスパイスの刺激が加わるという実に 「夏な味」 なんですが、それだと物足りないという方はココナッツを入れるといいんじゃないかと。

しかし調理途中で入れると全体がその味になってしまって、こっちのシャープ味が楽しめないし……という事で、折衷案として 「食卓でココナッツパウダーを直に振り掛ける」 という手法を取り入れてみた。

パウダーのココナッツって、想像以上に大量に入れないと風味が立ってこないので、カレー1皿につき大さじ1杯くらいドバっとかけちゃって良いと思う。ココナッツは確かに香りが甘いけど、甘みがある訳じゃないので、それだけ大量に入れても味は壊れません。



■初心者用 超基本手順

<油にスパイスの香りを移す=スタータースパイス>
1.何らかの油を底の深いフライパンか鍋に敷き、中火程度で温める(サラダ油が無難)
2.油が温まったら種状のスパイス(ホールスパイス) を必要量入れる
3.充分に熱してスパイスの香りを立たせ、なおかつ焦げ付く前にみじん切りの玉ねぎを入れてスパイスと絡める(クミンやマスタードなどは丁度いい頃合いでパチパチ弾けるので目安になる)
4.玉ねぎが透き通ってしんなりするまで炒め、必要ならばニンニクやショウガも入れる

<香りと刺激を決める>
5.ターメリックを入れて残っている油と絡めていく
6.火を通す必要がある具材を入れて炒める
7.コリアンダー・クミン・カルダモン・シナモンなどの香りを出すパウダースパイスと、唐辛子(粉)やブラックペッパーといった辛味(刺激) を出すスパイスを入れる

<仕上げ>
8.ざく切りにした生トマトかトマト缶を入れて火を通す(粘度が出るまでしっかり火を通す)
9.必要ならば分量分の水を入れて少し煮込む
10.塩で味を調整し、最後にガラムマサラを振りかけて香りを強調したら完成(※スパイスの中には火を入れ続けると香りが飛ぶものがあるので、最後に補強してやる必要がある)


■初心者用記事
スパイス料理を始めてみようという方は、まずはこれらの記事から読んでください。

・その1【スパイス初心者専用】 スパイス活用の基本的な考え方
基本中の基本となる情報をまとめてます。
・その2(失敗のリカバリー方法として流用できる) 大根と白菜と手羽元のスープカレー
もし失敗してしまった時はこの記事を読んでリカバーしてね。
・その3 香取薫氏、スパイス業界に対して吠える!
スパイスの名称について初心者が最初に知っておくべきお話。


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