国内の企業の定年は60歳と定めている会社が多いが、最近は65~70歳定年という会社も増えてきました。わたしのような若輩者からすれば、60~70歳まではたらく大先輩に対して尊敬しかありません。最近は70歳以上の方もハローワークに足を運んでいるとのことで、年齢がいくつになっても社会との接点はもっていたい、はたらき続けたいという方が多い。もちろん年金支給額をはじめとする収入面ではたらき続けなければならないという方もいるかもしれませんが、日本人の平均寿命は男性80歳、女性86歳とも言われていますので人生の大半は仕事に費やすのが日本人の人生ということになります。人は限られた時間の中だからこそ人生を謳歌できるということです。もし不老長寿や不老不死なるものが存在したら仕事は続けるのだろうか、人生は謳歌できるでしょうか。最近、有期雇用の対義語として”無期雇用”という言葉がよく使われますが、これは期間の定めがない(定年もない)という意味ですので、雇用における不老不死のようなものです。
余談ですが、不老長寿・不老不死なんて夢のような話ですが現代の遺伝子工学では既に研究はされています。富や権力を手中にした者が見果てぬ夢として望む人類最後の願いと言われているのが不老不死です。秦の始皇帝しかり天下を取った武将、巨万の富を得た成功者の誰もが求める不老不死ですが、人間の寿命は125歳位が限界と言われていますがこれを2倍3倍に伸ばせる研究はされているというような書籍を目にしました。人は何故老いるのか、何故寿命があるのかを遺伝子工学の視点で解明されつつあるそうで、人間は遺伝子やタンパク質に傷が溜まることで老化という現象を起こすという説と、遺伝子情報の中に老化の過程が生まれながらに組み込まれているという二つの説があります。もし遺伝子情報にその情報が組み込まれているならば遺伝子情報を変えてしまえば老化は起きないという発想なのだそうです。細胞核の中に遺伝子の集合体である染色体の末端部分にテロメアという領域があり、この部分のDNAは短い塩基配列が何百回も繰り返すという構造となっていて、細胞が分裂するたびに回数券のようにちぎれて短くなっていき、このテロメアが全て失われた時が死(寿命)なのだとのこと。つまりこのテロメアの長さを一定に保てば(または継ぎ足してあげれば)、老化は起きない・寿命はこないということになるのだそうです。なんと驚くことにこのテロメアの長さを維持する酵素テロメナーゼなるものが発見され、この酵素の遺伝子を細胞に組み込めば細胞は無限に分裂し続けるという。国内でも産官学研究機関が実験を行い線虫の遺伝子などで寿命を2倍にする成果を挙げているとのこと、更にこれを発展させれば平均寿命を300歳とか500歳にしたり、永遠の不老不死も実現可能のようです。現時点ではまだこれらの研究成果をすぐに人間に応用は難しいと思うが、現代科学は寿命を操る術を手にしつつあるように思う。ただ、自然界の法則を捻じ曲げれば即ち破滅も意味するので、仮に研究が実を結んだとしても世に出ることはないともいわれている。遺伝子工学は神の領域に触れるため倫理あり賛否ありの学問だが、もし不老不死が得られるとしたら人類は喜ぶのだろうか悲しむのだろうか。
日本にも八百比丘尼という女性が1000歳の長寿を保ったという伝説もありますが、政変や戦争を目にし続ける人生に人の世の無常を感じ最後は即身成仏の道を選んだという(一説には人魚の肉を食して不老不死になったと云われているが、科学的に解釈すれば酵素テロメナーゼを含む食材を摂りテロメア部の遺伝子に突然変異が起きたのではと考えられる)。何事も終わりがあるから頑張れるということであり、定年制というのは仕事人生において一つの生きる目標となりえます。無期雇用(期限の定めがない雇用、つまり定年にも拘束されない雇用)という言葉も最近ではよく聞きますが、人間は”無期”で何かをすれば世の無常を感じてしまうのではないかと思います。労働法関連で軽く「無期雇用」という言葉が明確な定義なく使用されていますが、「雇用における不老不死」と当てはめると労働者は喜ぶのだろうか悲しむのだろうか。終わりがないというのも本当に幸せかどうかはわからないものですよ。