今宵のレコード棚のピックアップは、フィンガースタイルによるハードボイルドなアイリッシュギター・オムニバス。
ブルースギタリストのステファン・グロスマンがプロデューサー。
レコーディング時期は70年代後半から80年代にかけて。
シャナキーレーベルから出ていた、今となってはとても懐かしい「ギターアーティストリーシリーズ」
自分は高校の時に買ったのでもうほぼ30年前ですが、
このシリーズは有難くもCDにTAB譜が付いていて(そういや昔の輸入盤はロングボックスに入ってましたなー。長細い箱です。若い人は知らないでしょうなー。そこにタブ譜が搭載されてました!)
当時ほぼこういった教則本や楽譜、YouTubeなんかもちろんなかったので、
大変お世話になり、大変勉強になりました。
内容はなかなか渋くて噛めば噛むほど味が出るスルメのようなCDです。
このメンツだと華やかなギターテクニックでカラフルな演奏と思いきや、逆に求道的です。
フィンガースタイルにアイリッシュ・ダンス、エアーをどのように落とし込むかという実験です。
各ギタリストのルーツとなる音楽の背景がわかりやすく、そこにアイリッシュを溶け込ませていく感じ。
まだこういったやり方が未分化だったころの心意気に胸騒ぎを感じます。
後のケルト系アレンジ物はアイリッシュの一面でもある優美さ、幻想的な方に展開してしまって、
この頃にあったミステリアスななにかを追及するギタリストは殆どいなくなりました。
そんな黎明期ならではの貴重な記録であります!
こんなアルバム、40年前じゃなければありえない。
もう何度となく聴いてますが、不思議とたまに思い立ったように聴きたくなります。
こういうクセになるアルバムって素晴らしいなー。
自分でも何時かこういうスルメ味CDも作れたらいいなーと思います。
ケルト系ではオーソリティーのジョン・レンボーンやマーティン・シンプソンはいいのはもちろんですが、
ステファン・グロスマンのブルース訛りのエアーやオキャロランがなんともセクシーです。
なかでもデイヴィー・グレアムのアイリッシュの解釈が特に刺さってきます。
昔はそれほどでもなかったけど今になって聴くとダントツにグサグサきます。
なんなのでしょう。そんな歳なのでしょうか?(笑)
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