求人誌や求人サイトを見ているとよく見かけるのが『楽な仕事で高時給!』といったキャッチコピーを目にします。私は求職者ではないのでわかりませんが、これって本当に求職者から見て魅力的なのかなと思ってしまいます。
感覚として「お得感あり」なのでしょうか、それとも「ラッキー!」といった感じなのでしょうか。たぶん忙しい仕事で時給1000円と暇で簡単な仕事で時給1000円なら後者の方がお得感なるものがあるのでしょうか。確かにスーパーで野菜を買うのに、こっちの店は1本100円だが、向こうの店は2本で100円だというなら後者の方がお得感があるのは分かります。
ただ、この広告は「お仕事」であるという点が異なります。給与(時給)が高い方がいいのは誰でも同じです。しかし、楽な仕事=お得とはならないかもしれません。なぜなら楽な仕事ということは誰でもできるような業務・作業になるからです。10年後20年後の転職・ステップアップを目指す際のスキル(いわゆる手に職)が身につくかどうかが疑問です。
例えば、
a)エクセルを日々かなりの頻度で使用しますので最初大変かもしれない作業です(給与低い)
b)エクセルで1~10の数字入力しかしませんので誰でもできる楽な作業です(給与高い)
a)勤務時間中はあれもこれもと仕事が舞い込んでくるので忙しいです(給与低い)
b)誰でもいいので社内に居てくれればいい、暇なときはゲームでもしててください(給与高い)
短期ならb)の方が絶対魅力ですが、長期であるならa)の方が魅力的に見えるのは私だけでしょうか。数年後に転職することを考えたらa)が勝ち組になることはほぼ間違いないでしょう。というか数年後の自分を想像したときにb)は怖くてとてもお引き受けできません(スキルが全く身につかない怖さ、この程度の作業で高時給を得てしまう金銭感覚麻痺の怖さ、仕事に対するやりがいや労働意欲低下の怖さ、自分の替わりはいくらでもいるのでいつ解雇交代されるかの怖さ、この業務がいつ廃止されるかの怖さ、次回転職時に職歴の怖さ…など)。
若い頃の苦労は買ってでもやれという言葉もあるように、安くても身になる仕事、高くても何も産み出さない仕事はあります。考え方は人それぞれですが、楽な仕事で給料が高いということにお得だ!と満足感を得ているようでは何か寂しく感じませんか。1週間か1カ月だけの単発スポットなら楽で高時給はお得かもしれませんが、長期の場合“仕事”とは自身の人生を掛けた時間になりますので楽な作業で消費するのは勿体ないかもしれません。スキルに合った仕事を探したら“楽な仕事”だったというなら構いませんが、楽な仕事で高時給をお得だ・ラッキーだと感じる感性は個人的にはどうなのかなと思ってしまいます(私は毎日あれもこれもと労働させられて安月給なので暇で高給取りの方への僻みなのかなと反省も…)。
現代は要領よく行ったもの勝ちとよく言われますが、不器用でも苦労の末に将来大成する花もあると信じたい。ましてや、楽で高時給なんてそんな虫の良い話があるわけないし、こういう儲け話には何か裏があるものですしね。…めちゃくちゃ忙しくてもいいから高給とりたいなぁ。
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