スーパーでドラフトギネス(Draught GUINNESS)というビール缶を発見したので買ってみました。キリンから発売されているアイルランド黒ビールです。「黒ビールって苦そう」とかイメージがあると思います。私も学生の頃に一度飲んで以来苦手です。そもそもビール自体あまり飲まないのでビールを購入すること自体久々です。たぶんビール国内消費量が減っているので昔のようにビール第一党のご時世でもないわけですがその理由として、
①若い人のビール離れ(ひいては酒離れ)
②会社上司とのコミュニケーションが希薄になった
③ビール会社が次々に新銘柄を出しているうちに消費者が訳が分からなくなった
といった感じです。私が学生の頃は新歓コンパで一気飲み強要で、男も女も吐くまで飲まされる時代背景でした。新聞に急性アルコール中毒で死人が出たという記事もよく見かける時代でした。あの時代がなかったら私も酒は飲まなかったと思います。でも大半の人が酒の味を知るきっかけなんてそんな馬鹿やってるところからではないでしょうかね。酒もタバコも家に閉じこもってTV見ている人が味をしめるなんてことはたぶんないわけで…。うんちくばっかりで頭でっかちの今の学生ではビール離れも頷ける。そして上司とのコミュニケーション不足も原因で、誘われて断る方も世間知らずだが、誘う上司がいなくなったのも平成時代の特徴である。確かに折角誘ってあげてもオレンジジュースなんか飲まれたら飲みニケーションでもなんでもないわけで、アルハラなんて言われたら犯罪者扱いである。付き合いは協調性なのだから人事評価で差をつけるのが妥当だと思う。付き合いたくないから断る人と付き合いたくないけど付き合う人が同評価ではそれこそ不公平ですからね。こういう昭和文化はうんちく抜きで感情論としてありかなと思う。そして問題はビール会社各社があれこれ新商品を出しては消えての繰り返しで訳が分からなくなったことにある。実際、秋限定とか冬限定とか言われても大して味は変わらない。何とか絞りとか本醸造とか樽生とかTVで芸能人が旨い美味い言いながら飲んでいるが旨さの違いなんか殆どない。エビスビールとキリンラガーとサッポロ黒ラベルとアサヒスーパードライの4種類あればいいのではないかと思う。中身の違いの分からないものを続々出して、いくつの商品があるのか答えられる人がいるのだろうか。まるでクイズ問題のようでさえある。仮に美味しいと思っても数か月後に市場から消えているのでは何の意味もない。旨そうなのは商品の名前だけであって、旨い美味い言って飲んでいるCMばかり見せられるのももうウンザリである。
そんなこんなでビールに失望している矢先に目についたのがこのドラフトギネスです。買ってみたいと思った理由はフローティング・ウィジェットというピンポン玉のような丸い物体が缶の中に入っているのが気に入った。この球のお陰で誰がついでもパブで注文するのと同様の泡が立てられるという画期的なアイデアです。早速家で冷やしてグラスに注いでみると、クリーミーな泡が確かに立っている。ビール各社が大して変わり映えのしない商品を競い合っているのを横目に、ビールではなく缶に工夫をした発明に感銘する。この泡は缶ビールとは思えないほどクリームのようだ。しかし肝心の味はというとコクがなく(宣伝文句では爽やかと表現するのかもしれないが)ドライビールを水でじゃぶじゃぶ薄めたような感じで私の味覚には到底合わなかった。
結局、仕事・ビジネスというのはハードもソフトも両方揃わないと商品としてダメだという手本のような商品で私はたぶん二度と買う事はないと思うが、そう考えると物を売るって難しいですね。でも話のネタとしてだけでも何年もビールを買わなかった私のような人に購買意欲を持たせて手に取らせたという成果だけでも確かにすごいアイデア商品なんだと思う。こういうのこそ「考えた人はスゴイ」・「発明した人は天才」と言われるべきなのだと思います。単純だけど誰も気づかなかったコロンブスの卵のようなことが、まだまだ世の中には現存するんだなと驚きました。
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