『わけあって絶滅しました~絶滅したいきもの図鑑~』(発行:ダイヤモンド社)という本を読みました。ひとつの種が地球上から姿を消すこと、それが“絶滅”です。地球にはじめて生命が生まれたのが40億年前、それから現在まで様々な生命が生まれては消えてを繰り返してきました。命の終わりは死ですが、種の終わりが絶滅です。絶滅とはその種がこの世から1匹残らず消えること。実は生き物が絶滅する確率は99.9%なのです。強い生き物も賢い生き物もいましたが、何らかの理由で消えていったのです。1億年もの間この地球上に絶対君主として君臨した恐竜だって、海の底で数億年も生き長らえた古生物も、理由は分からないがこの世から99.9%は消えていった。現在、地球上を我がもの顔で君臨している「人間」も所詮誕生から数万年の新参者に過ぎないし、とてもこの先何億年も生き長らえる非絶滅0.1%の幸運に恵まれるとは誰も思っていないだろう(人間が絶滅したらまた別の種が地球上の君主に君臨するだけ、その繰り返しが地球の歴史)。
絶滅の理由は色々考えられますが、
①ライバルの出現(より性能の良い種が誕生したことで競争に負けた)
②環境の変化(隕石や大噴火など一度に地球上の70%の種が大絶滅するような大規模な環境変化)
③人間による乱獲や自然破壊(これはせいぜい近年200~300年程度のことで40億年の歴史の中では微々たるものだが)
などが主な理由らしい。
これは「お仕事の種(業界)」にも置き換えて考えられること。①ライバルの出現などは例にとるにはわかりやすい。かつて10~15年前まで需要と完全体ビジネスモデルとして日本中に君臨していたレンタルビデオ屋・レンタルCDショップは今では絶滅危惧種と言われる。当時は日々多くの客が足を運び24時間営業も当たり前、カセットテープ・MD・ビデオテープなども同時に需要が生まれ完璧な生態系連鎖もしていた。絶滅に追いやられた理由はいわずもがなだが、この強力なライバルによって同時に書店やレコード屋もエサを食いつくされて餓死寸前である。
②かつて地球上には70~80%の種が一度に大絶滅するような大規模な環境変化が過去何回も起きていると言われる。仕事種で危惧しているのはAI(人工知能)とロボット工学の発展だ。人間の仕事を根ごそぎ奪いとり、多くの業種が消えてなくなり大量失業者を招くと言われているが、映画ターミネーターの未来像のような、人間から労働が取り上げられるなんてまさに地球規模の天変地異ではないだろうか。
③人間による絶滅とは仕事種でいえば、いわば人間自身のエゴで首を絞めて消えていく仕事の種を言う。より安い食材を求め外国食材を使い中国工場で生産などの結果、味が落ちて品質が問われ客が離れつつあるジャンクフード種、内容ではなく映像や容量・技術にこだわり過ぎた結果ユーザー離れを起こしたTVゲーム業界などは絶滅危惧種といえるだろう。かつて駄菓子屋や個人商店を軒並み絶滅に追いやり一大勢力を誇ったコンビニ業界も現在は意外とここに位置しているような気もするが。
“地球に生まれた生き物はいつか絶滅する運命。むしろ生き残ることの方が例外なのです。”
これは仕事種も同じであろう。商社であろうが、建設であろうが、小売業であろうが、IT業界であろうが、それこそ公務員であろうが、いつかは絶滅する可能性が高いということです。私ども派遣業界などはこの先100年後に存在しているとは正直到底思えない。しかし絶滅したからこそ新たな誕生があり、気の遠くなるような年月をかけて現在の生態系を創り出す再生力が地球という星の底力です。絶滅は必ずしも悲しい出来事ではないのかもしれませんね。3億5千年前から存続しているシーラカンスや5億年前から変わらず存続しているオウムガイなど運よく絶滅しないで済んだラッキーな種もいるわけですから、絶滅するしないの分かれ目は何でしょうね。0.1%の確率で絶滅を逃れる業界ってあるんでしょうか、あったら奇跡としか言いようがないですね。
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