目の前にamazonのロゴの入った段ボールと新品のハードディスクが置かれている。
その段ボールは『ドラえもんラッキーBOX』
箱にドラえもんの漫画が描かれているだけで、なぜラッキーなのかはわからない。
すっかり魅了されている。
ネットで検索すると上位に出てくる総合ショッピングサイトのamazonに……。
ページを見ているだけで一時間は軽く過ぎてしまう。自分のamazonに対する信頼は厚い。
なにしろ夜中の三時に注文した商品がその日のうちに届いてしまうのだから。
家の近くにamazonの倉庫があるのかい?
ネットショッピングは実店舗より安い物が探せる。しかし手元に届くのに時間がかかる、かかり過ぎる。
そのイメージが一新された。
ネットショッピング特有の送料(商品が安くても送料が高いから結果トントンだったりもする)それが殆どの商品において少額から無料で発送してくれるところも好感がもてる。
別段、amazonは特に価格が安い訳でもないが、一度検索して商品をクリックすると、すぐに『こんなのどうですか?』と類似品をメールで教えてくれる。
こちらは当然欲しい物をクリックしているわけだから、似たような商品があればメールからamazonへ一気に飛んでいってしまう。
そこで再び商品をクリックするか『カートへGo!』で一気にゴール。
向こうはいろんなことを知っている。
ps4のソフトをクリックすると
『あっ、この人ps4を持っているのか。ゲームはアクション系が好きらしいから、この新作のアクションゲームはどうかしら……』
暖房機器をクリックすると
『えっ、暖房が壊れたの? 可哀想に寒い日々を送っているのね……。ねぇ、この暖房機器は最高よ。きっと暖かい生活が送れるわ! それまでどうか風邪をひかないでね』
商品をクリックする度に、自分の生活スタイルや趣味思考がただ漏れる。
おそらく毎月、いつ頃に商品を買うのかもわかっているはずだから、給料日も知られているだろう。
もう有能な秘書、もしくは最愛の人レベル。
他人が自分のことを全て知るなんて不可能だ。
妻だろうが、恋人だろうがおそらく自分のことを知っていても60%くらい。仕事場の人は20%かな。
人がそれぞれ持っている闇の部分は出さないし、欲望も全て伝えない。
対人間なら互いに歩み寄り、譲歩もするが、amazonは自分に合わせてくれる。
映画が観たいと言えば
『えー、わたしこの映画が観たいのにー』
なんてことは絶対に言わない。
『ねぇ、こんな映画好きでしょ♪ あ、この前探していたソファはどう? それに座りながらこの映画を観ると最高よ!』
さっと個人の趣味に合わせた映画を差し出してくれて、そのうえ視聴する環境にも気を配ってくれる。
クリックする度に知ってもらえる。
まぁ別の観点から見ると、とても怖いことなのだけれど。
寂しがりでわがまま、そのうえ出不精な自分には丁度よい。
もう一個ハードディスクを買おうかな……。
きっと仕事から帰ってパソコンを開くとメールが入っていることだろう。
『あ、テレビ用にもう一個ハードディスクを買いませんか?』
『よく気がついたね。そう、迷っているんだよ。テレビ用にさぁ……』