履歴書を書くときに「賞罰欄」というものがあります。最近の市販の履歴書では削除されているものも多くなってきましたが、賞罰の「賞」を書くのは分かります。立派な賞を受賞したなど自身のPRになるわけですから就活において書いて損はないでしょう。しかし「罰」の方は就活において書いてメリットになることはないでしょう。
例えば就活中の方が履歴書の賞罰欄に「強盗殺人の罪で前科有り」などと書くでしょうか。書いてメリットになるどころかそれ以前にこんなこと書いたら採用されないのではないかと思ってしまいます。かといって就職する企業側に重大な情報を申告しないというのもよろしくないわけです。厳密にいえば採用する企業側から尋ねられた時に隠したり嘘をついたりすることはいけません。が、特に企業側から尋ねられなければ(罰歴の記載を要求されていなければ)、あえて記載する必要はないでしょう。ただ、履歴書に書けと言われることはなくても、実際に入社の段階では確認されるでしょう。
前科のある者は採用できない職業もありますから、一般的には重大な犯罪歴は履歴書に記載すべきで、逆に現在裁判中で判決が未確定なものや示談で不起訴になった場合などは前科はないわけですからわざわざ履歴書に記載する必要はないのです。
最近の市販の履歴書から「賞罰欄」が消えた背景には、前科者の差別撤廃の流れがあるように思われます。政府・法務省では犯罪を犯した受刑者の再就職促進を国策として力を入れてそのための新法も出来ました。前科者という呼称は今では差別とされ、刑期を終え刑務所を出所した者は一般人であるため受刑していたことで差別されてはならないというのが令和時代のコレワーカー雇用に関する考え方です。刑期というのは裁判で判決が出た懲役期間が終われば出所になります。反省していようがいまいが定められた期間が来ればおのずと出所となるため必ずしも出所=更生とは限りませんので、一般人とみなすかどうか賛否が割れるかもしれまんせんが法律上はそうなっているということです(反省して更生したから出所になったのだと勘違いしている人も多いかもしれませんがそうではありません)。
しかし、令和の時代には昭和・平成の時代とは違う面もあります。
(1)ネット情報社会が受刑歴者の就職を大変困難とし一層多くの失業者を産み出している。
(2)労働者人口が減り、新たな労働力として元受刑者にも期待せざるをえない国家背景。
(3)人権擁護、差別撤廃、平等公平の風潮がいたるところで起きている社会情勢。
(4)無職の元受刑者の再犯率は、職のある元受刑者の3倍であるという統計から安全な治安を望むためには元受刑者を就職させる必要性があるという考え。
これらを背景にいつしか履歴書から「賞罰欄」が消えて、コレワーカーが就業しやすい環境に静かにそしてひっそりと進み始めているのではないかと考察します(なぜ「賞」の方まで一緒に消えてしまったのかはわかりませんが)。
私どもも仕事柄何千枚という履歴書を見てきましたが、実際これまでに「罰欄」への記載はみたことがありませんから、あったとしても普通は書かないものだという認識で意味ないから消えていったのではとも思います。最近では性別や生年月日、写真貼付欄などもないフォーマットまであるそうで、これらも結局は差別要因に絡んでの配慮と思われます。これから先の履歴書はどうなっていくのでしょうか、顔も素性も性別さえも見えない匿名ネット掲示板のような履歴書で人材採用しなければならなくなるかもしれません。こうなると人材採用など振ってみるまで当たりかハズレかわからないガチャのようなものです。勿論ハズレだったとしても解雇などできないどころか今後70歳迄雇用義務で法整備されそうですし会社の命運をかけたガチャになりそうですね。となると当たりしか引きたくない企業は人材派遣会社や紹介エージェントといった採用のプロを今後いかに活用していくかの必要性に迫られそうです。
参考:「コレワーカー」というのは一般社団法人日本雇用環境整備機構が定義した元受刑者など矯正更生(correct)が必要な求職者の俗称です。
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