木村紅美さんのデビュー作(文學界新人賞)。
いるいるこういう人~、と思った。
地味で目立たなくて、仲が良かったわけでもないのに、思い出の中でだけ、なぜか異彩を放っている人。
社内ではどちらかというと仲はよかった、くらいのつきあいだった同僚の死後、後片付けなどをいろいろ頼まれる主人公。
そこにいない人の輪郭を埋めていくように、遺品の整理とかをしていると、存在しない人が立ち上がってくる感じとか、ちょっと怖い。
そして死んだ同僚の名前がれい子っていうところが、天才的なネーミングセンスだと思う。たしかに霊のような存在感。いないけどいるような。
私も誰かにとってはそういう人だったりするのだろうか。うーん、それはなんかやだな。恥ずかしいしな。
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