バリとカエリの違い(中らずと雖も遠からずパート4)&刃物と天然砥石の続きの巻 | ogricat-creationのブログ

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趣味の写真と、包丁を研ぐことなどを書いていこうと思います。
カメラはソニーのα7Ⅲを使用しています。

久しぶりの「中らずと雖も遠からず」シリーズです。私の経験から推測し解明をしていく内容と成ります。過去は記事としてボツに成った事もあります。その記事は限定で公開はしていますが残念だと考えています。少しまえにも書いた事がありますが、このブログはどの記事がどれ位読まれているかが分かる仕組みです。

2022年6月

 「バリとカエリの違い」が134回でトップ、2位は「切り刃と小刃と糸刃」で108回です。

7月ですが、6月同様に「バリとカエリの違い」がトップです。2位も変わりません。

 

今月(8月)は「天然砥石での研ぎ方」が現在トップです。2位には相変わらず「バリとカエリの違い」が入っています。3位も変わりません。

弟子「しかし2年も経っている記事なのに凄いですね」

私「その時ドカーンは分かります。しかし、長ーく読まれている記事が有るとは嬉しいですね」

前にも書きましたが同じ方が何度も読むとは考えにくい為、通りすがりの人が目を通しただけなのか、熟読頂いたかは不明です。しかし、キーワード的にもヒットする可能性は低い記事です。他の記事と比較しても恐らく読んで頂いているのだと思います。

 

 

 

今回は人気シリーズの続きを書きたいと思います。

 「バリとカエリの違いパート2」

 

読まれている記事を私自身で再度読み返しました。

弟子「人気ですから内容も矢張り良かったでしょ」

私「、、、、、間違いがある!」

弟子「何ですと」

記事を読むと(私自身2年間の知識と経験の上積みが有ります)説明に間違いが有るのでは無いかと頭を過りました。

下の写真は刃をダイヤモンド砥石(#180)を使い研いだ後の刃裏部分です。裏は触っていませんので表の金属片と考えました。

弟子「間違いでしたか」

私「ここまでは間違いとは思っていません」

下の図で説明をしたいと思います。

①が上の写真の状態です。表を人造砥石やダイヤモンド砥石の荒砥を使い研ぐ事であっという間にひと皮むけます。その際の金属片が裏側に確認が出来ます。そのクズですが刃裏も付いたままと考えられます。

 

②では中砥(#800から#2000)をかける事でもうひと皮むけます。金属片は大分無くなります。しかし、裏側の一部分は取れずに残ります。この状態をバリからカエリに変わると表現しています。

 

③で合せ砥(人造では違う可能性があります)を掛けることでカエリが極小に成るのでは無いかと説明をしています。ここでのポイントですが、成るべく薄く出来る研磨力と細かさが有る合せ砥が必要だと言うことです。

次に「ウラ押し」の必要性を考えてみたいと思います。

 

表から研ぎ裏のカエリは極小に成ります。しかし、「極小」です。イメージでは手では感じないくらいのカエリが残ります。理想ではカエリゼロに出来る砥石が有れば良いのですが実際には少ないと思います。

そこで、極小のカエリを取るために合せ砥を当てる事で取る事になります。しかし極小ですから研ぐというより「整える」に成ります。裏押しと言うより、「カエリ取り」です。

下の写真は以前の記事に使用したものです。

弟子「間違いとは何処ですか」

私「一概に間違いとは言いにくいが、表の金属片は荒砥の段階で、中砥からは裏の膜が中心になるのだと考えられます」

次の図ですが、当時の記事では焼入れして作られた刃物は表面と内部では表面に近いほど硬いと考えられると書きました。

弟子「そうなんですか」

私「急冷のダメージの受け方を想像すれば分かるじゃろ」

弟子「確かに表面と内部では表面の方が冷たくてビックリしますね」

硬さの違いにより、刃物の構造に層みたいなものが出来ている事も考えたのです、

弟子「考えてどうでした?」

私「層構造には成らないのでは無いかと結論付けました」

しかし、硬さの違いがカエリに何らかの形で影響を与えている可能性は否定できないように考えています。

 

本日のまとめ

 このブログではバリとカエリは別のものと書いた事があります。当時は自信も無く消極的でした。しかし、今回の記事で確定しました。

「バリは表の金属片、カエリは裏の一部で金属膜とする」

弟子「良いですね」

私「まぁ、このブログ内での話ですがね」

簡単にまとめると、荒砥で出た金属屑を中砥で落としていくと、裏の膜が最終的に残ります。この膜をカエリと言います。カエリは合せ砥を使い極小に成るまで研ぎます。最終的は裏押しをして整えていきます。

私「この内容は天然砥石の研ぎが中心です」

弟子「人造砥石が中心だと変わりますか?」

荒砥、中砥でも天然砥石を使用するとバリは少ないように考えます。逆に人造砥石を使用すると、仕上げ砥でもバリが出る可能性は有ります。(研磨力が有るためです)

弟子「では人造砥石で裏を押すとどうなりますか?」

私「恐らくバリでもカエリでも削って行くでしょうね」

即ち、人造砥石ならば裏を研ぐ事で綺麗になります。しかし、天然砥石では研磨力の関係から丁寧に表から裏を極小にしない限り綺麗な裏が出来ないと考えます。

 

妻「本にすると情報が洩れるって言っていませんでしたか?」

私「、、、、、。、、、、確かにでも実践的な内容で無いから、、、」

妻「あなたより優秀な人なんてごまんといますよ」

 

刃物と天然砥石の続き

2.切れるとは鋭い刃先を作る事だと言えそうだ。鋭い刃先を作るために砥石が必要となる。そして、その石の扱い方を考えながら「研ぐ技術」が向上していった事と思う。その良い砥石とは現在で言えば人造砥石の様な研磨力の有る石と言われたことは想像せずとも理解出来る。その石を使い研ぐ対象の日本刀は当時は単なる道具で合った。現在の様な美術品は極一部のお殿様用だけだった事と思う。その日本刀に必要な研ぎは、完璧な刃先だろうか。また、別の角度から考えると時代が変わっても普遍的な事はあったのでは無いか。

問:10人の研ぎ師がいたとする。10人とも名人だったか?

現在でも下手な研ぎ師はいると聞く。当然、研ぎを理解していない事と、家庭用包丁などでは多少研ぎが下手でも十分な為だとも理解出来る。では、大昔はどうだったか。恐らく現代と大して違いは無かったのではないか。10人の研ぎ師がいても、名人はせいぜい1割、7割が普通、残りは下手では無いか。そして、道具である日本刀も普通の切れ味で十分であった筈である。

 では、普通の技量の研ぎ師が欲しがる砥石とはどんなものか。これを考えると昔良いと言われた石も理解出来る。そして、時代が変わり現代の状況も理解出来るのではないだろうか。

 

私「疲れた」

弟子「ブログに写していくのですか」

私「気分次第です。でも実践的な事は、、、」

弟子「書きにくいですね」