閉幕2日前、駆け込みで観覧してきました。

東博はインバウンド客が増加傾向であることもあり、チケット売り場は行列(外国人は『神護寺展』には興味なさそう)ができていて、暑い中、20分程並ばされる羽目になりました。

 

平成館の『神護寺展』には17時過ぎに入場。予想通りに混雑していましたが恐れていたほどではなく、目的の出展品は十分に観覧することができました。

 

~神護寺は、和気清麻呂(わけのきよまろ)が建立した高雄山寺を起源とします。唐から帰国した空海が活動の拠点としたことから真言密教の出発点となりました。本展は824年に正式に密教寺院となった神護寺創建1200年と空海生誕1250年を記念して開催します。~

 

展示の第1章 第1節は「草創期の神護寺ー空海ー」で、空海関連の展示品で構成されていました。私は4月に奈良博で『空海展』を観覧してきたので重複している品(《風信帖》《金銅密教法具》共に東寺蔵)もありましたが、初見の品(《狸毛筆奉献表》醍醐寺蔵)もありました。『空海展』では後期展示のために観ることができなかった最澄筆 《尺牘(久隔帖)》 もあったので、本展で充足できたものもありました。

 

[撮影不可なので、以下の画像は東博サイトから拝借]

国宝《灌頂暦名》  空海筆  神護寺で最澄に対して密教の灌頂を行った時のもの 

 ※本展では既に展示が終わっていたが、私は『空海展』で観た

 

空海と最澄の自筆を比較しながら二人の性格(伝えられているエピソード)を考えるのは楽しい。空海は楷書・行書・草書、清書・メモ書きの字体を華麗に使い分けていて多才さを感じますが、最澄の字からは生真面目さを感じます。

 

本展の目玉は奈良博『空海展』同様、修復後初公開の《両界曼荼羅(高雄曼荼羅)》

空海在世時に制作された現存唯一の両界曼荼羅で、紫地に金銀泥で諸尊が描かれています。退色が激しいですが、修復で随分見えるようになりました。胎蔵界・金剛界の二枚セットなのですが、本展も『空海展も前後期に分けて一枚ずつしか展示しないという意地悪をしています。私は『空海展前期で胎蔵界を観たので、本展は金剛界展示に合わせて後期に来場しました。これで一応、コンプリート。

 

 

金剛界                胎蔵界

 

画像だけでなく、実物も実際はよく見えません。残存しているだけで奇跡なのかも。

本展では江戸時代に光格天皇の指示で作成された複製品が展示されています。そちらを見ると、原本がいかに精緻なものであったが実感できました。まさに、言葉でなく、視覚で感じる密教世界。

江戸時代作成の原寸大模本

 

江戸時代作成の圧縮版模本(高橋逸斎筆)

 

 

空海が神護寺に住持したのは14年間でしたが、唐から帰国後、密教の礎を築いた拠点であったので、神護寺には空海関連の寺宝が数多く遺っているようです。

神護寺は空海の後、荒廃した時期もありましたが、文覚上人が後白河法皇に願い出て復興させました。長い歴史のあるお寺なので、空海関連以外の寺宝も沢山あります。

それらが、第1章 第2節以降に展示されていました。

         

        国宝 《釈迦如来像》 通称「赤釈迦」  平安時代

 

 

今回、唯一撮影が許可されていた出展品が↓ 楼門にある二軀であるそうです。

《二天王立像》 左:増長天 右:持国天   平安時代

神護寺 楼門前 [2019年11月撮影]

 

 

↓立体曼荼羅を表すように、法界虚空蔵を中心に五軀が円形に配置されていた

~空海の後を継いだ真済の代に安置された国宝「五大虚空蔵菩薩坐像」は、日本でつくられた作例のうち、五体が揃う現存最古のものです。仁明天皇御願とされ、鎮護国家が願われました。品の良い顔立ちと均整の取れた造形は、当時最高の技術を持った工人によって制作されました。寺外で五体揃って公開されるのは初めてのこと~

 

 

本展での”ラスボス”的な位置付けは↓でした。

          

            国宝 《薬師如来立像》 平安時代

 

伝説の写真家である土門拳は「好きな仏像は?」と問われると、「神護寺薬師如来立像」と答えたそうです。「真に男らしい男の像という点において日本唯一」とも語っていたそうです。↓は 土門拳撮影[本間美術館のサイトから拝借]

 

 

↑↓神護寺 金堂前の階段と金堂

 

 

所用等があって延び延びになっていた『神護寺展』

ギリギリで間に合ってよかった ニヤリ

 

 

以下、東博本館(総合文化展)・平成館考古展示室・法隆寺宝物館で撮影した画像です。本館はインバウンド客が増加の一途で、かなりウザくなってきた・・・

黒田清輝《智・感・情》  

  本館 特別1室 「没後100年・黒田清輝と近代絵画の冒険者たち」

 

国宝 粟田口吉光《短刀(名物 厚藤四郎)》

 

仁清《銹絵山水図水指》

 

円山応挙《端淑孺人像》

 

重文 《遮光器土偶》 宮城県大崎市田尻蕪栗字恵比須田出土

             縄文時代(晩期)・前1000~前400年

 

重文 《石人》 福岡県八女市 岩戸山古墳出土  古墳時代・6世紀

 

↓釈迦が摩耶夫人の腋の下から生まれ出ようとしている瞬間

重文 《摩耶夫人および天人像》 飛鳥時代・7世紀

 

重文 《菩薩半跏像》 飛鳥時代・7世紀

 

国宝 《海磯鏡》 奈良時代・8世紀