新卒向けの就職サイトが新卒学生を対象に複数社応募するように煽っているのが週刊誌で取り上げられていましたが、要するにサイト運営側(広告会社)は応募者数に応じて求人企業側に対してフィーが発生するため入社するしないは関係なくとにかく応募さえしてくれればビジネスとしてそれでよいという風潮が問題視されています。広告を出している企業側の反応もまちまちで、応募者数が多ければ人事担当者としての評価につながるのでありがたいという意見と、入社意思もないのに何社も応募しなさいとノルマ的に応募してくる人材がどれだけいても結局は入社しないのだから費用ばかり取られるだけで企業にしてみれば何の意味もないという意見があります。前者は大企業だと思われます、後者は中小企業ではないでしょうか。
新卒向けサイトに関わらず、求職サイトにはとかくこういう問題はつきものです。気に入ったお仕事があれば一括応募とかショッピングカート感覚でポイポイいれていって送信を押すだけで応募できるという類です。「ご応募いただいたお仕事の件で・・・」と電話をすると、「はぁ?何のことですか?」なんていう反応をされる応募者は少なくありません。事情を話すと「あー思い出した」とか「応募したのは覚えているがどういうお仕事でしたっけ?」という言葉を返されるとお仕事を紹介するこちらも“本当にこの人お仕事する気あるのだろうか・・・”と疑問に思ってしまいます。中には「どちらさまですか?」と不審そうな声で電話に応じるのも面倒そうな対応だが、「あなたが応募されたお仕事の件で電話をしました」と話すと急に猫撫で声に変わり「えーっと、何の仕事の件でしたっけ?色々応募しているのでどこに応募したかまでいちいち覚えていないので(笑)」という方もいらっしゃいます。
これが現在の就職活動なのかと思うといささか寂しさもありますが、某サイトの勧める“とにかくあれもこれもなりふり構わず手当たり次第に応募しまくれ”というのは間違いで逆に就業を遠ざけるだけです。就業熱意は採用基準の重要な判断材料ですので、些細な会話一つとっても誤魔化すことはできません。もしあなたが会社の経営者で人材を採用する側だったとしたら、こういう人材を採用したいと思いますか?答えは誰の目にも明らかだと思います。