それを今回、土日泊まりがけでやる。
しかも、いつものようなユルい、キャンプや外飯と言ったことではなく、朝から日暮れまでロッドを振りっぱなし。
食事は移動中。
そんな合宿とも言える釣りを敢行した。
そして、狙うのは尺ヤマメ。
イワナではない。
今年は梅雨らしい梅雨。
この日も雨がパラついていた。
朝移動中もフロントガラスを叩く雨音。
しかし、狙いの川に到着すると雨は上がっていた。
日が射し雨水で輝く草木の中、期待しながら歩みを進める。
早速スイムテストしていたルアーに飛びかかったのはイワナ。
やはり、活性が高い。
しかし、狙いはヤマメ。
各所で釣れてくれるイワナ達に感謝しつつも、ヤマメがやっぱり釣りたい。
良い淵から、チェイスしてきたのはヤマメ。
やっと見つけたチャンスをキチンとモノにする。
当たり前なのかも知れないが、やはりこれは難しい事。
最大限の努力をして魚と向き合うことで、確率は上がる。
3尾のヤマメ。
これ以降は、イワナになってしまった。
この前のヤマメ天国だった所もイワナ。
何故ここまで変わるのか…
仕方なく、川を変えた。
この近くの支流は沢山有るが、やはり雪解けも終わったこの季節、小さい沢は水が無い。
Googleマップで、目ぼしいポイントを打ってあったお陰で迷い無く回れる。が、しかし。
いかんせん人が多い。
夕方まで、入ったことの無い渓流へ入ったが、ヒントは見つからず、初日を終えた。
一人晩酌をしながら、2日目のエリアをGoogleマップで予習。
初日の雰囲気からして、人と水とイワナとの戦いとなることは分かった。
水と言うと量と、水の良し悪しとなるが、更にpHなどが関連してくる事が、最近、身に染みて分かってきた。
何故イワナだけなのか、そして、何故混生しているのかを考えるとそこに辿り着いた。
これは教えてくれた釣友に感謝である。
生体とは、渓相等の見た目だけでは分からない、とても深いものなのかもしれない。
翌朝、良さそうな渓へ車を向かわせたが、やはり水質悪く魚が居ない。
ではと、即座に車を走らせた。
ここではまたイワナ。
ヤマメも居たが、イワナ9、ヤマメ1。
これは想定内。
一番有望と思っていた支流へ向かった。
蜘蛛の巣が張り巡らされた小さい渓にルアーを放つと、良型のヤマメの影が。
間を空け、ポジションを確認して、仕留めに掛かる。
食った!
やはり良いヤマメ!
これと会いたかった。
パーマークは大きく、身も厚い。
こんな模様の魚は初めて。
しばらく見とれてしまった。
その後、ヒットするも小さいヤマメ。
その子達も、パーマークが大きい。
この渓の血筋なのだろう。
上流へと歩みを進めると、砂防堤があり、その先はイワナとなってしまった。
さて。
ここからが問題だった。
この先のプランを考えていなかったのだ。
ほぼ全ての支流に人が居る。
そして、水量は極端に少なく、棹抜けの沢などは無い。
しばらく考えていると、急に思い出された川が出てきた。
一か八か。
1時間車を走らせた。
里川だが、民家と離れた所は自然が残る渓であった。
ここを最後に探索することにした私は、また降りだした雨を構うこと無く、歩みを進めた。
反応が無い時間が長く諦めかけたその時、今回一番の魚影が現れた。
淵深く戻る魚は良い魚に間違いなかった。
慎重に位置を変え、ボトムで煌めかせスイッチを入れたところで、ルアーを上昇させた。
魚との距離が極端に近くなったと感じた瞬間に、引き出されるドラグ。
渓流としては、長めのファイトで上がった魚は、今回一番の良型のヤマメ。
弱らぬようにしながら、何度もシャッターを切った。
嬉しい瞬間。
本当に待ち焦がれた瞬間だった…
リリースも無事終わり、ふと気付くと残り時間が少ないことに気が付いた。
退渓点まではまだある。
少し急いで渓を上がると、また良い淵が。
ここでもボトムを取って、したからルアーを、上昇させた。
すると、先程のヤマメよりも一回り大きな魚がアタックした。
なんと、それもヤマメ。
バレないでくれと、願いつつネットに入れると、尺は越えており、更にパーマークもバッチリ付いている、素晴らしいヤマメだった。
私の今回の目標となる魚を最後の最後にてにすることが出来た。
こんな奇跡としか言い様の無い出会いが待っているとは。
これだから魚釣りは辞められない。
この魚には本当に感謝しかない。
ありがとう。
敬意を払ってリリース。
「秋にまた会いたいです。」
そうヤマメに言い、泳いでいく魚を見送った。
この先は、時間無く帰宅をしなくていけなくなったが、今回、ストイックに渓魚達と向き合うことで、分かったことがいくつもあった。
いつも行く場所ではなく、遠く離れた場所で、情報も無い中、自分の拘りにも縛られ、大変な思いをして出会えた魚達に本当に感謝したい。
また今度、秋に会いましょう!