ホスピタリティの専門家 濱野まさひろのブログ

ホスピタリティの専門家 濱野まさひろのブログ

北海道流のホスピタリティ=「なまらあずましい」を探して

 

インバウンド観光が再び盛況を迎えていますね。

日本各地の観光地が賑わいを取り戻しているのは嬉しいことです。

しかし、経済効果をもたらす一方で、地域住民や環境に与える影響についても考える必要があります。

ちなみにニュースやワイドショーで「インバウンドバブル」の功罪について毎日のように報じています。

オーバーツーリズムの弊害とともに放映内容で多いのが、スキー場周辺の立ち食い蕎麦3500円、ウニ丼2万円など価格の高騰について批判的に語られることです。

しかし私はスキー場周辺の物価が高騰することは、問題だとは思いません。(市街地の商店まで影響するのであれば問題ですが)

価格は商品やサービスの価値を表すものでありつつ、また価値の一部でもあります。

価格が高いというだけで、その消費の価値が高いと顧客が思う心理です。

これをウェンブレン効果といいます。

逆に円安などの要因で売れなくなれば、当然安くせざるを得ないのです。

パンデミックで外食消費が落ちた時、何でも安くなったではないですか。

インバウンドバブルの問題点は、価格高騰以外にあると考えています。

インバウンドの復活とその影響

私が住む北海道の狸小路や北海道神宮も、コロナ禍以前の賑わいを取り戻しつつあります。

外国人観光客でにぎわう光景を見ると、観光業が復活していることを実感できますね。

観光業の復活は、地域経済にとって大きな恩恵をもたらします。

観光客が増えることで、飲食店や宿泊施設の売り上げが上がり、地元の雇用も増加します。

でも、その一方で、

地域住民が感じる負担や不便さも無視できません。

旅行者の増加による快適さの喪失

旅行者の増加は、地域住民の生活にとっての快適さを奪うことがあります。

また我々自身が観光する際も、コロナ禍で観光客がいなかったときの静かさと快適さを味わってしまったので、観光地が再び混雑することはストレスになっています。

経済的に恩恵を受けていることを頭でわかっていても居心地の悪さを感じてしまいます。

スキー場での体験

冬にニセコ近くのキロロスキー場へ行った時、こんなことがありました。

車で到着するとゲレンデから近い駐車場は満車のため、遠く離れた駐車場に誘導されました。

以前はその駐車場からスキー場までバスでピストン輸送していたのです。

しかし今年はホテルからスキー場まで移動用のゴンドラが新設されていたんです。

便利になったと感心し、ゲレンデで降りてスキーセンターへトイレに行こうと歩き始めると、欧米人のスキーヤーから声を掛けられました。

「チケットセンター? ズィスウェイ#$%&’`*」と英語で話しかけられました

最初、外国人観光客が「チケット売り場は何処か?」と質問していると思い、場所を身振り手振りで教えてたのですが、怒ったような表情で同じような事を何度も話してくるのです。

ふと見るとウエアの胸に小さなネームプレートが付いているではないですか。

ようやく客ではなく、ここのスタッフなんだと気付きました。

要するに「コチラの出入り口は、ホテル宿泊者専用だから入るな!」という注意だったのです。

3年前に来た時は問題なく通れたので、そちらに向かおうとしたのですが…。

正直、「今、何処の国のスキー場に来ているのか?」と私は思いました。

一言日本語で「あちらの出入り口は宿泊者専用で通り抜けできません」と伝えればいいだけなのです。

そういった簡単な従業員教育されていない状況、

日本人はどうでもいい、と言われても仕方ないオペレーションしていると感じます。

このような状況は、地元住民の不満を引き起こし、本来のコア顧客であった客層を損なう要因となってしまいます。

インバウンドバブルの永続性とそのリスク

そしてもう一つ忘れてならないのは、インバウンドバブルは永続的なものではないということです。

リーマンショック・3.11・コロナパンデミックといった過去の事例からもわかるように、

観光業特にインバウンドは約10年に一度は外部の影響を大きく受けています。

そのため、観光地はインバウンドバブルの頼った短期的な経済効果に依存するのではなく、持続可能なまちづくりを目指すべきです。

適正規模の観光を目指して

さらに観光立国を掲げる政府の方針と、地域の観光受容力にはギャップがあります。

先日発表された政府の観光政策方針は驚きました。

外国人の地方滞在を後押しするため、2031年までに全国35カ所全ての国立公園に高級リゾートホテルを誘致し、国立公園の魅力を高める事業を実施する方針を固めたのです。

現在でも地方の観光地は慢性的な人材不足です。また交通インフラの弱体化も顕在化しています。

資源である自然を守るより開発によって国立公園を過剰な観光地化にすることは、物価上昇だけでなく住民の生活環境の悪化を招き、観光に対する反発を引き起こす可能性があります。

地域の特性や住民のニーズを考慮した適正規模の観光を目指すことが、持続可能な地域のまちづくりに求められます。

解決策は地元住民への価値提供

星野リゾートの星野佳路社長は、ニセコのインバウンドバブルが長期的には地域に悪影響を及ぼす可能性があると懸念しています。

具体的には、インバウンド観光客による一時的な需要増加がサービスを低下させ、地元住民やビジターの満足度を低下させるリスクがあると指摘し、実際に今までのコア顧客が離れてきていると発言しました​。

観光地が持続可能な発展を遂げるためには、地元住民へのホスピタリティを重視し価値提供することが大切です。

たとえば、地元住民向けの割引制度を設けたり、観光客が集中する時期以外にイベントを開催したりするのも良いでしょう。

また、地域の伝統行事や文化活動に観光客を巻き込み、交流の機会を増やすのも効果的かもしれません。

北海道の観光地が持つ魅力を最大限に活かしつつ、地元住民と観光客の双方が快適に過ごせる環境を整えることが求められます。

最終的な目的は住民の幸福

インバウンド観光が地域経済に与える影響は大きいですが、その一方で地域住民や環境への負担も無視できません。

観光振興の目的は地域の資源を活用し経済を活性化することで、最終的に地域住民を幸福にすることです。

その目的を忘れず過去の教訓も踏まえ、持続可能なまちづくりを目指し、適正規模の観光を推進することが求められます。

現在の施策はインバウンドのホスピタリティばかりにフォーカスしていて、地元民へのホスピタリティ(というか普通の暮らしを守ること)をなおざりにされていると思います。

北海道の観光地が持つ魅力を守りつつ、地元住民と観光客が共存できる未来を築いていくことが大切です。

噂の「すしのしはち」さんに行ってきました。味はもちろん、適度な高級感とカジュアルさを併せ持ち、スタッフの高いホスピタリティと相まってとても居心地が良いです

【手を汚す公衆トイレの便座クリーナー】

突然ですが、公衆トイレに設置されている便座クリーナー

ホスピタリティに著しく欠けると思いませんか?

メーカーによって押すボタン位置や吹出口が上にあったり下にあったり

消毒液が出る方向も、真下にで出るものや斜めに噴射されるものなど様々

事前にしっかり確認して使用しなくてはいけません

しかし私が公衆トイレを利用する場合ほとんどのケースで急を要しているため、事前確認する余裕がなく、いつも手を汚すことになります(消毒液なのでキレイになっているかもしれませんが)

【セルフレジの罪と罰】

コロナ禍で急速に普及したセルフレジも店によって形式が大きく異なり、私達利用者にとって戸惑いの原因となっています。

最初に誤解なきよう言っておきますが、もちろん慢性的な人手不足状態、セルフレジ自体を否定している訳ではありませんので。

現金投入の場所を探す、レジのスキャン形式の違い、ポイントカードの登録のタイミング、キャッシュレス決済の手順など、店舗ごとに異なる仕様に対応するのは容易ではありません。

例えば、大手スーパーマーケットチェーンのAでは、現金支払い時に小銭を一枚づつ投入する必要があります。一方で、同じチェーンのBでは、一度にまとめて投入できる仕様となっています。

またAチェーン店では自動精算機でPaypayが利用できるが、セミセルフレジのBチェーン店ではキャッシャーさんの段階で決済してもらうシステムになっています。これにプラス、ポイントカードの登録も同様にバラバラです。この違いにより、客は毎回使い方を確認しなければならず、非常に不便を感じます。

さらに、客一人で行う完全セルフレジでの商品スキャンも一筋縄ではいきません。例えば、果物や野菜のスキャン時に、タッチパネルで該当する商品を探さなければならないことがあります。先日、あるスーパーマーケットでキウイフルーツを購入しようとした際、タッチパネルにキウイの項目が見当たらず困ってしまいました。スタッフを呼んで尋ねると、キウイに貼られた小さなシールのロゴ下に印刷された極小のバーコードをスキャンする必要がありましたが、分からずにかなりの時間を要しました。

また完全セルフレジでは、アルコール商品を購入する際に係員を呼ぶ必要があります。これは、未成年者による購入を防ぐためですが、同じチェーン系列のコンビニエンスストアのセルフレジでは「20歳以上」のボタンを自分で押すだけという大きな違いがあります。

こうした店ごとの不一致は、利用者にとって混乱を招きます。

【行為のデザイン】

京都造形芸術大村田智明教授が提唱する「行為のデザイン」という問題解決手法があります。

ユーザー目線の行動に徹底して着目し、ユーザーが滑らかに目的の行為を進められるデザインを目指すものです。

例えば旧来型の家電はユーザーの行動はあまり考えず、使用方法を説明書に細かく書くことで伝えようとしていました。

しかし説明書は読み込まなければいけません。読解力が必要ですし、何より時間がかかります。

行為のデザインとは、ユーザーの行為から商品をデザインすることで説明書がなくても正しい使い方が可能になるという考え方なのです。

その代表選手がおなじみiPhoneです。

人間の行動心理を突き詰めた製品と言えるでしょう。

最初にiPhone を買ったとき取扱説明書が無くて驚いたものです。

しかし説明書がなくても直観的に操作できるUI(ユーザーインターフェース)だったのです。

操作するほど触る事が楽しくなる没入感、初めての体験でした。

ユーザー心理や手順、学習性を熟考した開発者の想像力の賜物だといえます。

逆に先に紹介したトイレ除菌クリーナーやセルフレジのように、ユーザーの行為が止まってしまうような製品は行為のデザインという考え方では、デザインに「バグ(不具合)」があると言えるのです。

【仕様の統一】

このような問題に対する現実的な解決策は、仕様の統一だと思います。

チェーンストア協会などが中心となって、セルフレジの仕様を統一する取り組みを行うことで、利用者の不便さを解消できます。例えば、全てのセルフレジで同じ位置に札入れを設置し、同じ手順でキャッシュレス決済を行えるようにするのです。

そうすることで利用者はセルフレジの利用に対して学習、習慣化しストレスが少ない状態で買い物をすることができます。

また、便座クリーナーに関しても同様に、統一仕様を導入することで利用者の混乱を防ぐことができます。すべての便座クリーナーが同じ噴射方向と使い方を持つようにすれば、利用者は安心して利用できるでしょう。

ここで一つ、参考になる事例を紹介しましょう。

ご存知かと思いますが、シャンプーとトリートメントの容器には、区別を容易にするためにギザギザ状の刻みが付けられています。この刻みは、大手メーカーの花王が視覚障害者や目を閉じて髪を洗う際に区別できるように設けたものです。

先に開発した花王はこの取り組みを業界全体に広げるため、実用新案の申請を取り下げ、日本化粧品工業連合会を通じて業界各社に働きかけました。その結果、現在でメーカーの枠を超え、ほとんどのシャンプー容器に刻みが付けられています。このように、業界全体で仕様を統一することで、消費者の利便性が大幅に向上しました。

このように業界全体で規格の統一化を進めることが、行為のバグを減らすことに繋がるでしょう。

【セイコーマートにおける行為のデザイン】

話は少し変わりますが、北海道を中心に展開するセイコーマートは、高い顧客満足度で知られるコンビニチェーンです。

そのセイコーマートでは、いまだに一部の店舗を除きセルフレジが導入されていないのです。

そしてアルコールやタバコを買うときも店員が確認を行い、客はあの忌々しい成人確認ボタンを押さずにすみます。(他のコンビニチェーンも完全セルフレジ以外はそうすべき)

そのうえほとんどの店舗が有料化を進める中、現在もレジ袋を無料配布しているのです!(もちろん国が決めた、レジ袋有料対象外のバイオマス30%以上の素材を使用)さらに袋詰もしてくれるので、いつもつい買いすぎてしまいます。そのため、道民に広く熱く愛されています。

お客様は面倒くさいことが大キライです。

少しでも手を煩わさない方に買いに行くのです。

もちろん全ての業態が同じように運営するのは難しいでしょう。

しかし単純に全てを無人化・セルフ化に右へ倣えだけではなく、「顧客の行為」からサービスをデザインすることが、顧客満足・売上を上げるためのヒントがあるのです。

お店の無人化が進むのを見るたびに、全てがセルフレジになったら「幸せの黄色いハンカチ」で高倉健は倍賞美津子に出会えないなーといつも妄想しています。

 

 

オフィスAZM代表 濱野まさひろです。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

 

この度の石川県能登地方を中心する地震被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。

一日も早い復興をお祈りいたします。

 

また翌日には羽田空港での大きな事故がありました。

海保の乗員は残念なことに多数お亡くなりになりましたが、日航機の乗客乗員は奇跡的に全員無事避難できたのです。

 

専門家曰く「訓練された乗務員の的確な判断と指示、それに従い協力しあった乗客の皆さんがいたからこそ成し得た奇跡」と仰っていました。

恐らく誰もが「自分の荷物を取り出したい、我先にいち早く逃げたい」と考えると思うのです。しかし乗客の皆さんは恐怖と戦いながら、利己を捨て抑制的な行動をしたのです。それも300人以上の方が!

 

これは直接ホスピタリティと関係ないと思われるかもしれませんが、利己を捨て利他的な行動をすることで、結果利己に大きく帰ってくるという点はホスピタリティに繋がります。

 

現代の様々な背景や多様な価値観を持つ人々が幸せに生きていくためにはとても大切なマインドなのです。自分自身これを機会に本年も「利他の心」をさらに育て実践したいと決意しました。

 

さて、新年ご訪問頂いた方への特典として電子書籍で販売している弊著「おもてなしを売上に変える技術」をブログにて期間限定で掲載します。是非次回「初めまして!濱野まさひろです」から順に読んで頂けると幸いです。

 

ということで改めて、本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

【ホントのホスピタリティの意味】

「え?心を込めたサービスでは無いの?」と思われる方も多いかもしれませんが、実は本当のホスピタリティの意味はちょっと違います。

この誤解が、ホスピタリティ向上の弊害につながっているケースもあります。

では、ホスピタリティとは何かを「起源」「語源」「概念」の観点から詳しく見ていきましょう。

 

【起源〜異人歓待】

ホスピタリティの起源は、「異人歓待」という風習にあります。

紀元前の昔から、共同体を訪れた異邦人に対して飲食や宿泊を提供し、温かくもてなしました。

この習慣は、お互いの危害を加えないことを確認し合い、連帯感を醸成させ異文化交流を促進する重要な役割を果たしてきました。

これにより、お互いの共同体の文化交流が図られたのです。

 

【語源〜客人の保護者】

次に、ホスピタリティの語源はラテン語の「hospes」に由来します。この言葉には、「ホスト」と「ゲスト」の両方の意味が含まれ、「主人と客人とが同一の立場に立つ態度を保つ」という意味が込められていました。

つまり、「ホストとゲストが同じ立場」で対等に接することがポイントとされていたのです。

元々の意味は「客人の保護者」であり、それが「ホスピタル」や「ホスピス」、「ホテル」といった派生語に発展していきました。

 

【概念〜サービスとの違い】

そして、ホスピタリティの概念は「サービス」との違いを明確にします。

サービスの語源は「サーバント」つまり「奴隷」であり、これは上下関係を意味します。

一方、ホスピタリティでは「ホストとゲストが同じ立場」で対等に接することが重要視されています。

ホスピタリティの精神は、相手と共感し、思いやりのある心で接することにあります。

 

【結論】

ホスピタリティは古代から続く異文化交流の中で生まれた、相手を思いやり、共感する精神を持つことが重要な価値です。

その語源からも、ホストとゲストが対等の立場であり、心を込めた歓待と保護の精神が根底にあることがわかります。

私たちの日常においても、ホスピタリティの精神を大切にし、異文化交流を通じて相互理解を深めていくことが求められているのです。

 

 

ホスピタリティの真の意味に気づくことで、私たちはより包括的で共感に満ちた社会を築いていけるでしょう。

心温まる歓待と共感の精神を持って、異文化交流を楽しんでみてはいかがでしょうか。

それが、より豊かな人間関係や社会の創造につながることでしょう。

 

先日、新宿観光案内所の素晴らしい活動が紹介されていました。

一日400人以上の外国人観光客からの、さまざまな相談に親身に対応しているのです。

不勉強で知らなかったのですが(検索してもあまり情報が出てこない)こんなに素晴らしい観光案内所があったのかと感銘を受けました。

 幾つかエピソードを紹介すると…。

 

【1:ラクトースフリー牛乳が欲しい】

オーストラリアからのご夫婦が新宿観光案内所を訪れ、女性が日本ではあまり一般的ではない、ラクトースフリー(乳糖が含まれない)の牛乳を探していました。

新宿観光案内所のスタッフは、近くのスーパーマーケットに一斉に問い合わせをし、5分後女性が求める商品を見つけ出したのです。

さらに、女性が胃腸のトラブルを抱えていたことを知り、胃腸薬を勧めるなど、細やかなアドバイスも行いました。

お店で困らないよう日本語のメモ付きで。

オーストラリア人女性は大変感激し、「彼らはよく調べてくれて助かった」と喜びました。

 

【2:春なのに心霊ツアー希望】

新宿観光案内所に訪れたオーストラリア人男性が、夏でもないのに心霊ツアーを希望しました。

「夏なら沢山あるのに」スタッフは初めは困惑しながらも、男性のリクエストに応えるために探索を開始。

スタッフ総出で探す事10分後、東京の下町で怖い話や民話が聞ける「恐怖の東京下町心霊ツアー」を提案しました。

この幽霊ツアー、怪談の専門家と一緒に怖い話や民話を聞きながら、日没後、浅草の墓地やお寺などを巡ります。

オーストラリア人男性はこの提案に喜び、「他の案内所では見つけられなかった」と感謝の気持ちを述べました。

 

【3:宝くじ】

ある日、タイ人男性が日本の宝くじを持ってきました。

彼は持っている宝くじが当選しているかどうかを知りたかったのです。

スタッフはタイ語が堪能なメンバーと相談し当選番号を調べてあげました。

当選していたのは結局100円でしたが、男性はスタッフの親切な対応に感謝し、「ここは他の場所よりもはるかにサービスが良い」とコメントしました。

 

【4:かばん紛失】

ある日、焦った様子のイタリア人男性が「新宿観光案内所」に駆け込んできました。

彼は大切なかばんを紛失してしまったというのです。

自分のかばんをコインロッカーに預ける際にお金を払い忘れてしまったため、戻ってみるとかばんがなくなっていたのだそうです。

スタッフはコインロッカーの管理会社に電話しました。

すると、5分後に管理会社のスタッフがかばんを持ってきました。

どうやらコインロッカーの鍵が掛かっていなかったため、中に入っていたかばんを管理していたようです。

男性は安堵し、「そう、そう!それ!」と喜びました。

男性は感謝の気持ちを伝え、「案内所の人たちがいなかったら、僕はきょう、ここにいません。本当に感謝しています」と語りました。

 

 

モットーは、どんな相談にも、簡単には「NO」とは言わないことだそうです。

「難題や質問もたくさんいただくので、そういったことにも代替案をしっかりお伝えしています」とのこと。

そのため新宿観光案内所は、観光客のニーズに応えるために常に努力しており、多くの人々から高い評価を受けているのです。

一日に400人以上、月に1万人も訪れる観光案内所で、それが実現できるのが凄い事だと思います。

こんな観光案内所が各地域にあったなら、観光の地方分散化も進みオーバーツーリズムの対策にもなると思うのです。

 

 

観光案内所におけるホスピタリティの効果としては以下の内容が挙げられます。

 

 1.観光客の満足度向上

初めて訪問する観光地に到着した時、最初に訪れるのが観光案内所ではないでしょうか?

最初にコンタクトする観光案内所でホスピタリティを発揮することによって観光客の満足度を向上させます。

丁寧な対応や親切なサービスにより、観光客は安心感や信頼感を得ることができるのです。

また、的確な情報提供によって観光客のニーズに応えることができます。

これにより、観光客はより充実した旅行体験を得ることができ、更に満足度が高まります。

 

 2.観光地のイメージ向上

ホスピタリティの発揮によって観光案内所が良好な印象を与えることで、観光地全体のイメージ向上につながります。

観光客が観光案内所から受けたサービスや対応に満足し、その情報を口コミやSNSなどで広めることで、他の人々にも良いイメージが伝わっていくのです。

これにより、観光地の認知度や評判が向上し、観光客の増加やリピーターの獲得につながるでしょう。

 

3.地域経済の活性化

案内所で紹介された場所や飲食店には高い確率で訪問し消費行動が発生します。

もしすべての観光客に求めている情報を紹介することができたなら、機会損失がかなりの割合で減少します。

逆にいうと紹介しないと何も生み出さないのです。

これは大変重要なポイントです。

なぜなら観光業の目的は

観光資源を活用し、観光客のニーズに対応した財やサービスを提供することで、対価として経済的な利益を得ること

だからです。

 

ホスピタリティの発揮によって観光客の満足度が高まり、観光地のイメージが向上することで、地域経済の活性化に寄与するのです。

 

また、良い観光体験をした観光客が口コミやSNSでその地域を紹介することで、観光客の誘致にもつながるでしょう。

これにより、地域の経済振興にプラスの影響をもたらすことができます。

 

 

他の地域の観光案内所が新宿観光案内所のようなホスピタリティを実施するためには、以下のような取り組みが有効です

 

1.ホスピタリティの文化を醸成:

ホスピタリティを大切にする組織文化を醸成します。

スタッフ同士のコミュニケーションや協力体制の強化、お客様へのサービス提供に対する意識を高めるための取り組みを行います。

経営陣からのリーダーシップとモチベーションの向上も重要です。

 

2.スタッフのトレーニングと教育:

スタッフには、ホスピタリティの提供に関するトレーニングを実施しましょう。

コミュニケーションスキル、おもてなしの心構え、観光情報の提供方法など、必要なスキルや知識を習得させます。

またサービスの質を向上させるためにフィードバックシステムを導入しましょう。

観光客からの意見や要望を収集し、改善点を把握することで、より良いサービスの提供につなげます。

 

3.技術と情報の活用:

慢性的な人手不足の状態です。

デジタルテクノロジーを活用した情報提供や予約システムの導入を検討しましょう。

観光案内所内や観光名所などに設置されたデジタル案内板やQRコードを掲示し、

観光客はスマートフォンでスキャンすることで、詳細な情報や案内マップへのアクセスが可能となります。

AI技術を活用したチャットボットや仮想アシスタントを導入し、観光客との対話型のサポートを提供。

また、ソーシャルメディアやオンラインコミュニティを活用し、観光客とのコミュニケーションを強化します。

 

これらの取り組みを継続的に行うことで、他の地域の観光案内所も新宿観光案内所のようなホスピタリティを実施することができます。

 

地域の魅力を最大限に活かし、観光客にとって忘れられない体験を提供することが目指すべきです。

 

 私は数年前依頼を受けて、道内を代表する観光地を複数箇所で覆面調査を行いホスピタリティ診断を実施したのです。

ある観光案内所では、その時雨の日だったため観光案内所で 「雨天の時、楽しめるものって何かありますか?」と訊ねたのです。

帰ってきた答え「ありません」このたった一言。

 

また他の地域の観光案内所では日曜日で案内所に沢山の観光客がいるにも関わらず、スタッフ全員が奥の事務室に籠もっている状況で声をかけるのも憚れる状況でした。

早くこういった状況を卒業するためにも、一刻も早く上記のような取り組みを行って行きましょう。

 

 

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皆様、こんにちは!

この7月で、私のブログが開設10周年を迎えることとなりました。

これまで数多くの読者の皆様にご支援いただき、心から感謝の気持ちでいっぱいです。

本当にありがとうございます。

 

このブログは、組織のホスピタリティ向上を主眼に、幅広いテーマについて情報を発信してまいりました。

 

このブログがキッカケで、これまで数多くの企業や自治体職員の皆様にご利用いただき、それにより多くの方々が成長や成功に向けて一歩踏み出すお手伝いができたなら幸いです。

 

私自身もこの10年間営業活動を一切行っておりません。

このブログと口コミだけで研修オファーを頂いてきたのです。(アドバイスしてくれたF社長には感謝しかありません!)

 

 

 

コロナ禍以降のここ数年少し更新頻度も減ってしまいましたが、

この10年の節目を機に感謝の気持ちと共に、これからもより充実した内容をお届けするため、

さらなる努力を重ねてまいります。

 

今後の展望としては、今までの実践的なビジネススキルやリーダーシップのノウハウを提供するだけでなく、

最新のトレンドやホスピタリティ溢れる宿や飲食店なども、今よりもゆるい感じでご紹介していきたいと考えています。

 

引き続き、ご愛読いただけますと幸いです。

 

心からの感謝を込めて、これからも皆様のお役に立てるブログを目指して邁進してまいります。

 

どうぞよろしくお願いいたします。

 

先日は人事院北海道事務局様のご依頼で中堅係員研修でした。もう3年目になります、ありがとうございます。終了後は、こちらも3年ぶりに札幌で一番激安の居酒屋へ。ビール2杯ハイボール2杯レモンサワー1杯と写真のつまみ以外に手羽先とハムカツで合計2200円!

イントロダクション: 

こんにちは皆さん。現在のコロナ禍において、「批判」という言葉がしばしば使われますが、その意味について混乱や違和感を抱くことがありますよね。

実は、「批判」と「非難」、「誹謗中傷」という言葉には明確な違いがあります。

本記事では、これらの言葉の意味を正しく理解し、建設的な対話を促進する重要性について考えていきましょう。

 

本論: 

現在の日本では、メディアを含めて「批判」と「非難」、そして「誹謗中傷」が同じような意味で使われていることがありますが、実際にはそれぞれ異なる意味を持っています。

  • 「批判」の定義:

    • 物事の良いところと悪いところをはっきり見分け、検討を加えて判断・評価すること。
    • 人の言動や仕事の誤りや欠点を指摘し、正すべきであるとして論じること。
    • 相手へのリスペクトがあり、根拠があり、建設的な対話や改善を促すものとなる
  • 「非難」の定義:

    • 人の欠点や過失などを取り上げて責めること。
    • 周囲の人間が一方的に過失を責める際などに使用される。
    • 欠点や過失を指摘すること自体は批判に含まれるが、非難はより責める意図が強く、攻撃的な要素があります。
    • 建設的な議論や改善を促すよりも、相手を責めることが目的となる傾向があります。
  • 「誹謗中傷」の定義:

    • 他人を悪く言うことやそしること。
    • 根拠のない悪口を言いふらして他人の名誉を傷つけること。
    • 相手へのリスペクトが欠け、攻撃的であり、悪意を持って行われます。
    • 誹謗中傷は単なる批判や非難ではなく、相手を傷つけるために行われる行為であり、建設的な対話や改善を全く意図していません。

このように、「批判」と「非難」「誹謗中傷」は異なる意味を持ちます。批判は建設的な対話や問題解決を促すものであり、相手を尊重しながら根拠のある意見を述べることが求められます

また「非難」と「誹謗中傷」は批判とは異なる性質を持ちます。非難は批判に含まれるが、より責める意図が強く、攻撃的な要素があります。一方、誹謗中傷は相手を悪く言いふらすことで名誉を傷つける行為であり、相手へのリスペクトや建設的な対話を全く意図していません。

 

このように、批判・非難・誹謗中傷は全く異なる意味を持つ言葉です。しかし、SNSなどを見ると、その境界が曖昧になっているという声が聞かれます。

私は「批判」とは、相手を尊重し根拠のある言葉で発せられ、建設的な対話を促すものだと考えています。

一方、根拠のない攻撃的な言葉は「非難」であり、ただの悪口や中傷は「誹謗中傷」です。

批判には相手に対するホスピタリティがありますが、非難や誹謗中傷にはそれが欠けています。

 

例えば、○○えもんさんの発言には「コロナが怖いなら行かなきゃいいだけだろボケ、頭悪すぎて笑う」という発言は攻撃的な要素が含まれています。このような発言は単なる非難や誹謗中傷に過ぎず、建設的な対話にはなりません。

 

私たちは会社や家庭の中でも、批判・非難・誹謗中傷の意味を理解し、意識してコミュニケーションを行うことが重要です。

特にチームビルディングにおいては、相手を尊重し、根拠のある言葉で対話を進めることが大切です。

また、日本において「批判は悪いこと」という風潮が広まっていますが、これは危険な考え方です。先日のある国会議員の「批判なき政治を目指す」という発言がアメリカのメディアで話題となり、日本人の「批判」に対する誤解を浮き彫りにしました。正しい意味を理解することで、より前向きな対話ができるようになるでしょう。

 

 

結論: 

「批判」と「非難」「誹謗中傷」は全く異なる概念であり、それぞれに意味の違いがあります。私たちは相手を尊重し、根拠のある言葉で対話を進めることが重要です。批判はネガティブな意味を持つ言葉ではなく、建設的な議論や問題解決の手段です。日本人全体が批判と非難の意味を正しく理解することで、より良い対話と社会が築かれることを願っています。自分自身も言葉の使い方に気をつけつつ、建設的な批判を行っていきましょう。

 

旧永山邸(正式名称は旧永山武四郎邸及び三菱鉱業寮)を管理運営されているスタッフの皆様に研修を行いました。

 

ホスピタリティやクレーム対応など、もう何年も研修を担当させて頂いています。

 

今回はほとんど新しいメンバーに変わりましたので、

改めて接遇マナー研修をというオーダーでした。

 

そこで旧永山邸に相応しい接遇とは何かを一緒に考える場にしたいと考えたのです。

 

まず旧永山邸を運営管理する目的を皆様と一緒に確認し

昔と現在の文化施設が求められる役割の変遷をお伝えしました。

 

 

ざっくり言うと

以前の文化施設は地域教育の下支えや文化保全・継承が主な目的でした。

しかし現在では上記に加えて、

地域観光やコミュニティのための重要な拠点

としての役割が大きいのです。

 

ということは、

来館者を増やすことも重要です。

新しい企画を考案し効果的に発信していくこと、

そしてスタッフ全員がCS(顧客満足)思考を持ち接遇にあたることがミッションになるのです。

 

目的を理解していただいた上で、通常の小売業やサービス業と文化施設の接客の違いを考えながら

自分達で旧永山邸ならではの接遇マナーを話し合いで決定し、それを持続させる手段を決めることにしました。

 

私が経験してきた百貨店やホテルでの接遇方法やマナーをロールプレイをしながら

話題提供しました。

その上で話し合いしていただいたのです。

 

 例えば基本接客用語

小売業で通常は「いらっしゃいませ」ですが

無料観覧できる文化施設では

「おはようございます」「こんにちは」などの挨拶が良いのでは?

「いや玄関先でお会いした時はいらっしゃいませの方が自然で良いのでは?」といった具合です。

 

 スタッフの皆様が組織の目的とミッションを理解

それに合わせた接遇スタイルを自ら決定することで

納得して取り組むことができるようになります。

 

納得した行動は継続につながります。

継続されるとそれが良い組織風土になるのです。

組織風土は良くも悪くも一度形成されると簡単に崩れません。

 

終了後参加者の方から

「改めて自分達の役割を考える良い機会になった」

「ただのマナー研修かと思ったら、そうではなく非常に勉強になった」と

沢山の嬉しい言葉を頂きました。

 

ということで、組織の特徴に合わせたホスピタリティ研修、接遇研修を承ります

お気軽にお問い合わせください!

 

前回の質問は

そもそも「クレーム」とは、なんですか?

でした。

 

研修でもそう質問すると、ほとんどの方が

「苦情のことです」

と答えられます。

 

ホントにクレームは苦情なのでしょうか?

 

実はクレームと苦情は違うのです。

 

クレームは英語のclaimからきています。

本来の意味は、

主張する

です。

 

クレームとは

本来得られるべきメリットを受けられなかった時の

正当な要求と主張

 

客観的側面が強いのです。

 

 

では苦情は英語でなんと言うか?

complainです

ラテン語の「共に嘆く」という意味が由来で

現代では

不平不満を言う

愚痴をこぼす

という意味で使われるようになりました。

 

不満足に対する 感情的・主観的側面が強いのです。

 

そして…

「クレーム」が対応のまずさで「苦情」に変化します!

 

だから…

クレームは初期対応が最重要なのです!

次回から初期対応にポイントについてお伝えします。

 

 

*余談ですが「クレームを処理する」という言い方は絶対ダメ!

「クレーム対応」という癖をつけてください

 

ましてやお客様の前でクレーム、苦情という言葉は使ってはいけません。

ある自治体の例で、市民からの電話で保留にせず「○○さん苦情の電話です」とやってしまい、

大苦情になったことがあります。

 

 

 

 

 

前回の続きです。

私が沢山のクレーム対応で学んだことが3つあります。

 

①クレームの要因の中には、他の顧客にとって顧客満足の要因となる事も多いこと

 

⇒サービスはお客様の価値観や求めていることで真逆に作用してしまうということです。

 

例えば親切なスタッフでも、しつこく接客されたとクレームが入ったことがあります。

指導して少しゆっくり見てもらうようにしたら

今度は接客してくれないとクレームが入ったのです。

 

だいじなのは、お客様一人一人に対応を変化させること。

 

 

 

 

 

要するにお客様毎に対応を変化させるホスピタリティスキルを向上させることは、クレームを未然に防ぐことにもなるのです。

 

②クレームは逃げたら追いかけてくる

 

⇒人間ですからクレームが発生して「わーい、やったクレームだ嬉しいな♪」という人は少ないと思います。

研修でよく「クレームは宝物」と言われていることも多いようですが、どちらかというと嫌な事象でしょう。

人間は嫌なことから早く逃れたいという心理が働きます。

結果おざなりな初期対応で逃げてしまいがちになるのです

そうするとより大きな二次クレームとなって追いかけてきます。

 

③クレームが100あれば、100の対応方法

①と②にも関連しますが「このクレーム前回も似たようなことがあったな、じゃあ今回も同じ対応にしよう」とやると、お客様から「そんな事を求めているのではない!」とお叱りを頂きます。

クレームは一つ一つ微妙に違います

そしてお客様が求めるものも一人一人ちがうのです。

 

結局クレームが発生したときは真摯な対応が最重要なのです。

だからこそクレーム時の真摯な対応のスキルやノウハウの蓄積が必要になります。

 

 

ここで質問です。

 

いまさらながら…

「クレーム」ってなんですか?

この言葉にどんな印象を持ちますか?

 

次回までに考えてみてください。