6月5日(水)
バイトの帰り道、住宅街の向こう側になぜか風車が見えた。
今日はあっち、明日はこっちと、日雇いのアルバイトをしているが、世の中には色んな仕事があるなと思う。
今日は印刷物をまとめて封入する仕事をした。
単純でラクそうと思ったけど、とんでもなかった。すごい重労働だった。
流れ作業の機械レーンがあり、他の人はそこに立って延々と印刷物を入れていく。
すべて機械が仕分けして、大きな封筒にまで入れてくれる。
なんや、ただ紙を入れるだけかい、と思ったが、僕が配置されたのはレーンの最終地点で、大量の封筒を箱詰めする係だった。
ものすごいスピードで溜まっていく封筒をひたすら箱に詰める訳だが、それだけではナイ。
作業しながら、同時に段ボール箱も組み立てて、たくさんの空き箱を準備しておかなきゃナラナイ。
封筒はアッという間に溜まるので、段ボールを作るヒマがない。モタモタしてると封筒が溜まって怒鳴られる。段ボールも足りなくなる。
アタフタの半狂乱。
梱包が終わったらテープで止めて送り状を貼り、フォークリフトで運ぶためのパレットまで運ぶ。
それがいっぱいになったら新しいパレットをセットして、また段ボールを積んでゆく。意識が朦朧としてくる。
「ううっ、コレひとりでやる作業かよ!」
みんな淡々とレーンに紙を置いてるだけ。まるで貴族遊びのような作業なのに、俺だけひとり狂乱状態になっている。まるでブコウスキーの本みたいだ。
「なんでいつも貧乏クジばかり引くんだ!」
思わずうめきたくなるが、うめいてるヒマはない。
ちょっと気を抜くとアッと言う間に封筒は山積みになり、レーンが止まる。
周囲の俺に対する舌打ちはまるで交響曲のように響き渡る。
この無間地獄が一日じゅう続いた。
戦いすんで日が暮れて、とりあえずビールを飲みながら歩く。そしたら風車を見た。
ビールがうまい。ホッとひと息。
生きてくのホントに下手ダナと笑った。
乗換駅のホームでいきなりチェリッシュの看板が目に飛び込んでキタ。懐かしのてんとう虫のサンビスタ!
チェリッシュといえば、僕にはアソシエーションのヒット曲の「チェリッシュ」の方が馴染みが深い。大好きな曲なんデス☆
アソシエーションは最も好きなグループで、今でもしょっちゅう聴いている。
地下鉄の中で聴いた「チェリッシュ」は、またしても僕の心を溶かしてくれた。
なんていい曲なんだろ。
演奏が上手いって、音楽によっては大切だけど、生きてくのに上手い下手ってあんのかな、とも思った。
今日が終わって、心が溶けそうになって、デタラメな英語でチェリッシュを歌ったら、無事に日が暮れていた。
毎日、早いなぁ。
早くていいのだ。