木村紅美さんのデビュー作(文學界新人賞)。


いるいるこういう人~、と思った。


地味で目立たなくて、仲が良かったわけでもないのに、思い出の中でだけ、なぜか異彩を放っている人。


社内ではどちらかというと仲はよかった、くらいのつきあいだった同僚の死後、後片付けなどをいろいろ頼まれる主人公。


そこにいない人の輪郭を埋めていくように、遺品の整理とかをしていると、存在しない人が立ち上がってくる感じとか、ちょっと怖い。


そして死んだ同僚の名前がれい子っていうところが、天才的なネーミングセンスだと思う。たしかに霊のような存在感。いないけどいるような。


私も誰かにとってはそういう人だったりするのだろうか。うーん、それはなんかやだな。恥ずかしいしな。


風化する女風化する女
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●文学界新人賞の本(隠居の本棚より)

 

『最後の息子』 吉田修一・著

 

『ワンちゃん』 楊逸・著


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