(社)日本雇用環境整備機構主催で平成23年7月5日に中野サンプラザにて開催されました講習会に参加してきました。
第一部では、「育児中女性の雇用の現状と課題について―好事例の紹介―」について、東京家政大学名誉教授の樋口恵子先生より講義を頂きました。
働く女性にとって、人生において三度のすべり台を滑り落ちる傾向についてという内容で、まず30代で第一子出生により約7割が退職しこれが第一のすべり台、40代でパート等により就労するも夫の転勤等により妻の離職による第二のすべり台、50代では親の介護により第三のすべり台を滑り落ちてしまうということを指しています。このように女性が一生働きたくても離職せざるを得ない現状が何度もやってきて、その都度お仕事のすべり台を落ちてしまいます。なるべくすべり台から滑り落ちないためには、職場環境が大きく左右するものだと思いました。特に第一のすべり台から落ちないようにするためには、結婚しても出産しても辞めなくてもいい会社を選ぶ必要があります。産休・育休があるか、職場に育児と仕事を両立することに対しての支援する雰囲気や意識があるか、時短やフレックスタイム制を導入しているか等、結婚・妊娠・出産に対して理解のある会社を選べば退職する可能性も低くなるとのことでした。
次に第二部では、「高年齢者雇用における現状と課題および関係法令解説と事例」を東京労働局職業安定部職業対策課の田口勝美係長より講演していただきました。特筆すべきは、わが国では高齢化のスピードが速く、日本の平均寿命、高齢者数、高齢化のスピードの三点が世界一で2050年には2.5人に1人が65才以上の社会になっているそうです。厚生年金の支給開始年齢も2025年4月から65歳に引上げされることが決まり、雇用確保の必要性が大きくなってくることです。そこで高年齢者の雇用の確保と安定のため、①定年の引上げ、②継続雇用制度の導入、③定年の廃止のいずれかの措置を講じなければならない法律ができました。国からの助成金制度を活用し、公正な採用選考により、働く意欲やポテンシャルの高い高年齢者に就業の機会が増える社会になることを切望させられる講義内容でした。
最後に第三部は「障害者の雇用における現状と課題―発達障害者が活躍するために―」について、(社)日本雇用環境整備機構の石井京子理事長より講義がありました。障害にも様々な種類がありますが、今回は自閉症・アスペルガー症候群・学習障害・AD/HD(注意欠陥/多動性障害)など発達障害についての特徴と課題に重点を置いた内容でした。就職活動時においても自己分析が苦手だったり、周囲の人の言葉を鵜のみにしやすかったり、自分の強みをアピールすることができなかったりと発達障害のために苦労することがあります。しかし、自分の特性を知った上で出来る仕事はあるわけで、職場での配慮により仕事の戦力になることは可能です。こういった障害を持つ方でも雇用定着のために、適性に合った仕事を選択し、雇用の環境整備を行う必要があるとのことでした。
以上、午前・午後にかけて三部構成で、育児・障害・エイジレス(高齢者)の雇用に関する講習会に参加して、現状の課題について学ぶべきことが非常に多く、また今後の課題として考えていくべき事項の大きさを実感してきました。(さらに詳しい内容についてはH23.7.15発行のオフィスタ・ニュース第38号にて特集を組んでおりますのでそちらをご参照ください)