令和元年5月20日、約130年間「1kg」の定義として使われてきた国際キログラム原器(IPK)が廃止され、プランク定数を基準年経計算で求める方法に変更されました。国際キログラム原器とは、パリ郊外にある国際度量衡局に保管される白金-イリジウム合金製の1kg分銅の事を指し、この分銅が世界で使われる1kgの基準とされ、世界のメートル条約に則っている加盟国にはその複製が置かれています。今まで、世界的に用いられるSI単位系で人工物を基準とする単位はキログラムだけでしたが、人工物の場合は表面に酸化などの化学変化や摩滅が発生することで数値が変わる可能性があります。現在の科学の進歩はすさまじい速さで進んでおり、ナノレベルの小さな技術が日々開発されています。そのため、キログラムにおいても、他の単位と同じように誤差なく利用できるよう物理定数を基本とする方式へ変更する運びとなりました。とはいっても、私たちの生活の範囲内では、これから先も1kgの扱いが大きく変わったりすることはありません。今回の変更ではキログラムだけではなく、電流の単位や、熱力学温度の単位、そして物質量の単位なども色々定義づけが見直されたため、おおよその教育関係やその研究分野の書籍では変更が決定された平成30年11月16日から今月までの半年間はさぞ大忙しだったことでしょう。とはいえ、やはり一般に生活している人にとっては、よくわからない定義がよくわからない定義になったなぁという程度の認識だと思います。こうした単位定義の変更は、人類の長い歴史の中では珍しいことではありません。そしてその多くは、私たちの生活のレベルにおいてはまったく問題にならないほどの小さな変更であることがほとんどです。しかし、最先端の科学技術の分野では、誤差が生じにくくなり、技術の発展を促進させるような大きな変化となるはずです。
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