内田也哉子さんと中野信子さんの、家族にまつわる対談本。タイトルからして挑戦的で、不穏でいいじゃないですか。「家族は仕方のないものではない、あなたが続けるかどうかを選んじゃっていいのよ」って感じがして。
内田さんの豊かすぎる体験とのびやかな質問力、中野さんの最新科学に基づく的確さ、それでいて人間力のある多角的なレスポンスの応酬が超おもしろかった!
以下、メモ。
・家族における父親と母親の、脳科学的な本来の役割はない。だからどんなカタチの父親、母親であっても間違いではない。
・アホウドリのカップルは三分の一がレズビアンで、子どもを作るときだけオスと浮気してくる。
・現在の貞操観念とか倫理観は、たかだか150年くらい前にできたもの
・平和な状態って文明の終わり説
・脳科学は生理学の延長だから自然科学、心理学は哲学の延長だから人文科学。違いは、自然科学には反証可能性がないといけない。
・身体が生殖に向いているのは二十代かもしれないが、脳が子育てに適した状態になるのは四十代
・米フィラデルフィア小児病院で「プラスチック製『人口子宮』で羊の赤ちゃんが正常に発育」というニュース。ヒトの人口子宮もいずれ実用化?
・人間は生物の中で唯一、将来を憂えて命を絶つことがあるけれども、逆にその想像力で死を体験することだってできる
・人にはわれを失うのを嫌うタイプと、われを失ってないと不安なタイプがいる
・人間のシステムは、「自己のために都合のいいこと」「みんなのために都合のいいこと」の二段構え。「みんなの〜」をさせるように仕向けるプロモーターをブーストするのが宗教、アート、イデオロギー、そしてドラッグなのではないか。
・フランスでは現在、6割近くの子どもが婚外子。婚姻関係にこだわらないほうが、子どもが増えているという現状がある。
ほんと中野信子さん好きだな〜。なんでも脳科学に答えを求めるのもどうかと思うけど…、私は歴史上の人物を脳科学的にみるとどうなるか、っていう本を読みたいな。(というのも鴨長明の脳がどうなってたと考えられるのか、が知りたいから)
●中野信子さんの本(隠居の本棚より)
・『パンデミックの文明論』(ヤマザキマリさんとの対談)
・『私がオバさんになったよ』(ジェーン・スーさんとの対談)
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