この時期にサクラというのも季節外れですので今回は、桜ではなくエキストラの“サクラ”について。某アイスクリーム・ショップで有名になった顧客獲得の手法で、お店に長い行列ができているとそれに釣られて並びたくなってしまう人間心理を活用した販促です。最近ではマクドナルドが大阪のある店舗で新製品発売に際して、人材派遣会社から派遣されたアルバイト1,000人を客として行列に並ばせ商品を購入させることで、結果としてメディアに取り上げられ、1日あたりの店舗売上高1,000万円/日を越えマクドナルドの長い歴史の中でも1日の過去最高売上を記録したとのこと。この1,000人の中には、行列先頭で徹夜したり、何度も行列に並び直したアルバイターもいるそうで、大阪だけでなく東京をはじめ新規開店した店舗には同様のアルバイトや派遣が動員されているのは既に周知されています。マクドナルドに限らず企業・店舗など、いたるところでこのような派遣の活用がされています。
サクラで客を釣るのは卑怯ではないかとの意見もあると思いますが、どんなに良い商品・美味しい食品を提供するとしても、まずはお客さんに知ってもらう・食べてもらわないことにはどうにもならない。マクドナルドのように名の知れたショップならともかく、個人経営で新規オープンとなると固定客が根付くまでに時間もかかるし、その間に資金が底をついて廃業・閉店というケースも実は珍しくない。素早く経営を軌道に乗せるための手段として効果的だと思いますが、サクラというとどうしても日本人の国民性からイメージが悪い。しかし、例えば新規オープンであれば客の生の声を聞くという調査アンケートはおこなっても良いはずだし、化粧品でもどんな商品でも市場のモニタリング調査は公に実施されていますが、こちらは誰もイメージが悪いこととは思わない。つまり、サクラではなく“モニター”としてアルバイトや派遣を活用し、同時に行列による心理的効果も付加できれば一石二鳥ではないかと思います。現に先の件でもマクドナルド側は「発売日を盛り上げたかった。並んでもらったのはマーケティング手法の一つであり、新商品のモニターとして派遣を使った。」というような趣旨を公表しています。(騒ぎになってしまったのは1,000人のアルバイトを派遣した人材派遣会社が『新商品を、並んで、買って、食べるだけ。商品購入のエキストラのお仕事』として募集広告を出してしまい、結局この商品や接客についてのアンケートをしていなかったことが原因と思われる。)
モニタリング調査を行う場合、派遣を活用するのは有益性があります。何故なら、これだけのアルバイトを集めるのはオープンしたてや間近の店舗スタッフでは難しいということです。1,000人は極端かも知れませんが20~30人集めるだけでも大変だと思います。募集を出して問い合わせが来て面接をして当日出欠をとってアルバイト代を準備して払って・・・等かなりの重作業であるという事。電話1本で依頼が出来る派遣を使うというのは一企業や店舗にとってはありがたいところではないでしょうか。また、人件費がかさむと思われがちですがマクドナルドが1,000人のアルバイトに提供した商品代と言ってもせいぜい50万円程度。それでメディアに取り上げられ、行列の影響で新規顧客が増え、結果として1日に1,000万円を越えたという(つまり一般客の売上が950万円あったということなので、単純計算すれば1,000人のアルバイトを使って1万9,000人の集客をしたという事になる)。また、一度ついたリピーターが落としてくれる金額と言うのは将来的にも莫大なものだそうです。サクラの賛否是非はともかく、“モニタリング”としての派遣の活用は大企業から中小企業・個人経営店舗まで幅広く有益だと思いますので、これまで派遣は使ったことがないという企業・店舗の方は是非、こういう派遣の活用も考えてみてはいかがでしょうか。モニタリング調査のお問い合わせはお気軽にどうぞ。
(参考:ウィキペディア「日本マクドナルド」)