動物は鏡を見て自分を認識するのだろうか?
自分は飼い主と姿形が違うことを。
飼い主の家族、子供くらいに思っていた動物がいたら、かれは鏡を見て自分の容姿に少なからずショックを受けないのだろうか?
もちろん自分の体は鏡を見なくても手足や胴体は自分の目で見えるだろう。
『自分はなんか飼い主と違うぞ……』
それでも鏡を見れば完全に飼い主と違うということがわかるだろう。僅かな希望も吹き飛ぶはずだ。
『動物はそんな思考はない』
そう言われれば見も蓋もないが、その苦悩や葛藤を越えても飼い主に従順になれるのは、飼い主のことがとても好きなのだろう。そこには愛情があるのだろう。そう思えば余計にこちらも愛しくなれる。
見方、視点、目線。
善と悪。悪は視点を替えれば善になる。
捕食される動物の視点から見たら人間は悪だろう。だが空から異星人が攻めてきて人間を捕食したら?
もちろんそれも悪だ。
その異星人が母星を失い、やむを得ず地球人を捕食するものだとしても悪。
異星人の子供たちから見たら、かれらはヒーローであり正義なのに、地球の子供たちから見たら、ただの恐怖の対象で絶対的な悪でしかない。
どの立場から見るか。
学位の頃、三角柱の形を見させられ、
『上から見たらどう見える? 横から見たらどう見える?』
三角形に見えたり四角形に見えた。
見方によって形が変わることを学んだ。
『物事は一方的に見ないで全体を見るようにしなさい』
授業の最後に、そんな風に先生が言っていたことを思い出した。