天才うめざわしゅん先生のマンガ。

人間とチンパンジーのハイブリッド・チャーリーは、その存在ゆえに過激派動物愛護テロリストに狙われる。1巻の最後では、チャーリーが彼らを捕まえようと車に乗り込んだところ、車が事故って、逃げ遅れたチャーリーが逆に警察に逮捕されてしまう。

でですね~、ホントによくできてるのが、チャーリーは人間と動物の中間的な存在で、法律上は「モノ」であり、人権がない、っていう設定。弁護士の養母は、チャーリーが人間としてやっていけることを証明し、裁判で人権を勝ち取るために、どうしてもチャーリーにはフツーに高校に行ってほしかったんですね。でも、だからいいこと悪いこと両方あって、このあたりがうまいことストーリーに絡んでくるんですね~。

それにしても、あいかわらずクールで、命を助けたいのか興味がないのかわからないチャーリー。第一巻の感想で、「彼の行動原理は何なのだろう」と書いたんだけど、ある人物のセリフの中に答えを見つけました。「観測範囲の苦痛と死を減らす」あ~なるほど!で、次の疑問。なんでチャーリーはそれを行動原理にしてるの?

後半、動物愛護にまつわる正義に挫折した高校生がまさかの事件を起こすんだけど、ものすごくアメリカという感じ。うめざわ先生、たぶん日本で生まれ育ってて、なんでこういうローカライズが自然にできちゃうんだろう。ホントに天才としかいいようがない。

そしてチャーリーの唯一の友人・ルーシーの名前も伏線だったなんて…。しかもまだ謎は残ってる。これからどうなるのか気になりすぎる。

このマンガを読むと、正義ってどうすればいいんだろうと思う。あっちの正義とこっちの正義と、どっちでもない人の正義と、ぶつかっても解決しないなら、その方法じゃないんじゃないの? 私は、あの事件を起こした子に、「自分を大切にするんだよ」と言ってあげたい。たぶん届かないだろうけど。あの子の最後のセリフを聞いたときに、ああ、人間をこういう行動に突き動かすのはやっぱり…と思ったのです。

正義と正義の戦いに否応なく巻き込まれながら、正義ガン無視のチャーリー。「僕はただのチャーリーだよ」だって。最高か(笑)。


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