群ようこさんの短編集。

例えば『御祝儀袋』の主人公。子持ちの専業主婦で、旦那の月給が15万円。元同僚たちの結婚ラッシュの御祝儀を、爪に火をともしながら捻出。
『家賃』の主人公。手取りが毎月13万5千円。家賃が8万円。その他5万5千円。一人暮らしのため、都内に実家がある同僚たちの遊びの誘いを断りまくる毎日。

これ、単行本が出版されたのが1992年なんですね。あれ?まだバブルの残り香がギリギリあるくらいじゃないですか?なのに、低所得生活の実相が、今とあんまり変わらなくて、これじゃワーキングプア…。

不景気な時代のワーキングプアも辛いが、華やかなりし時代のワーキングプアも、お金がないことを社会が認めてくれなくて、また別種の辛さがあるかもしれないなぁ…。バブルでも、高度経済成長期でも、恩恵を受けていない人たちって必ずいるんですよね。ここに出てくるのは、浮かれていない方の人たちばかり。

私はそれだけ月給あったら余裕で暮らしていけるけど、それは幼い頃から贅沢しない(できなかった、ともいう)生活が身についてたからで、バブルの華やかな雰囲気に慣れている人たちは、あとが辛そうだ。

スタート地点が低いほうのいいところもあると思うし、それを私は享受して生きていこうっと。


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●文庫でました