グリシャムは久しぶり。春樹訳は、テンポの良い文章、とても良い。原題はCamino Island とそっけない。
スコット・フィッツジェラルドの自筆原稿(鉛筆書き)が大学図書館から強奪される。犯人たち、そして人手を経て、原稿が渡ったとおぼしき稀覯本好事家の書店主へ、さらに書店主を調べる役を仰せつかった若手女流小説家へと、人物たちの登場過程がなんとも興奮もの。
大衆作家たちの皮肉の効いた本音トークも楽しい。
ところで肝心要の、直筆原稿って、そんなに価値があるものなのか。そうだとしたら過去の有名作家たちは恵まれている。ディジタル化された現代文士たちに稀覯本の世界はない。


