「Live At Joshuazz Tree」The Yussef Dayes Experience
2020年にユセフ・デイズ・トリオ名義でリリースされた『Welcome To The Hills』がとんでもなく素晴らしかったドラマー、ユセフ・デイズによるエクスペリエンス名義のライブ盤が発表された。コロナ禍を経て、南ロンドンのジャズシーンが勢いを失っているように見えていただけに嬉しいニュースだった。ライブ盤ではあるが、『Welcome To The hills』もライブ盤だったからむしろ望むところだ。ヨシュア・ツリーと言えばU2のアルバムが有名だが、PVを見ると屋外で演奏している。ヨシュア・ツリーとはアメリカ南西部の砂漠地帯に生えるユッカの樹のこと。アルバムには客の声や拍手も入ってないし、そもそもそんな名前のライブハウスなど存在しないのかも知れない。
まず、1曲目の「Raisins Under The Sun(Desert Version)」は、コズミックで繊細な電子音が印象に残るナンバー。ユセフのブレイクビーツにサックスが絡む展開はオーソドックスだが、味わい深い。②「Odyssey」は前作にも収録されていたナンバーだが、エッジを抑えたダウンテンポな楽曲へとアレンジされている。続く③「Golden Hour」、④「Mystics」も、どこか感傷的でアブストラクトな作品だ。似ているわけではないのだが、DJカムのアブストラクトヒップホップを思い出した。③にはユセフ・デイズ・トリオのロッコ・パラディーノがベーシストとして参加している。⑤「Rhythm Of Xango」はアフリカを意識した」ドラムソロ。ユセフ・デイズ版『限りなきドラム』(マックス・ローチ)かと思いきや1分58秒で終わってしまった。次はどんな曲かと待っていても、いっこうに次の曲にならない。
久しく音沙汰が無かった南ロンドンのジャズシーンから、ココロコのデビューアルバム『Could We Be More』が届けられた。ジャイルス・ピーターソンがコンパイルしたUKジャズのショーケースアルバム『We Out Here』(2018年)に収録された「Abusy Junctttion」によって、ココロコの名前は既に知られていたのだが、アルバムが発表されることはなかった。翌19年に「KOKOROKO-EP」がリリースされたが、アーシーなリズムにUKならではのエクレクティックな感性を溶かし込んだようなジャズだと思った。
ロン・トレントといえば、アンソニー・ニコルソンと共作したUSGプレゼンツ・アフリカン・ブルース名義のハウスアルバム『Color In Rhythm Stimulate Mind Freedom』(1999年)が有名だが、既に20年以上の歳月がたっている。もちろん、今聴いても少しも古びておらず、むしろ新しさを装った多くのダンスミュージックを沈黙させる熱量に溢れた傑作なのだが、もはやディープハウスの時代でもないだろう。
オーディション自体は良かったが、その後の展開が良くなかった。オーディションから脱落した者同士が、救済策としてセカンドユニットを次々に結成し、シングルの表題曲を賭けて、それぞれが大物プロデューサーとタッグを組んでの楽曲で競い合うのだが、秋元康や指原利乃はともかく、小室哲哉、つんく♂、織田哲郎の起用はやり過ぎだと思った。往年のJ-POPファンなら、小室VSつんく♂の対戦を見てみたいのだろうが、筆者は小室哲哉もつんく♂(一部の楽曲をのぞいて)も世間で言うほど作曲の才能がある人物とは思えなかったので、さすがに秋元先生も遊びが過ぎると思ってしまったのだ。結果的には予想外の仕上がりだったが、感覚の古さは否めず、作曲を丸投げした秋元康プロデュースのみ新鮮に聞こえたのは、これもまた番組の戦略だったのだろうか。レジェンド対決はその後も1度行われ、近田春男やかつておにゃんこを手がけた後藤次利も参加することとなった。単純に筆者の好みの問題かも知れないが、工藤静香にテクノまがいのシンセをぶち込んだ感のある後藤次利の楽曲「Everything will be all right」はアイドル歌謡の可能性を切り開いている気がした。因みに、小室哲哉は近年、乃木坂46への楽曲提供やSKE48のプロデュースなど、秋元康とのつながりを深めている。