手塚治虫の超名作マンガ第5巻。
西暦2482年、ひとりの少年がエアカーから墜落して即死。死がはじまり、というのが火の鳥の世界観っぽい。この少年・レオナは、最新医療によって半分人造人間のようなかたちで生き返る。昔、永遠の命に憧れた人間がたどり着いた、科学による不老不死が可能な時代で、火の鳥の存在意義とは。
…といってもまだ蘇生技術も不完全だから、視覚に異常があって、人間が無機質な物体に見えて、逆に無機物なロボットがリアルな人間に見えてしまうんですよね。レオナは、そのロボット・チヒロを手に入れるべく、チヒロが働く企業へと乗り込み、チヒロも、プログラムされていない新しい感情に戸惑う(←この、戸惑うっていうたいへん人間らしい感情を、ロボットが持てるのかがよくわからない)。同時進行で、レオナは自分が起こした事故の謎を、なくした記憶を探すように追いかける。
と思ったら急に500年経過したり、また戻ったり!最後まで読むとわかる、この二つの時間軸がどう関係してるのか。私が好きな手塚的SF世界観キター!!
で、その500年先の世界でもロボットと人間のいろいろがあるんだけど、今回思ったのは、人間の欲望のなかで、他人を思い通りに支配したいとかコントロールしたいとか、そういうのって結局、他人をロボット化させるみたいなことじゃないですか。なのに人間って、いざ自分の言うことを何でも聞いてくれるロボットが出てきたら、それではやっぱり飽き足らずにロボットを限りなく人間化させようとするんですね。
すべてが自分の思い通りになるというのは、とても退屈で、孤独なことなのじゃないだろうか。で、その人はきっと、ロボットを人間化させたことをいつしか後悔するのじゃないだろうか。こういう個人的な経験値が、人から人に受け継がれないのって効率悪~と思うけど、だから人間って感じもします。
レオナのとあるセリフに、この巻、いや火の鳥全体のテーマを発見。「問題は永遠の生命を手に入れて…なぜ生きるのかということですよ」
この第5巻「復活編」、個人的には第2巻「未来編」の次に好き。
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